127 スライムさんと素数
今日は、スライムさんからあるものを見せられていた。
「おかしなものを、もらったんです」
「おかしな?」
「そすうが、かいてあるんですけど。これです」
スライムさんがカウンターの上に出した紙には、数字がならんでいた。
『2 3 5 7 11 13 17 19 ……』
「なんだか、中途半端に数字が書いてあるね」
「そうなんです! これが、そすうです!」
「そすう?」
「はい! そうききました!」
「そすう……」
私は、数字を見た。
「なにが書いてあるかっていうのが問題で、数字は、ふつうの数字なんだよね?」
「はい!」
「これが全部で、そすうなの?」
「そうらしいです! ちがいます!」
「どっち!?」
「そうですけど、つづきが、あるらしいです!」
「続き?」
「そすうには、まだまだ、まだまだ、あるらしいです! これは、にゅうもんへんの、そすうです!」
「入門編の、そすう……。それで、そすうってなんなの?」
「それが……」
スライムさんが、体をななめにした。
「ぼくの、あずかりしらぬ、ところです」
「あずかり?」
「えいむさんは、どうおもいますか?」
「私? えっと……」
私はあらためて、そすう、を見た。
「4、6、8、とかが、抜けてるよね」
「そうですね! 10とか!」
「うん。12とか、14とか。なんか、ちょうど良さそうな数字が抜けてる気がする」
「ちょうどいい?」
「10とか、ちょうどいいでしょ?」
「たしかに!」
スライムさんは、目をぱっちりと開けて、私を見た。
「私の考えでは、そすう、はあんまりちょうどよくない気がする……」
「そうですか?」
「7とか、11とか」
「たしかに!」
スライムさんは、目をぱっちりと開けて、私を見た。
「あんまり、友だちがいない数字、っていう感じかなあ」
「ともだちですか?」
「8とか12って、友だちが多そうじゃない?」
「!! おおそうなきがします!」
「7とか11とか19とか、友だちがすくなそうじゃない?」
「すくなそうなきがします! とくに、17は、もりのなかで、ひとりでくらしてそうです!」
スライムさんは、ぴょん、ととんだ。
「私は、7が、ひとりでいつも本を読んでそうかなあ」
「いいですね! きっとそうです!」
「だからそれが、そすう、かなあ」
「なるほど! けっていです! やりました!」
スライムさんが、ぴょぴょん、ととぶ。
それから止まった。
「やったか……?」
スライムさんがつぶやいた。
「あ、でも、そすうに、9、がないね」
見直すと、4、6、8、に続いて、9もそすうに入っていない。
「9は、ちょうどよくないよね……」
「たしかにそうですね……! 9は、もうひとおしです!」
スライムさんは、一回、近くの箱を押して、くやしがった。
「うーん。ちょっと書いてみようか」
私は、近くの紙にそすうじゃない方も書いてみた。
「そすうが、2 3 5 7 11 13 17 19 ……」
「そすうじゃないのが、1 4 6 8 9 10 12 14 16 18 20 ……」
私とスライムさんは、うーん、と数字をながめた。
「なんでしょうねえ」
「なんだろうねえ。そすうのほうが、すくないけど」
「そうですね! そすうよりも、じゃないすうのほうが、おおいです!」
私は、あることに気づいた。
「あ」
「どうしましたか!」
「そすうは、途中から、2、4、2、4、2、って増えてない?」
最初はあまり数の増減がないけれど、5から先は、2増えて7、4増えて11、2増えて13、4増えて17、となっている。
「ほんとうです! えいむさんの、いうとおりです!」
「だからこの先も、19、23、25、29、ってなってるとしたら、法則通りだね」
「すごいです! えいむさんが、そすうのひみつを、ときあかしました!」
スライムさんは、目をぱっちりと開けて、私を見た。
「でも、そうならないかもしれないけどね」
「なります! あー、そういうことだったんですね! はんにんは、このなかにいたんです! あーすっきりました! 2、4、2、4!」
スライムさんが、2、4、と言うのに合わせて体を左右に動かした。
「やったね」
「そーっすね!」
「え? なに?」
「あ、なんでもないです」
スライムさんは目をつぶった。




