158 スライムさんとさがしもの
「いらっしゃいませ!」
「あ、こんにちは」
まだお店の外だったけれど、スライムさんが近くにいた。
「えいむさん、かんがえごと、してましたか?」
スライムさんが、草をさふさふとふみながらやってくる。
「あ、うん」
「かんがえながらあるいていると、かんがえてしまいますよ!」
「そうだよね、危ないよね」
「わかっていれば、よろしいです!」
スライムさんは、上下に大きく体を動かした。
「それで、なにをかんがえていたんですか?」
「ああ、ええとね。お母さんが、さがしものをしてたの」
「さがしものですか?」
「うん。大掃除をしてたら、パンをのばす棒が、なくなっちゃったんだって」
「ぱんですか?」
「手作り用の道具」
「えいむさんのおかあさんは、ぱんを、つくれるんですか!?」
スライムさんが、ぴょぴょん、とすばやく動いた。
「えっとね。作ろうと思ってるって」
「つくろうと……?」
「今度、作ろうと思って買っておいた棒を使って、いよいよ作ろうかな、って思ったら、見つからないんだって」
「ははあ……。それは、なかなか、むずかしいじょうきょうですね!」
「あー、せっかく作る気になったのにー、って言ってた」
「やるきがでたときに、どうぐがないと、つらいですよね!」
「でも、棒があるときは全然やる気がしないんだよ?」
「そういうものです!」
スライムさんは、力強く言った。
「そうなんだね」
「はい!」
「棒がないんだけどね」
「それが、さがしものですか?」
「うん」
「なら!」
スライムさんは、ぴょん、ととぶと、お店の中に突撃していった。
「スライムさん?」
カウンターまで追いかけていくと、お店の奥のほうでごそごそ音がしていた。
そして、なにか紙をくわえてもどってきた。
「どうぞ」
とカウンターに置いたスライムさん。
二つ折りにされた、一枚の紙のようだ。
「これは?」
「さがしものを、みつけるほうほうが、かいてあります」
「見ていいの?」
「はい!」
開くと一行目に、探しものはどんなものですか、と書いてあった。
「なんですか?」
「パンの棒」
「つぎはなんですか?」
「ええと、見つけにくいですか、って書いてある」
棒だから、どうだろう。
「小さいものよりは、見つけやすいよね」
「じゃあ、みつけにくくは、ないですね!」
「うん」
次の行には、かばんの中、机の中は探しましたか? と書いてある。
「さがしましたか?」
「探したと思うけど」
その次の行には、まだ探しますか? と書いてある。
「どういうこと?」
「かくにんです! さがすきがあるのか、ないのか!」
「あるよ」
最後の行には、それよりおどりましょう、と書いてある。
探すのをやめたときに、見つかることもよくあるから、ということだ。
「探すのをやめると、見つかる……?」
「ぼくもあります! いろいろさがしたあと、きゅうけいしたら、みつかります!」
「たしかにそういうのあるね」
最後に、夢の中に行きましょう、ともある。
「夢の中?」
「つかれて、ねると、すっきりと、あたらしいきもちになるのかもしれません!」
「なるほどね」
「じゃあ、おどりましょう!」
スライムさんが、カウンターからおりた。
「おどるの?」
「そうです!」
スライムさんが、ぴょん、ぴょん、ぴょん、と一定間隔でとびはじめた。
見ていると、スライムさんが想定している四角形の隅に向かって、ぴょん、ぴょん、ととんでいるようだ。四回で、最初の位置にもどってくる。
「じゃあ、私も」
ぴょん、ぴょん、ぴょん、ととぶ。
「いいちょうしですよ!」
「そう?」
「はい!」
私たちは、ぴょん、ぴょん、ぴょん、と四角形でとぶおどりをした。
「お母さんは、おどらなくていいのかな」
「えいむさんの、おかあさんは、さがさないといけないので!」
「そっか。そっか?」
ぴょん、ぴょん、ぴょん、ぴょん。
「はやく、ゆめのなかに、いきましょう!」
「うん」




