140 スライムさんと周年
「10しゅうねんのよろずやに、ようこそ!」
よろず屋に入ると、スライムさんが私の前に飛び出してきた。
「わっ!」
「いらっしゃいませ、えいむさん!」
「いらっしゃいました? えっと、どうしたの?」
「10しゅうねんです!」
「このよろず屋って、10年も経ったの?」
じゃあ私はもう、大人……?
「いやですねえ! ここにできてから、そんなにたってるわけないんじゃないですか!」
スライムさんが、ぷに、と私に軽く体当たりをする。
「あ、じゃあ、ここに来る前に長くやってたの?」
「そんなことないですよ!」
「え、でも、10周年って、10年の記念でしょう?」
「そうですよ」
スライムさんは、当然のように言う。
「だったら、10年やってないと」
「ふっふっふ。ぼくは、きづいたんですよ」
「なにに?」
「10しゅうねんは、10しゅうねんではない、ということに……!」
「なん、だって……!?」
「えいむさん。ぼくは、ここにくるまえ、100ねんきねんの、おしろの、おいわいを、みたことがあります!」
「おおー。すごいね」
「はい、たしかみました! みんなではしゃいで、おおさわぎでした! そしてそのとき、きづいたんです。100ねんきねんは、なんにちやっても、いい、ということに……」
「ああ、なるほど……。1日で終わらないよね。きっと」
何日も何日も、長くお祝いするにちがいない。
「ということは、ですよ。10しゅうねんのおいわいを、いま、やっても、いい。そうはおもいませんか?」
「うーん?」
「きょくたんにいえば、これから、10ねん、いわいつづけても、いいんですよ!」
「うーん。でも、100年記念の場合は、すごいお祝いだから長くやる、っていうのもあるかもしれない。それに、100年前だから、正確な日付がわからない、っていうもあるかもしれないよ。だから長めにやってるとか」
スライムさんは、ちょっと考えて言う。
「でも、おみせの、かいてんしゅうねんの、わりびきのおいわいも、なんにちもやってるの、みたことありますよ!」
「たしかに」
「それに、ぼくのおみせも、いつからはじめてるか、せいかくなところは、わかりませんよ!」
「なるほど?」
「ということは」
「ぼくは、いま、10しゅうねんきねんをやる。そのじょうけんを、みたしているんです!」
スライムさんは、じっと私を見た。
私は目を閉じる。
私は、ゆっくりと手をたたいた。
「えいむさん?」
私は目を開ける。
「これは、10周年だよ……」
「えいむさん!?」
「スライムさん、これは、完全に、10周年だよ!」
「えいむさん!」
「やるしかないよ! スライムさん!」
「はい!」
「やろう、スライムさん!」
「はい!」
「ところで、10周年って、なにをするの!」
「わかりません!!」
「じゃあ、もったいないから、とっておく?」
「そうしましょう!」




