表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
143/425

143 スライムさんは商品

「こんにちは」

 よろず屋に入ると、誰もいない。


「いらっしゃませ!」

 と思ったら返事が。

 でも、いつものようにカウンターの上に現れるわけでもなく、ぴょんぴょんと横に現れるわけでもない。


「スライムさん?」

「エイムさん、こっちですよ! こっち!」

「あ」

 スライムさんは、カウンターの中にいた。


 せまい段の中にいるので、ちょっとつぶれたみたいになっている。


「スライムさん、どうしたの?」

「しょうひんのきもちに、なってみようとおもいました!」

「商品の気持ち?」

「はい! いつも、いつも、このなかにいて、ただただうられていくのをまつ、しょうひんたち。そのきもちをりかいすることで、ぼくは、あらたなるじぶんにであえるのではないか……。そうおもいました!」

「そっか。どう?」

「せまいですけど、いがいとおちつきます!」


 私はスライムさんを見た。

「スライムさんは、商品なんだよね?」

「そうです!」

「じゃあ、買ってもいいの?」

「ぼくをかうんですか!?」

 スライムさんは、ぴょん、と飛ぼうとしたのか、真上の板にぐにょん、と体を押しつけた。


「買ってもいいの?」

「いいですけど、なににつかうんですか? まくらですか?」

「枕には使わないけど……。ふっふっふ。あんな使い方をしたら、スライムさん、どう思うかなあ……」

「なににつかうきですか! あつあつのおなべを、おく、だいにつかうきですか!」


 私は、ぐつぐつ煮えている鍋を上にのせられたスライムさんが、じゅー、と水蒸気を上げながら平べったくなっていくのを想像した。


「そうしようかなあ。ちがう使い方にしようかなあ」

「あっ! いすのうえにおいて、そこにすわって、ふかふかしようとおもってるんですね!」


 私は、スライムさんに座って、ちょっと体を弾ませるようにするのを想像した。


「そうしようかなあ。ちがう使い方にしようかなあ」

「もしかして、しょくじちゅうに、ちょっと、ふぉーくをおくところにつかう……?」

「ねえ、どうして置くところばっかりなの? そこ、せまくてきついんじゃないの? だいじょうぶ?」

「だったら……」

 スライムさんが、ふむむ、と考える。


「じゃなくて、私、スライムさんを買ったりしないから」

「!! ぼくには、かちが、ない……!?」

 スライムさんが、すこし、てろりと平べったくなった。


「価値はあるよ」

「でも、かわないって……」

「私は、スライムさんと、遊んだりするんだから、買うとか、買わないとか、そういうことじゃないでしょ?」

「!! なるほど!」

 スライムさんは、大きく目を開いた。


「ふふふ」

 スライムさんは笑った。

「ふふふ」

 私も笑った。


「そういうの、なんて言う?」

「せつやく、ですね!」

「仲良しだよ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