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151 スライムさんとマスク

「はっはっはっはっは!」


 声に、上を向く。

 よろず屋の入り口の、屋根の上に、なにかがいた。


 ネコの顔があって、こっちを見ていた。

 でもよく見るとネコの顔があるわけじゃなくて……。


 ネコの布をかぶっている。よく見ると、目のところと、口のところに穴があいていた。

 その穴から、青い透き通った体が見えている。

「スライムさんだよね?」

「……ふっふっふ。そのとおりです!」

 ネコスライムさんは、堂々と言った。


「どうしたの、それ」

「これは、ますくです」

「マスク?」

「これをつけると、どうなるとおもいますか?」

「うーん。ネコになった気分になるとか?」

「これは、とらです!」

 トラスライムさん?


「トラ? トラの気分?」

「ふっふっふ。こたえは、けんこうになる! です」

「健康に?」


 私はマスクを見た。

「それで?」

「そうです。ますくは、けんこうをまもるための、じゅうようなどうぐ、といわれているのです」

「そうなの?」

「はい! こきゅうが、けんこうになります」

「呼吸が?」

 口のところがあいているのが、重要なんだろうか。


「ますくは、まなー、といわれています!」

「ふうん?」

「わかりましたか?」

「あんまりわからないけど、もうすこし話は聞いてみようと思う」

「いいことですね! じゃあ、えいむさんもつけましょう」

「私も?」

「はい!」

 見ると、よろず屋の入り口のところに、もうひとつトラのマスクがあった。



「こう?」

 私はマスクをかぶった。

 ちょっと視界がせまくなったけれど、布をかぶっているのですこしあたたかい。


「どう?」

「いいですね! かっこいいです!」

「そう? がおー」

「あ、ちがいます。そういうんじゃないです」

「そうなの?」

「とらのますくをつけたひとは、いいことをします」

「いいこと?」

「はい。まず、ひととたたかって、おかねをかせぎます」

「え?」

「そのおかねを、めぐまれないひとに、あげます」

「ええ?」

「そうすると、いろいろなひとが、けんこうになります」

「えええ?」

「では、まず、からだをきたえましょう。そこで、だれにもまけないえいむさんになり、しょうりをかちとるのです! こどもたちが、まっています! こい!」

 スライムさんは、ぴょん、とおりてきた。


「スライムさん?」

「では、いきますよ……。まずは」

「やらないよ?」

 私はマスクを外した。


「えいむさん?」

「スライムさんも外そう」

 私はスライムさんのマスクを取った。


「あっ。えいむさん!」

 スライムさんが、ぷにょぷにょぶつかってきた。

「わ、どうしたの」

「ますくのひとは、しょうたいを、しられたらいけないんですよ!」

「そうなんだ。ごめんね」

「ゆるします!」

「でも、さっき、スライムさん? って確認したら、そうだって言わなかった?」

「……」

「……」


 私は無言で、スライムさんにマスクをかぶせた。

「はっはっは!」

 スライムさんは元気になると、ぴょーん、ととんで屋根の上に乗った。


「はっはっはっはっは!」

「そこから?」

「はっはっはっはっは!」

「スライムさんだよね?」

「はい! あっ」

「……」

「……」

「もう一回やる?」

「はい!」

 スライムさんは、きりっ、とした。

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