219 スナックスライム
「こんにちは」
私がいつものように、お店に入ると。
「すなっく、すらいむです!」
スライムさんが現れた。
どうする?
→ たたかう
にげる
どうぐ
すなっく?
「すなっく?」
「はい! すなっく、すらいむです」
「……もしかして、スナック、スライムというお店?」
「すごい! よくわかりましたね!」
スライムさんはカウンターの上にのった。
「さすがえいむさん!」
「私たちも、付き合いが長いからね」
「では、ごちゅうもんは?」
「その前に。スナックってなに?」
「おんなのひとと、おさけをのんで、おかしです。ごちゅうもんは?」
それがなにか? という感じでスライムさんは言った。
「ん?」
「おかしで、おんなのひとと、おさけをのむ、といったほうがいいですか? ごちゅうもんは?」
「お菓子であり、女の人とお酒を飲む。……半人半菓子、ということ?」
スライムさんの仲間みたいなことだろうか。
「ちがいます!」
スライムさんはくるりとまわった。
「ふたつのいみがある、ということです」
「ふたつの意味。じゃあ、スナックとは……」
「はい!」
「お店、もしくは、お菓子。どっちかということだね? そして、ここがお店だと言った。ということは、スライムさんは、お店という意味でスナックと言った。そういうことだね?」
「そのとおりです! なぞはすべてとけました!」
「じゃあ今日は帰るね」
「まってください!」
スライムさんが、店を出ようとする私の前にまわりこんだ。
「なぜですか!」
「私、お酒飲まないよ」
「おんなのひとは、ぼくが、かわりにやります! おとこも、おんなもない、そのすらいむがいま、おんなになるんです! みどころですよ!」
スライムさんは、ささっ、ささっ、と左右に動きながら言う。
「もしくは、えいむさんが、やってくれてもいいです」
「お客が、お店の一部として……?」
「いらっしゃいませ!」
「でも私、お酒を飲まないんだよ?」
「おちゃでも、いいんですよ!」
「いいの? 前提をくつがえして」
「ぜんていは、くつがえすものです!」
「なるほど」
「はい!」
「ということは、お茶と、スライムさんがいるお店。いつもどおり」
「いいんです! すなっくというのは、かいわを、たのしむものなので」
「つまり、よろず屋は、スナックだった……?」
「そうともいえます!」
スライムさんはいったん、奥にひっこんだ。
そしてガラガラと、台車を押しながらもどってくる。荷台には、お茶の入ったコップがふたつ。
私は途中から台車を押すのを手伝った。
「いつもくろうをかけますねえ……」
「そんなこと、いいっこなしだよ」
「ありがとうねえ……。では、かんぱい……」
私はふたつのコップを、こつん、と合わせた。
「ではいただきます」
「どうぞ!」
私はお茶を飲んだ。
「冷たくておいしい」
「ほんとうは、あつあつだったんですよ!」
「ずいぶん前から用意してたんだね。これがスナック?」
「そうです!」
「いいね」
「はい! でも、ぼくは、おかしのすなっくのほうが、よかったですけどね!」
「なにー」
私はスライムさんの口の横をつかんで、ぐにぐに引っぱった。
「ぐわー」
「おりゃー」
「ぐわわー」
「おりゃりゃー」
「えいむさんー」
「なんだー、こうさんかー?」
「かいわを、たのしみましょう」
「そうだね」
私たちは落ち着いてお茶を飲みながら、会話を楽しんだ。




