表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
158/425

158 スライムさんとさがしもの

「いらっしゃいませ!」

「あ、こんにちは」


 まだお店の外だったけれど、スライムさんが近くにいた。


「えいむさん、かんがえごと、してましたか?」

 スライムさんが、草をさふさふとふみながらやってくる。

「あ、うん」

「かんがえながらあるいていると、かんがえてしまいますよ!」

「そうだよね、危ないよね」

「わかっていれば、よろしいです!」

 スライムさんは、上下に大きく体を動かした。


「それで、なにをかんがえていたんですか?」

「ああ、ええとね。お母さんが、さがしものをしてたの」

「さがしものですか?」

「うん。大掃除をしてたら、パンをのばす棒が、なくなっちゃったんだって」

「ぱんですか?」

「手作り用の道具」

「えいむさんのおかあさんは、ぱんを、つくれるんですか!?」

 スライムさんが、ぴょぴょん、とすばやく動いた。


「えっとね。作ろうと思ってるって」

「つくろうと……?」

「今度、作ろうと思って買っておいた棒を使って、いよいよ作ろうかな、って思ったら、見つからないんだって」

「ははあ……。それは、なかなか、むずかしいじょうきょうですね!」

「あー、せっかく作る気になったのにー、って言ってた」

「やるきがでたときに、どうぐがないと、つらいですよね!」

「でも、棒があるときは全然やる気がしないんだよ?」

「そういうものです!」

 スライムさんは、力強く言った。


「そうなんだね」

「はい!」

「棒がないんだけどね」

「それが、さがしものですか?」

「うん」

「なら!」

 スライムさんは、ぴょん、ととぶと、お店の中に突撃していった。


「スライムさん?」

 カウンターまで追いかけていくと、お店の奥のほうでごそごそ音がしていた。


 そして、なにか紙をくわえてもどってきた。


「どうぞ」

 とカウンターに置いたスライムさん。

 二つ折りにされた、一枚の紙のようだ。


「これは?」

「さがしものを、みつけるほうほうが、かいてあります」

「見ていいの?」

「はい!」


 開くと一行目に、探しものはどんなものですか、と書いてあった。


「なんですか?」

「パンの棒」

「つぎはなんですか?」

「ええと、見つけにくいですか、って書いてある」


 棒だから、どうだろう。


「小さいものよりは、見つけやすいよね」

「じゃあ、みつけにくくは、ないですね!」

「うん」


 次の行には、かばんの中、机の中は探しましたか? と書いてある。


「さがしましたか?」

「探したと思うけど」


 その次の行には、まだ探しますか? と書いてある。


「どういうこと?」

「かくにんです! さがすきがあるのか、ないのか!」

「あるよ」


 最後の行には、それよりおどりましょう、と書いてある。

 探すのをやめたときに、見つかることもよくあるから、ということだ。


「探すのをやめると、見つかる……?」

「ぼくもあります! いろいろさがしたあと、きゅうけいしたら、みつかります!」

「たしかにそういうのあるね」

 最後に、夢の中に行きましょう、ともある。


「夢の中?」

「つかれて、ねると、すっきりと、あたらしいきもちになるのかもしれません!」

「なるほどね」


「じゃあ、おどりましょう!」

 スライムさんが、カウンターからおりた。


「おどるの?」

「そうです!」

 スライムさんが、ぴょん、ぴょん、ぴょん、と一定間隔でとびはじめた。

 見ていると、スライムさんが想定している四角形の隅に向かって、ぴょん、ぴょん、ととんでいるようだ。四回で、最初の位置にもどってくる。


「じゃあ、私も」

 ぴょん、ぴょん、ぴょん、ととぶ。


「いいちょうしですよ!」

「そう?」

「はい!」


 私たちは、ぴょん、ぴょん、ぴょん、と四角形でとぶおどりをした。


「お母さんは、おどらなくていいのかな」

「えいむさんの、おかあさんは、さがさないといけないので!」

「そっか。そっか?」


 ぴょん、ぴょん、ぴょん、ぴょん。


「はやく、ゆめのなかに、いきましょう!」

「うん」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 探すのをやめた時 見つかる事も良くある話で
2020/12/26 23:00 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