198 エイムは動植物
「いきなり、ほおばる!」
スライムさんは、裏庭に生えている薬草のひとつに、かぶりついた。
「スライムさん!?」
「もごもご。……えいむさん、これが、しんせんさの、ちょうてん、ですよ……」
「これが……! さすがスライムさん!」
「はい!」
「でも、新鮮だけど……」
「どうかしましたか?」
「あ、生きてるときに、いきなりかぶりつかれるっていうのも、なかなか、おどろきだよね」
「たしかにそうですね」
スライムさんは、ちょっと薬草から離れた。
「ざんこく、ですかね?」
「どうだろう。痛いとか、なさそうに見えるけどね」
「そうですねえ」
「それに、ざんこくって言い始めたら、薬草を抜くのも、いきなりかぶりつくのも、どっちもざんこくな気もする」
「いきものだったら、ざんこくですか?」
「そうだねえ」
私は考える。
「生き物でも、生きてるものを、生きてるまま食べたりするものもあるみたい。お父さんから聞いたことあるよ」
「そんなものが」
「うん。どっちみち、食べるんだからね。私は、ちゃんと食べればいいかなあ、と思ってるけど」
「そうですね。ちゃんとたべれば、まあ、いいですよね」
「うん」
ちゃんと食べられても、食べられる側はたまったものではないかもしれないけど。
でも、ちゃんと食べれば、許してやろう! という生き物も植物も、いるかもしれない。
「ちゃんと食べますので」
「たべますので」
私たちは、薬草に言った。
「でも、動物と、植物ってどうちがうんだろうね」
「じめんから、はえてるか、はえてないか、じゃないですか?」
「そっか」
私は薬草を見た。
「スライムさん」
「ちょっと、スコップ、かりていい?」
「いいですが? なにか?」
私は、薬草の横の、なにもないところを、ちょっと掘った。
それから靴を脱いで、靴下も脱いでその中に入れる。
私は、掘った穴に入った。
足首までが土に入ったので、掘った土をかぶせた。
「えいむさん? なにをしてるんですか」
「これなら、私も植物かな」
私が言うと、スライムさんは、私と地面を何度も見比べた。
「!? じめんから、えいむさんが、はえている!?」
「そうなのだよ」
「えいむさんが、しょくぶつに?」
「うん」
「それでいて、もしかして……?」
「うん」
私は土から出て、歩いてみせた。
「どうぶつ!?」
「ふっふっふ」
私は土の中にもどる。
「しょくぶつ!?」
「ふっふっふ」
「えいむさんは、しょくどうぶつ……?」
「どうしょくぶつかもしれないよ」
「どっちですか!?」
「ふっふっふ」
はだしで、歩いてみると気持ちがいい。
私は、そのまま草原を歩いてみた。
足のうらを、くすぐるような草の感触が伝わってくる。
「えいむさん!? いきなり、あるきだす……!?」
「ふっふっふ」
「これはどうぶつですね?」
「しょくぶつの、かのうせいも……?」
私は、スライムさんを従えて、はだしでよろず屋のまわりを散歩した。




