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箱庭の薬術師  作者: ぷにちゃん
第2章 ミニチュアガーデン
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30. イクルの服と武器

 大きく体を伸ばして、部屋の窓を開ける。

 さて、今日も1日が始まりますよ!



 - - - - - - -


 おはよう、ひな。

 今日も良く眠れたみたいで良かった。


 アルフレッドにスライムに… ひなは上手くレティスリールで生活出来てるね。

 最初はすっごく心配だったけど、少し安心したかな。もちろん、今だって心配なことに変わりはないよ?


 それと、僕のこと…ね。

 知り合いはいるけど、基本的には1人かな。

 神という存在は、誰かが産むっていう訳ではないからね。だから、ひなが僕の家族になってくれると嬉しいんだけどね…?


 あ、そうそう。

 少し寒くなって来たから、タンスに新しい服を入れておいたから使ってね。


 - - - - - - -





 新しい服? とな?

 いやいやいやいや、それではなくて、ですね!



 神様、1人なんだ…!?

 出会った時のあの暗い空間にずっと1人なんだろうか。確かに、誰かが神様を産む…というのも、なんだかしっくりこない気がする。それだと、1人で産まれてずっと1人…?

 なんだかとてももやもやするけれど、流石にそこまで突っ込んで聞く訳にも行かない。



「神様の、家族……」



 って、私…!?

 若干自分の頬が熱くなるのを感じつつ、なぜこういうことをさらっと言えてしうのか…! 思わず神様と出会った当時のことが脳裏によみがえって、恥ずかしさが込み上げて来る。

 ここに来て2年引きこもってたから、もうずいぶん長く会ってないんだなぁ。いや、そもそも1回しか会ったことはないのだけれど。会いたいな、なんて。私が思ってしまうのは図々しいだろうか。



「いや、間違いなく図々しいよ… だって相手は神様だもん」



 自分の右手にはめられた指輪を眺めて、ちょっと物思いにふけってしまう。



「いやいやいや、元気に頑張らねば、です…!」



 神様がくれた新しい服をタンスから取り出して、袖を通す。

 水色のレースが付いた可愛いワンピース。それとカーディガンを羽織る。最後に指輪に視線を落とせば、リボンへと形を変えて私の焦げ茶の髪の毛をまとめあげた。



「あれ、自動的に編み込みになってる…!!」



 今までは普通にリボンとして髪に付いていただけだったのに。全自動編み込み機が搭載されているのだろうか…? でも、鏡をのぞいてみれば…とても綺麗にセットされていた。

 さすが神様のアイテム…!

 っと、そろそろ下にいって朝ご飯の準備をしなければ。さて、今日も1日が始まりますよ!







 ◇ ◇ ◇



「イクル、これなんてどうかなっ!?」

「ん、もう少し軽いのが良いかな…」

「むむ。確かにちょと重いかなとは思ってた」



 朝食を食べて、お店をまろに任せ、私とイクルは買い物に来ています。

 イクルの装備を買いに! 現在のイクルは普通の服に、前に街で買った棍を使用している。武器の善し悪しは私にはちょっとわからないけれど、服の部分はもう少し良い物にした方が良いと思うのですよ。

 この間の隠しダンジョンの様な冒険が突発的に起きるかもしれないし。あ、でもイクルは隠しダンジョンに来た時無傷だったなぁ。



「前にも言ったけど、スピード重視だから… 防具って言うよりは、厚手の服とかが良いかな」

「なるほどー…」



 でもさすがに厚手の服っていうだけだと不安だなぁ。

 店内を見回しながら、防具を見ていく。うぅん、やっぱり重さはどれもそこそこあるなぁ。魔術師用のローブならあるんだけど、前衛向きのローブなんてあるわけもないし。なんで魔術師はローブなんだろう? 防御力高いのかな??



「ローブ?」

「ほら、ローブって布じゃない…? 防御力的にどうなのかなって」



 手に取りながら男性用のローブを見ていれば、イクルが首を傾げていた。



「あぁ… 防御魔法がかかってるから、普通の布地よりは良い物だと思うよ」

「そうなんだ…! だったら、イクルの服に防御魔法をかけたら良いんじゃないかな!?」

「って、簡単に言うけど… 防御魔法は特殊な糸を使わないとあまり効果がないよ」

「なんと…! じゃぁオーダーメイドにするしかないかな。うん、なんかそれもオリジナル感が出るし良いかも…!」



 うん、それが良い絶対良い!!

