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195 スライムさんと宝箱

 お店に入ると、スライムさんがカウンターの上にある箱の中を見ていた。


「こんにちは」

「こんにちは!」

「それはなに?」

「これは、たからばこです」

「宝箱」


 私は、近くで箱を見た。


 金属製の箱で、下が直方体。

 上の、ふたのようになっている部分は、上部がゆるやかに曲がっている。

 赤い部分が多くて、金属で補強しているような、角などは金色だ。

 金だけでなく、赤いところも、わざと光るようにしているみたいに光を反射する赤だった。


 閉じると、前の部分に鍵がついていた。


「宝箱って、宝が入ってるっていう、あれ?」

「そうです」

「意外と小さいんだね。コップを四つならべたら、いっぱいになりそう」

「ちいさめのたからばこです! いろいろなおおきさが、あります!」

「そっか」

 それはそうか。


「これをいれて、まわすと、かぎがかかります」


 スライムさんに借りた鍵をかけてみる。

 かちり、と音がした。

 もう、ふたを開けてみようとしても動かない。


「しっかり閉まってるね」

「はい!」

「さすが宝箱」

「はい!」

「でも」


 私は鍵をさして、宝箱を開けた。


「宝箱がからっぽっていうのは、なんだか、残念だね」


 宝が入っていてこそ宝箱。


「なにもなかったら、宝箱ならぬ、空箱。なんちゃって」

「なんですかえいむさん。ちょっと、きこえなかったのでもういっかいおねがいします」

「えっと! ところで、どうしてなにも入ってない宝箱を仕入れたの?」

「……えいむさんは、たからばこには、なにか、はいっているとおもっていますか?」

 スライムさんは言った。


「うん。そういうものじゃないの?」

「えいむさん」

 スライムさんは、ゆっくりと、首を振るようにぷるんぷるんと動いた。


「たからばこから、たからがでたら、うれしいですよね?」

「うん、きっと」

「そのはこには、いれてくれたひとがいる。そういうことを、わすれてはいけませんよ」

「そっか。宝箱は、最初から入ってたんじゃないんだもんね。入れてくれた人がいるんだね」


 最初はみんな、空箱なんだ。


「そうです!」

「じゃあ、これからは、大事に宝箱を開けないとね」

「はい!」

「それで、宝箱って、どこにあるの?」

「だんじょんです!」

「そっか。じゃあ、その箱に薬草を入れてみるとかじゃないと、私には無理だね」

「たからばこにやくそうを……?」

「うん」


 スライムさんは、体をかたむけて、考えていた。


「そういうこともあるんですかね?」

「冒険する人は、うれしいんじゃない?」

「たしかに! やくそうも、おたからに、なる!」

「うん」

「……でも、はやくたべないと、おいしくないですけど」

「宝箱の中にある薬草は、誰かが、くさったりしないように、管理してるのかもね」

「たからばこの、かんりにん……。たからばこは、おくがふかいですね!」

「そうだね!」

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