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箱庭の薬術師  作者: ぷにちゃん
第4章 初代勇者の英雄奇譚
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17. ダンジョン攻略のススメ

本日は書籍発売日です!

ということで、おめでたいね更新ですー!

 そこはダンジョンというよりも、イメージは遺跡に近い。

 話し合った通り、私たちは午前の間に村を出て迷宮のダンジョンの入り口へとたどり着いた。

 1時間ほどダッチョンを走らせて、広い草原を駆け抜けた先に……ぽつんと遺跡、もといダンジョンがあった。



「おい、あれってアルフレッド様じゃないか!?」

「本当だ! 勇者サリナ様もいるぞ!!」

「きゃー! こんなところでお姿を見られるなんて!」

「うぉぉ、サイネ様もいるぞっ!」



 …………はっ!

 いけない、ダンジョンの入り口あたりにいた冒険者さんに圧倒されてしまった。

 おそらく狩りをするためなのだろう、ダンジョンの前には何組かの冒険者パーティーがいた。

 直接、話しかけてくることはない。けれど、ひそひそと話すにはいくぶん声が大きくて……すべてこちらの耳に届く。



「すごい人気ですね……」



 ぽそりと呟き、どうして私はこんなすごい人たちといるのだろうか。と、また疑問を感じてしまう。

 しかし、当の本人たちはまったく気にしていないようで、平然としている。

 つまり、いつも注目されていて慣れているということだろうか。それもそれで、すごいな。私だったら、間違いなく穴を掘って隠れる自信がある。



「ひなみさん、ダッチョンを預けてきますね。サリナとここで待っていてください」

「ありがとうございます。私はサリナさんと荷物の確認をしておきますね」

「えぇ、お願いします。私が回復魔法を使えますが、万が一……はぐれてしまうという事態も想定してくださいね」



 サイネさんの言葉に、私は真剣に頷く。ダンジョン初心者である私は、注意しすぎるにこしたことはないだろう。

 たくさんの回復薬(ポーション)を持っていきたいけれど、あいにくと私のリュックは普通のリュックだ。

 アルフレッドさんたちの鞄のように、たくさんの物が入れられるわけではない。



 私が欲しくて仕方がない魔法の鞄(マジックバック)

 これは通常の鞄と違い、物がたくさん入る。手に入れるのはとても大変で、お店で売っているなんてことはまずない。

 オークションに出た物を競り落とすか、自力でダンジョンなどの宝箱から発見するしかないのだという。私も手に入れたいけれど、少し難易度が高すぎて諦めているのです。



回復薬(ポーション)は私たちももちろん持つけど、管理はひなみちゃんにお任せするね」

「はい!」

「休憩のときに、残りの回復薬(ポーション)数を報告するから、パーティーのトータル数を把握しておいてね。少なくなってきたら、無理をせずに引き返すから」



 回復薬(ポーション)の管理。それが与えられた、私の任務だ。自分のリュックを確認して、もっている回復薬(ポーション)を数える。



 体力回復薬(ハイ・ポーション) 3個

 真紅の回復薬ガーネット・ポーション 10個

 深海の回復薬(マリン・ポーション) 10個

 菖蒲の回復薬(アイリス・ポーション) 10個

 姫の加護薬 5個

 解毒薬 5個



 合計43個だけど、リュックが大きいのと1個が小さいのでもっていくことができる。魔法の鞄(マジックバック)をもっているサリナさんが、私の必需品を少し持ってくれているというのも理由のひとつ。例えば、お弁当やコップなどの簡単な食器類。

 ……でも、ダンジョンの中で食器類なんて使うのだろうか? サリナさんに用意しておくようにいわれたので、素直に用意したけれど。

 ダンジョンの中で料理でもするのだろうか。そうなると、食材も持ってきている……? いやいや、さすがにそれはあまり現実的ではないような気がします。



 ちなみに、ソールは久しぶりの地上になれないからと、リュックの中ですやすやと寝息を立てて休んでいる。可愛い寝顔だなぁとほっこりしつつ、あまりリュックをゆさぶったりしないように気をつけなければ。



