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152 スライムさんとすぽ紙

 私の前には、スライムさんが用意してくれた紙があった。

 そこに、スライムさん、と書く。


「えいむさん。この紙を」

「折ればいいんだよね?」


 私は、カウンターの上で、手のひらくらいの大きさの、四角形の紙を二つに折った。

 手をはなす。


「あっ」

 すると、閉じた紙がゆっくり開いてきて、スライムさん、という字が現れた。


「ええー、なにこれ」

「ふっふっふ。すごいでしょう」

「もう一回やってみるね」


 私は紙を二つ折りにした。

 さっきよりも、しっかりと、ぎゅうぎゅう折り目をつけて置いてみた。


 手をはなす。

 また、ゆっくり開いてきて、すぐに全開になってしまった。


「ええー、なにこれ」

「ふっふっふ! かってに、ひらく、かみです!」

「へえー」

「あとは、なかなか、ちぎれません」

「え?」


 言われたとおりやってみると、ちょっと力を入れても、ちぎれにくい。


「なるほど」

「さらに、ぬれても……?」

「ええ?」


 ちょっと水をたらしてみると。


「ほんとだ。まだ、しっかりしてる!」

「でしょう!」

「すごいね」

「でしょう!」

「さらに、書くときも、書き心地がよかったよ」

「かきごこち!」

 スライムさんが、ぴょん、ととんだ。


「それは、もうてんでしたね!」

「スライムさんも書いてみる?」

「ぼくは、かきごこちをたのしめるほど、うまくかけないので、えいむさんにさずけます」

「授けられた」

「もう、おぬしにおしえることは、なにもない……」

「師匠、そんなこと言わないでください!」

「あとは、おぬしがじぶんのみちを、みつけるのだ……」

「師匠! 師匠ー!」


 私は、師匠との別れを感じてみた。


「……ところでこの紙、誰かに売るの?」

「ちょうちょうさんに、とおもっています!」

「町長さんに? どうしてだろう」

「たぶん、ちょうちょうせんきょなどで、がんじょうな、かみは、べんりだとおもうので!」

「そう?」

「はい! ぬれてもへいきですし、やぶれにくい!」

「でも、選挙の紙って、がんじょうさ、必要かなあ」

「えっ?」

「閉め切った部屋で、みんなで集まって、書いて、折って、箱に入れるだけって聞いたよ」

「そうなんですか?」

「だから、ふつうの紙でよさそうだけど」

「そうでしたか……」


 スライムさんが、すこししゅんとしてしまった。


「あ、でも」

 私は、二つ折りにして、カウンターに置いた。


 すぐに開いて、スライムさん、という字が見える。


「これおもしろいよ!」

「せんきょにつかうより、ですか?」

「うん」

「やりました!」


 私は、スライムさんに乗ってもらって二つ折りにしたり、なんとかスライムさんに書き心地も試してもらったりした。


「この紙って名前ってあるの?」

「えっと……、すぽしです!」

「すぽ紙」

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