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箱庭の薬術師  作者: ぷにちゃん
第2章 ミニチュアガーデン
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29. 可愛いお客様

「ええっと…」

「どうしたぽ?」

「あ、いえ… その、体力回復薬(ハイ・ポーション)が売り切れてしまっていまして…」

「がああぁぁんっぽ!」



 突然訪れた小さなお客様、スライム…!

 これって敵ではないの? 魔物だよね?

 そんな疑問が私の頭をくるくると駆け巡るのですが、特に敵意は無いようだし、お買い物かごをもっているし。とりあえずは、安全のような気がする。それに何よりしゃべっているし…! 魔物もしゃべれるんですね。びっくりだよ!

 スライムさんの「体力回復薬(ハイ・ポーション)が欲しい」という問に、動転して思わず「はい」と返事をしてしまったが、売り切れてしまったことを思い出してそれを急いで伝えた。



「でもそれならしかたがないっぽ… 怪我をした妹に飲ませてあげたかったぽ〜」



 しゅんとしながら俯くスライムさん。ごめんなさいと思いつつも、え? 妹さんがいるの? と、内心は驚いている私です。というか、スライムにも家系的な物があるのだろうか。

 でも、妹さんの為に回復薬(ポーション)を買いに来てくれたのかぁ。優しいなぁ。しかもスライムなのに…偉い! 私もきっと()の為ならスライムが運営しているお店にだって行けるよ…!



「妹さんの為になんて、優しいんだね。体力回復薬(ハイ・ポーション)は売り切れちゃったんだけど、深紅の回復薬ガーネット・ポーションはあるから、そっちでもいいかな?」

「うーん… それだとお金がたりないぽ…」

「あ、そうか…」



 体力回復薬(ハイ・ポーション)は1,000リルで、深紅の回復薬ガーネット・ポーションは1,600リルだ。だしかに、1,000リルでも通常より高い値段なのに、そこから600リルのアップは厳しいものがあるかもしれない。

 でも、妹さんの為に来てくれたのに…よし、決めた。



「妹さんの為に買いに来てくれたんだよね。だったら、今日はサービスして深紅の回復薬ガーネット・ポーション1つ1,000リルでいいよ」

「えっ! いいんですかぽ!? あなたは女神様かぽ!? 崇めれば良いかぽ!?」

「いやいや。私にも妹が1人いるから、スライムさんの妹さんを助けたい気持ちが分かるんだよ」

「そうなのかぽ… ありがとうぽ。このご恩は絶対忘れないぽ!」

「えへへ、どういたしまして!」



 スライムさんがカゴからお財布を出して、器用に銀貨を1枚…1,000リル渡してくれた。背が足りないので、私がしゃがみ込んでもらう形だけど、多少は体が伸びるようで、スライムの神秘を感じた気がします…!

 でも、このスライムさんどこから来たのだろうか? 誰か冒険者のペット的な物なのだろうか。

 あ、そうか! 確か、初心者講習の時に調教術師という職業があって、魔物と一緒に戦うってラークさんが教えてくれたんだった。

 となると、どこかに冒険者の主人的な人がいるのかな? あれ、でもそうすると妹は冒険者さんの妹さんなのかもしれないぞ? うん、こんがらがってきた!



「これで妹が元気になるぽ! ありがとうぽ〜!」

「うん、早く飲ませてあげてね!」

「ダッシュで帰るぽ!」

「ありがとうございました!」



 再度スライムさんにお礼を言われ、お見送りをする。

 早く妹さんを元気にして上げて下さいね…!



 っと、あれ?



「アルフレッドさん!」

「こんにちは」

「こんにちは、いらっしゃい」



 スライムさんを見送って棚を少し整理していたら、窓の外にアルフレッドさんが!

 どうしたんだろう、シアちゃんと一緒じゃないなんて珍しい。



「店はどうだ?」

「ん、順調ですよ。なんだか上手く行き過ぎてて少し怖いくらい」



 店先でそんな話をしていれば、「そうか」と言ってアルフレッドさんがパチンと指を鳴らした。

 えっ…! いったい何事…!?



「って、えっ!?」

「ひなみに、プレゼントすると言っただろう?」

「え…? あ、もしかして… 市場での?」



 店先に置かれた2人で座れる小さな木の椅子を見て思い出した。そういえば、前にアルフレッドさんに魔力木の装飾品をプレゼントすると言われていたのだ。

 だからといって、これは結構なお値段なのではないだろうか?



