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101 スライムさんといん

「きょうぼくは、すごい、きづきを、したかもしれません」


 よろず屋に入ると、スライムさんがそんなことを言い出した。


「気づき?」

「はい。……いすと、きぐは、にています!」

 スライムさんは宣言した。


「椅子と、器具」

「そうです!」

 スライムさんは、ぴょん、とはねた。


 どういうことだろう。


「器具って、なんの器具?」

「そういうことではないのです!」

「そういうことではない」

 すべてがゼロになる。


「ことばが、にてます!」

「ああ、二文字ってこと?」

「ちがいます! もっとにてます! えいむさん、わかりませんか!?」


 椅子。

 器具。


「そっか。たしかに、同じ二文字でも、椅子とペンより、椅子と器具のほうが似てる」

「そうでしょう!」

「同じ二文字なのに、なんでかな」

「えいむさん、こちらへ……」


 スライムさんはカウンターの上に乗ると、声をひそめて私を呼んだ。

「なに?」

「ぼくのかんがえでは」

「うん」

「ひとことではいえない、なにかがあります……!」

「……そうだね!」

 私はうなずいた。


 椅子、器具。

「……リスも似てる?」

「!! にてます!」

「そのへんに、秘密があるんだろうね……」

「ですね……!」


 私たちは、しばらくだまって考えていた。


「なんだろうね」

「そうですね……。えいむさん、べつのなにかおもいつきますか?」

「別の?」

「いすから、はなれてみましょう」

「そっか。それもいいね。うーん。ペンと、剣とか?」


 スライムさんは、ちょっと考えた。

「いいですね」

 静かな感想だ。


「すごくいいわけじゃない?」

「そうですね……。まあまあです!」

「そっか……」


 たしかに、まあまあな気がする。

 なんでだろう。


「けん、ぺんで、ん、が一緒だから、似すぎてるのかなあ……」

「かもしれません!」

「どんなのがいいかなあ」


 スライムさんが、はっ、とした顔をした。

「もっと、もっとながいやつが、いいです!」

「長いやつ?」

「もじがおおいほうが、かっこいい気がします!」


 言われてみると、二文字より三文字、三文字より四文字のほうが、かっこいい気がする。


「じゃあ、薬草とかで考えてみる?」

「やってみてください!」

 スライムさんが、ぴょん、とはねた。


「えっと……。薬草、なくそう、とか」

「にてます! にてますけど……、やくそうをなくそうとするのは、いけませんよ!」

 スライムさんが、プルプルふるえた。


「そっか、薬草は、このお店の目玉だもんね」

「そうです!」

「じゃあ……、ゴールド、放るぞ、とか?」

「にてます! にてますけど、おかねをほうるのは、いいんですか?」

「だめ」

「じゃあだめです!」

「うーん……」

 あ。


「スライム、スライス!」

「ぼくをうすぎりするのは、やめてください!」

 スライムさんがプルプルふるえた。


「へへへ」

「あ! えいむさん、わざと、ぼくをすらいすしましたね!」

「そんなこと、ないよー」

「あ! あ! うそっぽいです!」

「うそっぽい、黒っぽい」

「ぜんぜんくろっぽくないです! ごまかせてませんからね!」

「ごまかす、そばかす」

「えいむさんは、もうそのやつ、きんしです!」

「きんし、ピンチ」

「えいむさん!!」


 私はスライムさんに追いかけられながら、まだいろいろ言って、スライムさんをぴょんぴょんさせた。

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