表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ペナルティギフトと呼ばれたBRD  作者: 猫又花子
第四章 アシエラプトル編
48/65

48. オーク戦

 テントの設営は、ガイアさんとスマイルさんが行い、フィリアさんは魔法レベル10の結界魔法Lv4

 を使って、大型の魔物でも気づかないような結界を張った。 この結界魔法は、あくまでも中の人間を魔物から見えなくするだけの魔法であるので、魔物の攻撃の余波とかは受けるし、最悪の場合魔物が入り込んでしまう場合もある。

 魔物が入り込んで来ても奴らには人間が見えないので標的にされる恐れは無いのだが、暴れられると思わぬとばっちりを受ける可能性があるので危険である。


 また術者――今回はフィリアさん――を中心として10m程の円範囲で結界が設置されることと、フィリアさんが範囲内から5m以上離れると結界が消えてしまうので、僕等はフィリアさんの近くに集まる必要がある。 

 なおこの魔法の有効時間は約4時間だ。 このためフィリアさんだけは夜中に起きて、結界を張り直す必要がある。 また結界魔法は魔法体系の中でも異質で、魔法レベル10までに間にLv1~4までしか存在していない。


 そんな結界の中で、僕らは空間倉庫に入れて持ってきたオークヒーラーの肉で焼肉をすることになった。


「ところでスマイルさん」


「何なのカインちゃん?」


「スマイルさんは、なんでオークヒーラーの肉を空間倉庫に入れて持って来たんですか?」


「カインちゃん知らないの? 知らないならお姉ちゃんが教えてあげるけど。 ……おいしーの」


「えっ?」


「だから、オークヒーラーの肉は美味しいのぉ~」


「いや、そうじゃなくて、僕が聞きたいのは……」


「ええっ? カインちゃんはお肉嫌いなの?」


「いや、だからですね、美味しいとかの問題じゃなくて……」



 そんな僕とスマイルさんのやり取りを見ていたフィリアさんがニコニコしながら僕等のかみ合わない会話の中に入って来た。



「どうしたの? カインちゃん、スマイルちゃん」


「フィアちゃん、カインちゃんが折角もってきた肉を食べたがらないのぉ~」


「あら、カインちゃん何故なの? 嫌いなの?」


「……」


「すみません! 僕はお肉が大好きです!」


「……」


「なら問題ないわね」


「なんだ~、スマイルちゃんは安心したの~」


「はい。 問題ないです。 ……いや問題はそこじゃなくてですね」


「じゃ何なの? 本当にこの頃のカインちゃん面倒よね。 反抗期かしら?」


「反抗期じゃないです……」


「……」


「なら、何なの? 言ってみなさい?」


「ええと僕が聞きたいのは、何故空間倉庫からテントを取り出してまで、オークヒーラーの肉を空間倉庫へ入れたのかを知りたかったんです」


「カインちゃ~ん。 そんなのお肉を腐らせたくからよぉ~。 常識なのよ~」


「お肉が腐らなくなるんですか? 何でですか?」


「そんなの、そう決まってるからに決まってるじゃないの。 スマイルちゃんに聞かれても困っちゃう」


「そんな、決まってるって……」


「あ~はい、はい。 カインちゃんの聞きたいことが何となくわかったわ。 この位の年の子は ”なんでなんで” って質問して来てともかく面倒なものなのよ」


「うぐっ、 そんなはずは……」


「エットね、空間倉庫には生きている生物を入れられないのは知ってるわね?」


「はい。 知ってます。 理由は聞きません」


「よろしい。 それでお肉が腐るってことはどういう事かしら?」


「えっと、臭くなって、食べるとお腹を壊すようになることです。 あとは病気になったり、最悪死にますね」


「……ちょっと質問を変えるわね。 お肉が腐る原因は何かしら?」


「それは、ハエが集って、うじ虫が沸いて、それで……あ!」


「分かったみたいね。 物が腐るって、目に見えないくらい小さい生き物が原因だそうよ。 それでね、空間倉庫にお肉を入れるとその小さい生き物が死んじゃうのよ。 小さい生き物であっても本来倉庫入れられないから反発を受けるんだけど、死体に閉じ込められちゃってるから逃げ場が無くなって押しつぶされるとか、そういうんじゃないかしら」


「わ、わかりました。 ありがとうございました」


「ええっ! も、もしかして、カインちゃんって賢くなっちゃった? あああ~! スマイルちゃんは悲しい~」



 そうか、つまり空間倉庫に入れると食べ物でも何であっても、もれなく殺菌されて無菌状態になるってことか。 それなら空間倉庫に保存食じゃなくて普通のご飯を入れておいても良かったのか~。  