「って、机も…!?」

「あぁ、セットだ。中々に良いだろ?」

「いや、もうすごくすごく可愛いですけど… こんな凄いものいただけないですよ」



 魔力木で作られている2人掛けの椅子と、小さな机。お店の看板に使われているのと同じ種類の花が咲いていて、円形の机は中央部分がタイルになっていて、とてもおしゃれで、可愛いのです…!

 いったいいくらしたんだろう… 絶対にお店の看板より高いよ…!!



「気にするな。俺がひなみにプレゼントしたいと思っただけだ。それとも何か、俺に恥をかかすのか?」

「いや、そんなつもりじゃ…!」

「なら、大人しく貰っておけ」

「あっ…あ、ありがとうございます…」



 これが貴族スマイルなのか…!

 私の頭にポンと手を置いて、顔を覗き込まれる様に微笑まれた…! 何これとても恥ずかしいです! 精神的には私の方がお姉さんなのに! 良い様に弄ばれている…のか!?



「っと、すまない、今日はこの後用事があるんだ。また来る」

「あ、はい。ありがとうございます、アルフレッドさん…!」

「あぁ!」



 机と椅子を置いて、颯爽と去っていってしまいました。

 イケメン過ぎですよ、アルフレッドさん。あれで重度のシスコンでなければモテモテなのではないだろうか。いや、きっとシスコンを差し引いてもアルフレッドさんはモテモテなのだろうなぁ。





「こんにちはぽ〜!」

「いらっしゃーいって、さっきのスライムさん!」



 せっかくだしと、店先のベンチに座って通りを眺めているとさっきのスライムさんがやってきた。

 時間にすると、あれから2時間くらいは立っているのかな。思ったよりベ椅子に座っている時間が長かったようだ。妹さんは大丈夫だったのかなぁ…?



「妹が元気になったぽ! ありがとうぽ!」

「そっか! 良かったよ…!」



 どうやら妹さんが元気になった報告に来てくれたようだ。なんだか嬉しいな。



「こっちこそ、伝えに来てくれてありがとうね」

「ぽ〜!」



 ぴょんっとジャンプして、スライムさんも椅子に座る。座るという表現が正しいのかは分からないが、こうやってお客様と話を出来るって言うのは何か楽しいかもしれない。



「素敵な椅子と机ぽ! でもさっきは無かった気がするぽ?」

「うん。あの後知り合いが贈り物としてくれたんだよ」

「なるほど! お店にぴったりぽ!」



 うんうんとうなずきながら、スライムさんもこの椅子と机を褒めてくれた。なんだかとても嬉しいね!

 そういえば、スライムさんは主人の冒険者からこんなに離れていて大丈夫なんだろうか。若干心配になりつつも、ファンタジー世界だからこれが普通なのかもしれないし。変に聞いてスライムさんにドン引きとかされたらそれはそれでショックですよ。



「と、そろそろ家に帰るぽ! また来ても良いぽ?」

「うん、もちろんだよ! いつでも遊びに来てね!」

「ありがとぽ! ばいばいぽ〜!」



 ぽよぽよと跳ねながら、スライムさんは帰って行った。

 まさか人以外のお客様まで来てくれるなんて。そう思いつつ、お店に戻ればイクルがお茶とお菓子を持って来てくれたところだった。



「外にいたんだ?」

「うん。アルフレッドさんが、机と椅子をプレゼントしてくれたよ」

「へぇ… 魔力木なんて、良い物を貰ったね」

「うんっ!」



 どうやらイクルが作っていた小屋が完成したようで、明日からお店を手伝ってもらえるみたい。

 今すぐにでも見に行きたいけど、お店の片付けとかもしないと駄目だし。うーん、うずうずしますね!



「見たいなら、見てくれば?」

「えっ?」

「言ったでしょ、ひなみ様は全部顔に出る…って」

「うぅ… じゃぁ、ちょっとだけ! すぐに戻るね!」

「はいはい」



 くぅ、イクルめ…! 私はそんなに分かりやすいのか! そう思いつつも、お言葉に甘えて私は庭にダッシュするのですよ!