 私は名案だとばかりにお店の人を呼んで、イクルのオーダーメイド防御力高い服を頼む。横でイクルが「それはお金がかかるから普通ので良い」と言っているのですが、聞かなかったことにします。防御力はとっても大事。花もそう言っていたし。



「ひなみ様って、変なところで豪快だよね」

「そう? 防御は絶対大切だよ。それに、イクルがやられちゃったら私もやられちゃうしね!」

「はいはい、わかったよ」

「ん、ありがと」



 なんだか立場が逆転している感があるけれど… まぁいいか。イクルに許可を貰って、採寸をしてもらう。とは言っても、腕や腰回りなどを簡単に計るだけのようだ。



「注文ありがとうね、お嬢ちゃん。デザインはどういった物にします?」

「んー… イクルは何か希望あ…いや、格好良い感じのをお願いします! あっ! でも、もっさりした感じよりも、スラッとしたデザインが良いです…!」

「オッケー! 彼、スラッとしてるものね。お姉さんにまかせて!」

「はい! お願いしますね!」



 イクルは線の細いイケメンだから、スラッと、体のラインが出るような服が似合うと思うのですよ。そして当の本人は興味無さげに鞄などの小物を見ていたので私が決めました! イクルは本当に無関心ごとが多いです。

 ちなみに、服が出来るまでに2週間程かかるようだ。デザイン時間に、特殊な糸を使うのでお時間が普通の服よりも倍程度かかるらしい。

 そして鞄を見ているイクルを見て、鞄を買おうかと思いイクルの元へ行こうとして…やめた。



「お姉さん、追加注文したいです!」

「はいっ!?」

「服に似合う鞄も一緒にお願いします!」



 ふふ、ここで鞄を買うよりも一緒にオーダーメイドをして服にも会う良い鞄をゲットするのですよ。もちろん、それを聞いていたイクルが「何してるのさ」と言って来たが、これは譲れません。オシャレは大事です、テンションが上がります! それにせっかくのイケメンなんだから、良い物を…と、思ってしまうのは仕方がないです。



「まぁまぁ、優しいご主人様じゃないの」

「はぁ… まったく、ひなみ様はへんに頑固なんだから」

「えへへ」



 防具屋のお姉さんのフォローも入りつつ、なんとか納得してもらった。と、思う。

 でも、楽しみだなぁ。えへへへ。おっと、なんとなくにやけてしまいます!



「よーし、あとは… 武器も新調しない? お金もそこそこたまったから、もう少し良いのを買った方が良いんじゃないかな?」

「あぁ、棍ね。うーん… とは言っても、棍を使う人は少ないし…そんな良いもの売ってないと思うよ」

「むむ、そうかぁ…」



 どうしたものか。考えつつイクルの洋服代をお姉さんに渡すと、お姉さんが思い出した様に手をぽんと叩いた。



「そうそう、隣の武器屋が棍を入荷したって言ってたわよ」

「えっ! そうなんですか? それはラッキーだ! 行こうよ、イクル!」

「え、まぁいいけど…」



 お姉さんにお礼を言って、私はイクルと一緒にすぐ隣の武器屋へと移動する。前にイクルの棍を買ったお店とは別で、中に入ると職人気質なおじちゃん…ではなく、ちゃらそうなお兄さんがお店番をしていた。



「あ、こんにちは〜! 可愛い女の子なんて、大歓迎だよ。何をお求め〜?」



 うわ、ゆるっ!!

 なんというちゃらい店員だ! 日本だったら怒られますよ!



「棍を探してるんだけど、良いの入荷したって?」

「お兄さんの武器か〜 あるよあるよ、いいのが1本あるよ〜」



 ゆる〜いしゃべりで、「棍ね〜」と言いながらカウンターの奥に行き、すぐに1本の棍を手にして戻って来た。仕事は速いじゃないですか、ちゃらいとか言ってごめんなさい!!

