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194 スライムさんと賞金首

 スライムさんは、お店の裏の、草の生えてない土のところにいた。


 そこで棒を、体をくいっとして、はさむようにして、地面になにか書いている。


 見ていればわかるというけれど……?


「おや?」


 丸くて。

 目があって。

 口があって。

 ……スライムさんだ。


「スライムさんの絵?」

「そのとおりです! が!」

「が?」


 スライムさんは、そのまま書く。

 スライムさんの絵の下に、数字を書いた。

 100000。


「ふう」

「これは?」

「しょうきんくびです」

「賞金首って?」

「このひとをつれてくると、おかねがもらえる、というひとです!」

「ふうん? 行方不明の人とか?」

「かもしれません!」

「スライムさん、行方不明になりたいの?」

「ちがいます! しょうきんくびになって、たくさん、おかねがもらえるようになると、なんか、すごいらしいです!」

「なんかすごい」


 私は、スライムさんの絵をもう一回見た。


「この人を連れていったらお金がもらえる絵?」

「そうです!」

「たくさんお金がもらえる……。お金持ちのお嬢様とか?」

「かもしれません!」

「そうか。だったら、家の人が心配して、それでお金持ちだから、たくさんお金がもらえるんだね?」

「きっとそうです!」

「たしかに、お金がたくさんもらえるなら、たくさんの人がさがしてくれるかもしれないね。だからすごいのかな」

「すごければすごいほど、おかねがたくさんもらえるらしいです!」


 私は考えた。


「ごめんね?」

「どうしたんですか、えいむさん? やくそうの、ぬすみぐいをしたんですか?」

「してないよ。スライムさんがいなくなったら、私がスライムさんの賞金首のお金を出してあげようと思ったけど、あんまり出せないから。私が自分でさがすしかなさそうだね」

「えっ? ぼくは、いなくなりませんよ!」

「でも、いなくなったときのはなしでしょう?」

「じゃあ、きをつけます!」

「うん。気をつけて」

「はい! じゃあぎゃくに、ぼくが、えいむさんに、おかねをかけてあげます!」

「私がいなくなるの?」

「もしです!」

「そっか……。私、いなくなるんだ……」

「え? えいむさん?」

「そっか……」


 私はとことこ歩いて、裏庭から離れた。


「えいむさん! どこにいくんですか!」

「私、いなくなる……」

「もしもしですよ!」

「ちょっと待ってて」

「え? はい」


 私はスライムさんを残して、お店をぐるっと一周してきた。


「あ、えいむさん!」

「逆から登場」

「ぎゃくからとうじょう!」

「私はいなくなって、現れました。では、お金をください」

「えっ?」

「賞金首の人を連れてきたら、お金がもらえるんでしょう? 本人が帰ってきた場合、どうするの?」

「ええと……」

「私がもらうの?」

「そうですね……。あげましょう!」

「くれるの?」

「もどってきた、おいわいです!」

「! お祝いだ!」


 私は、スライムさんを持ち上げて、よいしょ! よいしょ! と言いながら歩いた。


「これはどういう、おいわいですか!」

「私が思うに、人は、なにかを持ち上げながら、声を出して歩いていると、お祝いっぽくなると思うんだ」

「なるほど!」

「賞金首おめでとう!」

「しょうきんくびおめでとうございます!」

「よいしょ! よいしょ!」

「よいしょ! よいしょ!」

 私はスライムさんを抱えて、よろず屋のまわりを歩いた。

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