 っと、勢いよく家の扉を開けて庭に出れば、転びそうになってしまった。えへへ。



「うわああぁぁ、すごい!」



 ゆっくりと庭を見渡せば、そこには小さ…くはない小屋が建っていた。そうだよね、ひよこも大きく成長したから、今は鶏3羽とモーのお家だもんね。そこそこの大きさになるのか。赤い屋根に、木造の作り。シンプルなのに、ちょっと丸みがかったフォルムが可愛く仕上がっている。

 小屋は、家と魔力マングローブの間に建てられていた。雨もしのげる様に、きちんと壁もあって安心する。昼間は庭で好きにしているから、小屋に入れるのは夜だけだけど。

 中は庭に刈り取った草がしいてあって、なんだか心地良さそうな作り。そして魔力マングローブから水を引いているようで、きちんと設備までもが整っていた。壁には棚があって、ちょっとしたお世話の道具がしまえる様にもなっていた。

 あぁ、もう。イクルは良い職人だなぁ。すごいなぁ。



「ひなみぃ〜っ」

「あ、まろ!」

「完成したんだね! 可愛いね!」

「うん。まろは料理してたの?」

「そう! だいぶ上手くなったのである!!」



 そうかそうか。それでは今夜楽しみに…しますよ?

 まろの料理が上達する未来の見えない私をどうか許して下さいね。



「そうそう、今日可愛いお客様が来たんだよ」

「かわいー? まろより?」

「えっ… うーん、どっちも可愛いよ?」

「へへへ〜! あっ! お鍋に火をかけっぱなしだった!」



 ちょっ! まろー!!!

 やはり今夜のご飯も厳しい時間になるかもしれない。

 あぁ、不安だ…! 私が倒れて眠っている間に、イクルが料理を教えてくれていた様だけど…上達しなかったとイクルが言っていた。私も後で教えてあげようっと。

 まろに続いて家に入れば、片付けを終えたイクルも戻って来ていた。どうやらまろが作った料理の味付けを仕上げているみたい。…あれ、イクルってスープしか作れないって言ってたけど、大丈夫かな?



「ひなみ様、小屋どうだった?」

「ん、すごい可愛くて、中もしっかり作られててびっくりしちゃったよ! イクルって何でも出来るんだね。ありがとう!」

「どういたしまして」



 なんだか私にイクルはもったいないね…! と、つくづく思う。

 これからも仲良くやっていかねばっ!



「今日のご飯はシチュー的なものだよ〜」

「わー! 美味しそう!」



 的、なものというのは聞かなかったことにして、まろが料理していたお鍋を覗き込む。うん、良いにおいがする。これは味も期待出来るぞ!





 - - - - - - -


 そう、思っていた時が私にもありました。

 まろには申し訳ないけど、明日の晩ご飯は私が作ろうと思います。

 そんなに調味料が無いので、あまり味に変化は出ないはずなんですけど、不思議です。


 あと、今日はお店にスライムさんが来ましたよ!

 誰か冒険者さんの仲間かな? と思っているんですけど、どうなんでしょう。まだこの世界のことを詳しくは分かっていないので、もっと勉強したいです。

 怪我した妹さんの為に回復薬(ポーション)が欲しかったみたいで… 妹想いで、とっても優しいスライムさんでした。やっぱり、家族って良いですね。

 その後は、アルフレッド様にいただいた魔力木で出来た机と椅子でまったりしました。

 そう言えば、神様ってご兄弟とかはいらっしゃるんですか?

 いつも良くしてもらっているのに、神様のこと何も知らなくて… あ、もちろん一般人の私では知ってはいけないこともあると思うので、もしあまり言ってはいけないのであれば、スルーしちゃって下さいね…!


 明日からは、イクルとお店番の予定です。それで、明後日はお休みにして、イクルの服を買いに行く予定です。服と言っても、戦闘用の装備? ってやつです。

 私は神様にいただいたのを大切に使います! ちょっとデザインが可愛過ぎて恥ずかしいですけど…


 それでは、おやすみなさい!


 - - - - - - -



 よしっと。

 神様への交換日記を書いて、私は布団へと横になる。それと同時に髪に結んでいたリボンがほどけて右手の小指に指輪として収まる。ピンクゴールドの可愛いピンキーリングは、なんだか私にはもったいないけれど。

 なんだか見ていると心があったまるのですよ。



 さて、おやすみなさい。

 明日も楽しい1日になりますように。

なかなかに更新が遅くてごめんなさい。

次回の更新は日曜日の予定です。

その後は書きだめてこまめに更新出来たら良いなと思います。

しかし私の言葉に信頼性は0ですね! がんばります!

もうすぐ2章も終わりです…! そわそわ!

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