 それは今まで使っていたよりも若干長い…かな? イクルに似合いそうな深い黒…と見せかけて、若干赤がはいっているかな…? 先と後ろ部分はシンプルだが装飾されていて、なんだかイクルに似合うかも。



 《疾風の棍》

 製作者:鈴花 春

 素早く振ることで炎を生み出すことが出来る。



 おぉ〜!

 武器に名前がついていてなんだか強そうだよ…! しかも製作者の名前までアイテム情報が見える。なんだろう、有名な武器職人なんだろうか。ちょっと日本人の様な名前だけど、こういう表記の国や地域があるのかもしれない。そうだったら、一度行ってみたいなぁ。



「良い品ではあるんだけど、いかんせん棍を使う人がいなくてねぇ〜 買ってくれるなら安くするよ〜」

「本当ですか? ちなみにお幾らで…?」

「そうだなぁ。お嬢ちゃんは可愛いから〜 ん〜! 80,000リルでどう〜??」

「ようし、買ったー!」

「ちょ、ひなみ様っ!?」



 私が即決で買うと言ったからか、イクルがすかさず止めに入る。だがしかし、ちゃらい店員さんはさっとお会計の準備を始めていた。素早いですよ…!?

 まぁ、正直なところはあれですよ。振ると炎を生み出す棍とか、すごくすごく気になるではないですか。イクルの為の武器ではあるのだけど、若干自分の興味も入っている。

 って、待って待って! 私は効果的に良いと思ったけど、イクル的に良くない効果だったかもしれない…!



「ごめんイクル、もしかしてこの武器だと微妙だったかな? 振ったら炎が出るとか駄目だったかな??」

「あ、いや… 棍自体は良いものだから問題ないけど… 80,000リルをためらいも無く即決で使わないでよね…」

「あはは… ごめん。でも、良い物なら良かったよ〜!」



 ふぅ、一安心です。神様、私はやりきりましたよ!

 ふふんとちょっとドヤっとしつつ、ちゃらい店員さんに代金を支払う。回復薬(ポーション)が順調に売れてて良かった! まぁ、これで手持ちのお金はちょっと寂しいですが。一応装備を買うので多めに持って来ていて良かった〜! でも、最初に買った時の棍が7,000リルだったからかなり良い棍なのではないだろうか!



 でも、色々武器があるなぁ。私は神様に貰った物があるからいらないけど、普通の冒険者は自分で購入したりして…うん、大変だ!

 剣や槍とかは王道っていう感じだし… あ、投げナイフ的なものもある! こういうのって、一度使ったら回収するのかな? もったいないし… うぅん、武器って難しい。

 お、あれは何だろう…? 棚に飾ってある可愛い腕輪。デザインは可愛いけど、割と太めかつ頑丈に作られているような。手に取ってまじまじと見ていれば、イクルに「何物騒な物もってるのさ」と突っ込みが入った。物騒な物、とな?



「だめだめ〜 それはお嬢ちゃんの様な可愛い子が持つ物じゃないよ〜 なんてったって、それはすっご〜く! 切れ味の鋭すぎる魔力の通った糸が組み込まれてるんだから」

「ええぇっ! 切れすぎる糸が出る武器…! そんな恐ろしい物があるなんて!」



 蜘蛛の巣みたいな感じだろうか? 敵をからめとって倒す、みたいなことだろうか。とりあえず、扱うのはとても難しそうだと言うことは何となく感じました。



「……」

「使いやすそう?」



 無言で棍を手に取って、ちょっとくるりんと回したイクルに声をかければ、なんとも微妙な顔をしている。あれ、手になじまなかったかな…? ちょっと不安になりつつ、もう2、3と棍を回した様子を見ればそんなこともないような?



「…微妙?」

「いや、そんなことないよ。ありがとう、ひなみ様」

「そう? なら良かった…! でも、微妙なこととかあったら言ってね?」

「ん、わかった」

「ありがと〜 メンテナンスなら受けるから、また来てね〜」

「はい。ありがとうございます!」



 最後までちゃらゆるい店員さんに挨拶をしてお店を出て、今日の夕飯の材料でも買って帰ろうかなと考える。

 さて、イクルの服が出来るまで2週間。楽しみです!

やっと更新できましたー!

次の更新もおそらく日曜日。更新頻度をあげられるように頑張ります…!!

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