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223 スライムさんとさん

 スライムさんが、口に入れた球をすぽっ、とはきだす。

 私はそれを棒で、こん、と打った。

 草原の上を球が転がっていく。


「当たった!」

「いいですね!」

 スライムさんが一緒に喜んでくれた。


「これが、成功?」

「はい! これを、さらに、うまいことやって、あたらしいあそびを、つくりだす。それがぼくのしめいです!」

「そうだったのか!」

「はい!」

「おみせは?」

「それもしめいです!」

「なるほどね」


 たしかに、使命はひとりひとつとは、決まってない。


「じゃあ、えいむ、つぎは」

「えっ」

「あっ、まちがえました。えいむさんです!」

「びっくりしたよ、スライム」

「えっ」

「ふふ」

「おどかしましたね!」

 スライムさんは、ささっ、と左右にすばやく動いた。


「おどかしちゃった」

「ゆるします! でも」

「でも?」

「つぎ、ぼくをおどかしたら、たいへんなことになる……、かのうせいがありますからね!」

「わかった。気をつける」

「はい!」


 そう言ったスライムさんは、急に、ぽかんと、空を見上げた。


「スライムさん?」

「……」

「スライムさん?」

「……えいむ、さん」

「なに?」

「いま、えいむ、ってよぶとおもいましたか?」

 スライムさんは私を見た。


「うーん。まあ、ちょっと思った」

「ですよね! ぼくも、おもいました!」

「さっき言われたばっかりだからね」

「そこでおもったんです。さん、を、さきにいうのはどうかと」

「さん? スライムさんのさん?」

「えいむさんのさん、でもあります」

「つまり?」


「さんえいむ」

「……ははあ、なるほど」

 私は大きくうなずいて、腕を組んだ。


「スライムさんと呼ぶなら、スライムさ、が聞こえるまで、もしかしたら、さん、がないかもしれない。でも、さん、から始めれば、スライム、って言ってる間も、さんって言われてるから、安心して聞いていられるってことだね?」

「さすが、さんえいむ!」

 スライムさんは、ぴょん、ととんだ。


「たしかに、この方法だったら、さん、がつくのかどうか、じっと、様子をうかがわずにすむ……。画期的な方法だね」

「はい! これで、だれも、さん、がついているかどうか、ふあんになりません!」

「さすがスライムさん、あ、さんスライムだね!」

「ありがとうございます、さんえいむさん! あ、さんえいむ!」

「……」

「……」


 スライムさんは、ちょっと息をはいた。


「……ちょっと、おはなしがあります」

「私も、あるかも」

「なんですか? おさきにどうぞ」

「スライムさん、って呼んだらだめ?」

「ぼくもそうもってました! ぼくも、さんえいむじゃなくて、えいむさん、ってよんでいいですか!」

「いいよ!」

「じゃあ、つづきをやりましょう!」

「そうだね!」


 スライムさんは、口から球を、すぽっ、とはきだした。

 私は棒で、こん、と打つ。


「いいですよえいむさん!」

「ありがとう! まだまだいくよ!」

「はい!」

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