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122 スライムさんと鬼ごっこ

「えいむさん、きょうは、おにごっこをしませんか?」

 よろず屋で話していたら、スライムさんが急に言った。


「おにごっこ?」

「そうです!」


 スライムさんは、カウンターの上でぴょん、ととんだ。


「おにごっこをしましょう!」

「おにごっこって、なに?」

「あそびです。おおよそのるーるは、ききました!」

 スライムさんは言った。


「おおよそ……?」

「はい! これは、まものになるあそびです」

「魔物に?」

「はい。うまく、まものになったひとの、かちです!」

「ふうん」

 スライムさんは、もう魔物なのでは。


「おにって?」

「それは、かりの、なまえです!」

 スライムさんは言った。


「仮の名前……? 具体的には……?」

「あさごはんだって、ごはんじゃなくても、いいでしょう!? そういうことです!」

「なるほど……?」

「ごなっとく、いただけましたか?」

「納得した……?」

「やりました!」

 スライムさんは、ぴょーん、とカウンターから飛び降りた。


「では、はじめましょう」

「どうするの?」

「まものに、へんそうするどうぐを、かします! えいむさんはここで、ぼくは、おくで、きがえてきます!」



「こんなところかなあ」

 私は鏡を見ながら、見た目を調整した。


「えいむさーん! もういいですかー」

 店の奥からスライムさんの声がした。


「いいよ」

「では!」


 スライムさんが、とことことことー、とやってきた。


「どうですか!」

 とやってきたスライムさん。

 私を見て、おや、という顔になる。

 それから、ぴょーん、とカウンターの上に乗った。


「えいむさん! これは、どうしたことですか!」

「スライムさんこそ」


 スライムさんの頭には、角があった。

 木を削り出したもので、とがったほうが上を向いている。それが六本、頭に乗っていた。

 根本がすこしスライムさんの体にうまっているので、しっかり固定されている。


 一方、私も頭に角をつけていた。

 髪の毛の間から、スライムさんが自由に使っていいと用意してくれた中から選んだ木の角が出ている。とても軽いので、気にならない。


「どうしてつのを!?」

「スライムさんこそ」

「まものといえば、つのです!」

「私も」

「! きが、あいますね!」

 スライムさんがくるりとまわった。


「うん」

「でも、もっと、まものっぽいものがあったのでは!?」

「スライムさん。牙とか、毛皮とか、そういうものを、たくさんつければ魔物っぽくなるわけじゃないと思うよ」

「む!」

「スライムさんも、そう思ったんでしょ?」

「……そうです。まものは、つの。なにがあっても、さいしゅうてきには、つの。……それがぼくの、けつろんです! よくわかりましたね!」

「私もそう思った」

「えいむさん! やりますね!」

「スライムさんこそ」

 私たちはニヤニヤした。


「じゃあ、おにごっこは、これで引き分け?」

「つののかずは、どうですか!」

「私は……、5つかな」

「!! ぼくは、6つです!」

「あ、本当だ」

「……じゃあ、ぼくのかちですね!」

「ええ? 角の数で決まるの?」

「こころぐるしいですが……。そういうことですね」

 スライムさんが、にやりとした。


「ふうん」

「えいむさん。くやしいでしょうけど……」

 スライムさんが得意げに私を見る。


 私は、得意げになって上を見ているスライムさんにこっそり近づいた。


「えい」

 私は、スライムさんの頭から、一本角を取った。

「あっ!」

「これを、私に」

 私は、頭にのせた。


「これで私の勝ち」

「ちょっと、えいむさん! ずるいですよ!」

 スライムさんが迫ってきた。


 私はお店の外に出た。


「えいむさん! ずるい!」

「へっへっへ」

「あ! えいむさん、くつひもがほどけてて、あぶないですよ!」

 スライムさんの声がした。


「スライムさん、その手には乗らないよ!」

「うそじゃないですよ!」

「あ」

 本当に靴ひもがほどけていた。


 私はしゃがんで、急いで靴ひもを結び直していたら、頭をなにかがかすめていった。


「あ」

 スライムさんの角が、6つにもどっている。

 私が手でさわってみると、頭の角が5つしかない。

 いま、私の頭をかすめていったのは、スライムさんだったのだ。


「スライムさん、靴ひも中に、角をとったな! ずるい!」

「ふっふっふ! おにごっこは、ひじょうなのです」

 そう言って、スライムさんが走り出す。


「あ、待てー!」


 私たちはおにごっこを中断して、角をとったり、とられたりを始めた。

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