 僕は今回一つ勉強になったと思った。 だがこんなのどこかの本に書いてあったりしないだろうか? 気になったので記録ボードを検索して調べたところ、空間倉庫の解説にそれらしきことが書いてあった。 


 う~ん、僕ってコピーしてるだけで、基本読んでるわけでも理解しているわけでもないからな~。 改めて本を真面目に読んでもう少しこの世の常識を勉強しなきゃ駄目なんだろうな。



 ◇   ◇   ◇


 オークヒーラーの美味しいお肉を食べた翌日はオークキングとの決戦の日である。

 朝ごはんを食べて、準備運動をしてから、僕達はオーク達との決戦の場へと向かった。


 そして戦闘開始となった。 

 判明している今日の相手は、オークキング、オークファイター、オークバトルメイジ、オークヒーラーが2匹の合計5匹のはずである。


 まずフィリアさんが設置型の結界魔法Lv4を使った。 

 これは治療師の安全を確保するために使用する戦術だそうだ。 主に攻略組織が大きな戦いで用いる魔法である。

 次にガイアさん、スマイルさん、サトリさんが自己強化魔法を使った。 そしてスマイルさんは、自分の手に少し傷を付けた。


 なぜ自傷行為を?と思ったが直ぐに理由が分かった。 フィリアさんが魔法レベル9の大魔法である状態回復Lv9をスマイルさんに使ったのである。 すなわちこれで苦痛軽減大を付与したことになる。 アタッカーは怪我に弱いばかりでなく苦痛耐性も高くない。 怪我を負うと戦えなくなってしまう可能性が高いから予め苦痛軽減を施しておくという訳だ。 


 最後にフィリアさんが僕からMPを吸い取って自分のMPを満タンにして準備完了である。



 サトリさんが結界の外へ出て、爆裂魔法をオークキングへ使った。


 ドォォォォーーーン!!!!!!


 戦闘開始のゴングが鳴ったのである。

 オークキングは、当然ながらサトリさんに敵意を向けて迫って行く。 取り巻きのオークたちも遅れてそれに付いて来る。

 オークヒーラーの二匹はそれぞれオークキングにHP回復と治療魔法を詠唱し始めている。


 ガイアさんがサトリさんの前へ出て、オークキングを盾で殴りつけて自分に敵意を向けさせた。

 同様にスマイルさんが、オークファイターを相手取った。 

 オークバトルメイジはサトリさんに対して火魔法の詠唱を開始している。


 この段階でサトリさんが一旦結界の中へ帰って来た。

 オークバトルメイジはサトリさんを見失ってしまって詠唱を中断した。 そのかわり今度はガイアさんに向かって詠唱を開始した。

 サトリさんは僕からMPを吸収してから再び結界の外へと出て行き、オークキングに対して爆裂魔法の詠唱を開始した。


 ドオーン!  


 ガイアさんへオークバトルメイジの火魔法が着弾した。

 ガイアさんは少しだけダメージを受けたようだが、その程度は全く意に介していないようだった。


 ドォォォォーーーン!!!!!!


 今度はオークキングの背後にサトリさんの爆裂魔法が着弾し、オークキングはサトリさんに敵対を向けた。 するとガイアさんはスマイルさんが相手をしているオークファイターを殴り、敵対を自分に向けさせた。 自由になったスマイルさんは、オークバトルメイジを相手にすることにした。


 そして爆裂魔法を受けたオークキングは、サトリさんを追いまわし始めた。

 サトリさんは逃げながら再度爆裂魔法の詠唱を行っている。 

 対象はオークキングを回復しようとしているオークヒーラーの一匹だ。



 ドォォォォーーーン!!!!!!


 オークヒーラーの背後に爆裂魔法が着弾し、それでオークヒーラー1匹は瀕死となった。 それを見たスマイルさんは、相手にしていたオークバトルメイジを無視して、その瀕死のオークヒーラーに向かって行き最後の追い込みをかけた。 そしてオークヒーラーの一匹を倒したのである。


「一匹倒したぁ~」


 スマイルさんが叫び声をあげた。



「!!!!!」


 アスナが結界の外へ出て、オークバトルメイジにスタンを使って火魔法の詠唱を中断させたのである。 そのオークバトルメイジはスマイルさんに向かって火魔法を詠唱していたのだ。 そしてアスナは結界の中へ戻って、スマイルさんは再びオークバトルメイジに向かった。



 ドォォォォーーーン!!!!!!