「おまたせしました。サリナ、ひなみさん。行きましょう」

「ひなみはあまり無理をせず、疲れたら休憩を入れるからちゃんと伝えるんだぞ」



 ちょうど荷物の確認が終わったところで、アルフレッドさんとサイネさんがもどってきた。

 初心者である私を気遣ってもらい、いざダンジョンへ。探索では、基本的にサリナさんが戦闘を歩く。その次にアルフレッドさん、私。そして最後にサイネさん。

 とは言っても、きっちり一列にではなく、横に並んで歩いたりもします。



 迷宮のダンジョンに足を踏み入れれば、そこには数匹のスライム。

 さっそく戦闘が始まるんだ! そう身構えてみたけれど、戦闘のサリナさんはスライムを無視して歩き続ける。……あれ?



「倒さないんですか?」

「ここは経験の浅い冒険者もくるダンジョンですからね。弱い魔物は彼らにまかせて、私たちは先へ進みましょう」

「なるほど……」



 すべてを相手にしているよりも、先に下層を目指すスタイルのようだ。丁寧に説明をしてくれるサイネさんにお礼を言い、入ってきた駆け出し冒険者がスライムと戦うのを見た。

 なるほど確かに、私たちがスライムを倒してしまうよりもいい。若い子がスライム相手に己を磨く、そのチャンスをしっかり残しているのだろう。



「まぁ、スライム程度では瞬殺してしまうのでしょうけどね」

「あはは……」



 やっぱりスライムでは己は磨けない……か。



「地下3階までは、普通に歩いて20分くらいだな。その後は、仕掛けをクリアして進んで行く」



 5分程度歩いたところで、私の視界に地下へと続く階段がはいった。青みがかった薄いレンガの壁に手をついて、ゆっくりと階段を下る。

 ちなみに、1階部分にはスライムしかいなかった。そのせいか、私たちのようにスルーをしながら進む冒険者も少なくないようだった。



「2階には、ハードウルフとクロバットがいるよ! こっちに向かってきたのだけ倒していくから、ちゃんと着いてきてね!」

「は、はいっ!」



 剣に手をかけながらそう宣言するサリナさん。強い瞳を見れば、やはり剣術師であり、勇者なのだと思う。絶対護るということを、瞳に語りかけられた気がした。



 2階へと下りれば、あいかわらず青みがかった薄いレンガ造りの通路。レンガの隙間から少し水がもれている箇所があり、ハードウルフが水を飲んでいるのを遠目で見てしまう。

 怖いと、そういう気持ちがこみ上げてくるのだけれど……サリナさんはもちろん、アルフレッドさんもサイネさんもまったくハードウルフを気にしていなかった。ハードウルフも、こちらに向かってくることはない。



「全然、襲ってこないですね?」



 なぜ? と、私が疑問を口に出せば今度はアルフレッドさんが答えてくれる。

 ようは、このパーティーメンバーが強すぎるのだ。ハードウルフも恐怖して、手を出してこないのだそうだ。野性の勘なのか、それともそれすらを凌駕し恐怖させるのがこのパーティーなのだろうか。

 思わず「すごい」とつぶやいて、それならばと私も落ち着きながら辺りを見渡した。

 まだ少し怖いけれど、襲ってこないのであればきっと大丈夫であろう。きっと。



「ひなみは、もっと魔物を見て慣れるべきだな」

「う、はい……自覚はしているんですけどね」



 どうしてもはじめにびくっとなってしまうのです。

 というか、私からすれば、なぜ皆が平気なのかを聞きたいところではあるのですが。やっぱり慣れ、なのかなぁ。この異世界にきた当初とくらべれば、大分改善はされた。けれど、この世界に住む人の基準で考えれば……私はまだまだなのだろう。







 ◇ ◇ ◇



「え?」



 私たちは、順調にダンジョンを進んで3階の奥……4階へ行くための扉の前にいる。

 そして驚きに声をあげてしまったのは、仕方がない。ここから先は、アルフレッドさんたちの言っていた仕掛けとやらが階段に仕掛けられている。

 そしてその仕掛けは、1度クリアして使うと、違う仕掛けが自動的に再度出来上がるのだという。



「どうした? ひなみ」

「仕掛けが新しく出来るのはいいんだけど……いや、思ったよりも簡単な仕掛けだったので」

「えぇ。ここはまだ4階へ進む道ですからね、こんなものですよ」



 サイネさんが、「これからどんどん難易度があがります」と教えてくれる。

 今、私が見ている仕掛けとは……ボールのはめ込みだ。扉に3つの色のくぼみがあって、そこにボールをはめる。そのボールは、ご丁寧なことにくぼみと同じものを壁に埋め込まれた石造がくわえていた。

