100 スライムさんと001
「こんにちは」
よろず屋に入る。
スライムさんがカウンターの上にいた。
私を見ているけど、ちょっとぼんやりしたような顔だ。
「こんにちは」
聞こえなかったのかな、と思ってもう一回言った。
「いらっしゃいませ!」
スライムさんは言った。
平気そうだ。
「スライムさん。昨日たのんでおいた毒消し草、ある?」
「? どちらさまですか?」
「え?」
私たちは、ちょっと、見合っていた。
「エイムだけど」
「えいむさんですね。いらっしゃいませ!」
「えっと……?」
どういうことだろう。
「えっと、私のことはわかるよね?」
「わかりますよ! ぺろりんさんです!」
「エイムです」
「わかりました!」
なんだかおかしいな。
それと、ちょっとなつかしい感じがする。
そう思ったとき、スライムさんのおでこが気になった。
「んん?」
なにか、数字があるようだ。
数字の形に、スライムさんのおでこがへこんでいる。
001、かな……?
「どうしましたか?」
「スライムさん」
「ぼくは、すごいすらいむなので、きがるに、すごいすらいむさんとよんでもいいですよ!」
「スライムさん、なにかおでこに数字が」
「すうじ?」
「ちょっと借りるね」
私は、お店にならべてある中で、お皿くらい小さくてピカピカに光っている銀色の、鎧の一部を外してスライムさんに持っていった。
鎧の一部は、鏡のように反射してスライムさんを映し出していた。
「……ありますね!」
スライムさんは、鎧の一部に近づいて食い入るように見ていた。
「数字の形で、へこんでるよね」
「そうですね!」
私はちょっと考えた。
「……さわってもいい?」
「どうするんですか?」
「へこんでるだけかもしれないから」
私は、スライムさんのおでこを、指先でぷにぷにとさわってみた。
「むむ、むむむ……!」
何度もほぐすようにすると、だんだん、スライムさんのおでこの数字が消えていった。
「おお! きえました!」
「よかった」
「ありがとうございます、えいむさん! そうだ、きのうたのまれた、しんせんなどくけしそうがありますよ!」
「スライムさん、私のこと覚えてるの?」
「?? あたりまえじゃないですか」
スライムさんは、ふしぎそうにした。
どういうことだろう。
「よういしますね!」
そう言って、スライムさんがカウンターの中にある毒消し草を集める。
そのとき、カウンターの上の、はしっこのほうに置いてあるものがきらりと光った。
100ゴールド硬貨だ。
私はそこまで行って、手にとってみた。
そして、まだ手に持っていた、鎧の一部に映してみた。
100、という数字が、001、と書いてあるように見える。
「えいむさん! どくけしそう、10こです!」
「ねえスライムさん」
「なんですか」
「えい」
私は、100ゴールド硬貨を、スライムさんのおでこに押しつけた。
「なんですか、えいむさん……!」
「ちょっと待ってて」
「えいむさんが、ごらんしん、です……」
そろそろかな。
はなしてみると、スライムさんのおでこに、001、とあった。
「いらっしゃいませ、まりりんさん!」
「ちょっと失礼」
「わわっ」
私は、スライムさんのおでこをほぐした。
数字が見えなくなる。
「えいむさん、なんだかへんですよ!」
「……スライムさん、もしかして今日、このへんで居眠りしてた?」
「してませんよ!」
「そっか」
「うつぶせで、せいしんとういつは、してましたけども」
「なるほど!」
「どうかしましたか?」
「ううん、たいしたことじゃないよ。あ、でもね、注意がひとつ」
「なんですか?」
「お金があるところで、精神統一はしないようにね」
「? どうしてですか?」
「うーん。お金があると、雑念が入るでしょ?」
「たしかに! おかねは、ざつねんです! よのなかの、ざつねんの8わりは、おかねがかんけいしています!」
「そうなの?」
「はい!」
「それなら、お金のないところでやろうね」
「わかりました!」
スライムさんは、きりっ、とした顔をした。