 サトリさんさんの爆裂魔法が、オークヒーラーの残り一匹へと着弾し瀕死にした。 するとそれを見たスマイルさんがそのオークヒーラーを倒し、アスナが再びバトルメイジの火魔法を中断させるというパターンを繰り返した。 


「2匹目のオークヒーラーも倒したのぉ~」


 スマイルさんは報告した後でオークバトルメイジとの戦に戻った。



 現状はオークヒーラーを2匹倒し、サトリさんがオークキング、ガイアさんがオークファイター、スマイルさんがオークバトルメイジとそれそれ戦っている。 



 サトリさんはオークキングを引き連れて、ガイアさんの所へ近づいて行った。 するとガイアさんがオークキングを殴り、自分へ敵対を向けさせた。

 これでガイアさんは、オークキングとオークファイターの2匹を引き受けることになった。


 自由になったサトリさんは一旦結界内に戻って来ると、僕からMPを全力で吸い取った。 その結果僕の残りMPは1000を切ってしまった。


 その時フィリアさんがガイアさんに対して治療魔法Lv8を詠唱を開始した。 味方をターゲットにする治療魔法は結界の中からでも使えるのだ。

 そしてサトリさんは外へ出ると、オークファイターへと爆裂魔法の詠唱を開始した。


 ガイアさんへフィリアさんの治療魔法が着弾し、少し遅れてからオークファイターへサトリさんの爆裂魔法が着弾した。


 ドォォォォーーーン!!!!!!


 これによりオークファイターはサトリさんへ敵対を向けて追い始めた。 オークファイターから逃げるサトリさんは、逃げながらそのオークファイターへと爆裂魔法の詠唱を開始した。


 ドォォォォーーーン!!!!!!


 そしてサトリさんの爆裂魔法がオークファイターへ着弾した。 それによってオークファイターは瀕死になった。 これを見たスマイルさんが、オークファイターへ攻撃を集中させた。


 この時オークバトルメイジがスマイルさんへ火魔法を使い始めが、スマイルさんはオークファイターを直ぐに倒してしまった。 


「オークファイターを倒したぁ~」


 これで残るはオークキングとオークバトルメイジだけとなった。 そしてアスナがスタンでオークバトルメイジの詠唱を止めた。


 スマイルさんがオークバトルメイジを相手にした。  

 僕はこの時ガイアさんとスマイルさんに気づかれないようにアスナからMPを吸い取っておいた。



 ドォォォォーーーン!!!!!!


 サトリさんはオークキングへ爆裂魔法を使い、自分に敵対を向けさせてマラソンに入った。


 ガイアさんはオークバトルメイジを殴って敵対をスマイルさんから自分へと移した。 これによりスマイルさんはオークバトルメイジへと本格的な攻撃を開始し、程なくして倒してしまったのだった。 これで残るはオークキングのみとなった。


 ガイアさんが残るオークキングを殴って、自分へ敵対を向けさせたところで僕からMPを吸うためにサトリさんが結界内へ戻ってきた。 そしてMPを吸い取ったサトリさんは、結界の外へ出て行き、爆裂魔法の詠唱を開始した。


 結果、スマイルさんの攻撃と爆裂魔法2回でオークキングは沈んだのだった。



 この戦いでは、サトリさんの逃げ回りマラソンと、爆裂魔法が大活躍したというのが僕の正直な感想である。


 それにしても、オークの上位種ってこんなに強かったのか。 

 この世と、僕が記憶している世界のゲームのイメージと全く違っている印象だ。



 その後の戦後処理だが、まずサトリさんが水生成魔法を使って付近の火消しを行っていった。 あれだけ爆裂魔法を使ったのだから、この後始末は当然と言えるだろう。


 対してガイアさんとスマイルさんはオークの解体を始めた。 解体といってもフィリアさんが持っている空間倉庫には十分な空きがないと思われているから基本は魔石を取るだけだった。 

 ちなみにINT系の魔核魔石がオークヒーラーから1つだけ取れたが、残りは通常の魔石だけだった。


 尚このパーティのノーマルな魔石は全てフィリアさんに使ってもらっている。

 治療師はパーティの命綱なので、できるだけ強くなってもらわないと困るからとのことだった。 攻略組織では人数の力でリスク分散が可能なのだが、このような個別パーティでは治療師の存在は大きい。


 魔石以外のオークの素材で有用なのは肉である。 しかし今回のヒーラー肉さえも、フィリアさんに貸与した空間倉庫には入れられない量なのは誰が見ても明らかだった。


 それでもフィリアさんとサトリさんは、アスナが巨大な空間倉庫持ちで、僕も1立米サイズの倉庫持ちであることをご存じなので、オークヒーラーの肉を切り分けてくれた。 僕らはガイアさん達に見つからないように密にそれを空間倉庫にしまったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