 なんと安易な。そう思いつつ、壁の石造から赤い色のボールを手に取る。



「あっ! ひなみちゃ、ん、りゃあぁぁっ!!」

「きゃっ!?」



 私がそれとなく石造……ガーゴイルの石造。ボールを取った瞬間、動き出して私に襲いかかろうとして……その瞬間より少し早くサリナさんの鋭い剣がガーゴイルの石造を砕いた。

 うわわわわぁ……びっっっくりした!!



 パラパラと砕けた石造の破片が地に落ちて、安堵したサリナさんが「無茶しないでぇ」と泣きそうな声。慌てて「ごめんなさい」と謝って、もう2度と先走って行動するのはやめようと誓った。



「まったく、あまり無茶をして驚かせるな」

「まぁ、元気なのはいいことですよ」

「……ごめんなさい、本当に」



 私がサリナさんに助けて貰っている間に、アルフレッドさんとサイネさん、それぞれがガーゴイルの石造からボールを取り出していた。あまりに早いその動作に、やはりサイネさんが治癒術師だというのは何かの間違いではないだろうかと思ってしまう。



「とりあえず、これをはめればいいんだね!」

「あぁ」



 サリナさんが赤い色のボールを扉にはめ、アルフレッドさんとサイネさんもそれぞれ手にしていたボールをはめ込む。そうすれば、キィと小さな音を立てて扉が開き……地価への階段が顔をのぞかせた。

 そこは今までのダンジョン内部とは構造が違い、クリスタルのようなきらきらした造りだった。宝石でも生産されていそうなその光景に、大きく息をのむ。



「ここからは、ダンジョンの造りが1階ごとに違うんですよ」

「そうなんですか? すごいですね……」

「あぁ。この階ごとに違うところも、ここのダンジョンの特色だ。通常、内装や外装はダンジョンごとに統一されているものだ」



 サイネさんとアルフレッドさんの説明で、ますますこのダンジョンは不思議なんだと理解する。



「ただ、この地下へ下りる階段だけはクリスタルで統一されているんですよ」

「このダンジョンには、何かこだわりのある主でもいるのかもしれないな」

「へぇ、でも面白いですー……」



 ゆっくり階段を下ろうとして、私は壁に書かれている文字に目を奪われた。

 動揺しないように、音を立てず唾を飲む。



「ひなみさん、疲れましたか?」

「あ、いいえ。大丈夫です。クリスタルの階段なんて始めてだから、少しどきどきしちゃって」

「あはは、ひなみちゃんってば! 転ばないように気をつけてね」

「はい!」



 元気に返事をしつつ、壁に書かれている文字……日本語へと目を向ける。

 どうしてこのダンジョンに日本後が書かれているのだろうか。3階までは、特にそんな場所はなかったのに。

 少しどきどきしてきた心臓を押さえるように手を握り、私は転ばないようにゆっくり歩く。もちろん、その日本語を目で追いながら……。



 地下 4階 雑魚な魔物がいる部屋

 地下 5階 休憩スペース:おくつろぎください

 地下 6階 植物園

 地下 7階 動物園

 地下 8階 中ボス部屋

 地下 9階 鍛冶屋

 地下 10階 妖精の泉 

 地下 11階 空き店舗スペース:店舗募集中

 地下 12階 ボス部屋

 地下 13階 居住スペース



 んっ?

 空き店舗スペース、店舗募集……? 私はどうしても、その言葉が頭から離れなかった。


活動報告でもしつこく書いていますが、皆様本当にありがとうございます。

無事に発売いたしました。


読んでくださっている方はもちろん、ブックマーク、評価などいただきありがとうございます。

皆様のお気持ちがとても嬉しいです!


これからも頑張って更新していきますので、どうぞよろしくお願いいたします!



そして感想などお返事遅くてごめんなさい。

今から順次お返事します!

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