204 スライムさんと囲碁
カウンターの上には、石ころがあった。
といっても、そのあたりに落ちているようなものとはすこしちがっている。真っ白の石と、真っ黒の石だ。
しかも、きれいな形に整えられていて、つるつる、すべすべに見えた。
「ご、ってしってますか?」
スライムさんは言った。
「5?」
「はい。ごは、これをつかいます」
スライムさんは、あらためて、白と、黒の石ころみたいなものを見た。
「5って数字の5じゃないの?」
「5であり、ごです」
「ふうん?」
「これは、あそびです」
「遊びなんだ」
「じんちをかこむ、あそびです」
スライムさんは、白い石をすこし動かした。
「しろのじんちです」
白い石は、五角形の、それぞれの頂点に見える。
「これよりも、ひろいじんちをつくってください!」
「ふうん?」
私は言われるままに、黒い石を、広めにならべた。
カウンターを広く使って、スライムさんの陣地の三倍くらいにしてみた。
「えいむさん、えんりょなしですね!」
「ふふ。私の勝ち?」
「ぼくのばんです!」
スライムさんは、すぽぽ、と黒い石を口に入れると、お店の外に出ていった。
「スライムさん!?」
追いかける。
するとスライムさんは、入り口近くの土の上に、ぽっ、ぽっ、ぽっ、と石を出して、ならべていた。
大きな五角形ができた。家の、私の部屋くらいの広さがある。
「どうですか!」
「やるね」
「ふっふっふ!」
「じゃあ、もっと広くしたい、けど……」
「どうしましたか?」
「あんまり広くしすぎると、見えなくなっちゃうよね」
土の上ならともかく、草原のほうまで行ってしまうと、草にうもれて石が確認できない。
「これって、見えなくなったらだめなんだよね?」
「………………、だめです!」
スライムさんは、まるで、いま決めたかのように言った。
「みえるはんいで、あそびましょう!」
「だとすると、天気にも関係してくるよね」
雨が降っていればもちろん、くもりの日だと暗くて見えないかもしれない。
「ふかいですね!」
「あ、そうだ」
私はお店にもどって、黒い石を持ってきた。
そのうちひとつを、スライムさんにのせる。
ちょっと離れて、私は指でつまんでスライムさんに見せた。
「こうやって、誰かに持ってもらったら、遠くに言っても見やすいよね」
「! たしかに!」
「だったら、5人ずつ集まって、対決するほうがいいのかな」
「かもしれません! とすると、ずいぶんとおくまでいけますね!」
「山の上からでも、見えれば……?」
「そんなところまで! すごい、しりょくだ!」
私はスライムさんのところにもどって、スライムさんの上の石を回収した。
「どうも!」
「どういたしまして。これって、石を持ってるって、見せなきゃだめ?」
「どういうことですか?」
「石を持ってるってわかったら、見せなくてもいいとか。えっと、たとえば、ここに置いて出かけたら、よろず屋に石があるって、私たちは知ってるわけでしょ? だったら、見えなくてもいいのかなって」
「なるほど……。きそくはわかりませんが、ぼくとしては……。ありですね!」
「私たちだけでやるなら、ありだね!」
「はい!」
とすると……。
「あんまり、いろんなところに行く人にわたしたら、だめだよね」
「そうですね!」
「あと、引っ越ししたりする人もだめだよね」
「そうですね!」
「だったら……」
私は思った。
「王様とか?」
「えっ!?」
「王様ってあんまり引っ越ししないし、物を置く場所にも困らないだろうか、石くらい置いておいてくれるよね? だから、5種類くらいの国に、置かせてもらったら、勝てそう」
「えいむさん!」
スライムさんは、ぷるぷる震えた。
「え、どうしたの?」
「えいむさんは、いつつのくにを、あわせた、とくだいのじんちを、かくほしようと……!? せかいいちの、やしんを、おもちで……!?」
「そんなことないけど」
「あと、おもちといえば、おもちというたべものが、あるそうですけど……!?」
「なにそれ」
「えいむさんのやしんは、とてつもなかったんですね……」
「おもちってなに?」
「まずは、らいねんあたり、ちょうちょうせんに、りっこうほですね!」
「おもちってなに?」
「おもちは、しろくてやわらないたべものです。すごいですね! えいむさんが、おうさまになったら、ぼくをだいじんにしてくださいね!」
「おもち、詳しく」




