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強制的に転生させられたおじさんは公爵令嬢(極)として生きていく  作者: 鳶丸
本編

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092 おじさん露天風呂で母親と会話する


「そうですわ! それがいいのですわ!」


 おじさんは露天風呂から突然立ち上がって叫んだ。

 それを見た母親が、なにごとかと目を丸くしている。

 

「リーちゃん!」


「なんですのお母様?」


「なにを思いついたのか知らないけど、それはやめておいた方がいいわよ」


「な、なにがでしょうか?」


 さっきまでは最高の考えだと思っていたのだ。

 しかし指摘されると、なぜか後ろめたさを感じてしまったおじさんである。

 

「こういうときに思いつくことって、大抵はうまくいかないものなのよ」


「そうなのですか?」


「ふつうはね、思いつきで動いたってうまくいかないの」


“でもね”と母親は続ける。


「リーちゃんなら、どうとでもしそうだからね。きっといろんな人に迷惑がかかると思うわ」


“だから”とおじさんを見る母親だ。


「それはやめときましょうね」


 優しく諭されてしまったおじさんである。

 学園に勤務する講師たちがこの件を知ったのなら、諸手をあげて母親に“グッジョブ”と言うであろう。


「むぅ」


 おじさんは腰を下ろして、露天風呂につかりなおす。

 どうしても強行するような案ではない。

 母親に指摘されて、改めて思うと確かに無茶な話だ。

 

 では、おじさんはどうすればいいのか。

 

「お母様はダンジョン講習はぜんぶ参加されました?」


「ああ! それを考えていたのね」


 合点がいったといった感じで手を打つ母親であった。

 

「リーちゃん、参加禁止とでも言われたんでしょう?」


「そうですの! とっても残酷ですわ!」


“うふふ”と意味ありげに笑う母親であった。


「私も参加禁止にされちゃったわよ」


 さもありなんである。

 おじさんの家族もチート持ちなのだ。


「懐かしいわぁ。ちょっと覚えたての禁呪を使ってみたのよねぇ」


 禁呪。

 それはあまりにも破壊力がありすぎて禁止された魔法のことである。

 制御が難しく、未熟な者が使うと災害が起きるような魔法だ。


 それをサラッと言ってしまうあたり、どこか頭のネジが飛んでいる会話である。

 

「ちゃんと安全には配慮していたのだけど、スッゴくスッゴく怒られちゃったのよ」


「お母様もですか」


 禁呪の部分は華麗にスルーするあたり、おじさんも同類なのだ。


「それでね、ダンジョン講習のときは魔物の討伐にいってたのよ」


「なんですの、それ? 詳しく聞かせてほしいですわ!」

 

 おじさんが食いついた。

 そして母親は語って聞かせたのだ。

 

 王都近郊には夜迷いの森がある。

 野営訓練で訪れた森のことだ。

 ミグノ小湖とは逆の方向に行くと、シシリス山脈の麓へでる。

 

 このシシリス山脈の麓には、多くの魔物が生息しているのだ、と。

 そこで母親は魔物の討伐をして楽しんでいたとのことである。


 確かにダンジョンに潜らなければ、おじさんの引きの強さも関係ないだろう。

 ランダムに転移するという仕組みだから、トラブルが起きるのだ。

 であるのなら、ただの魔物討伐なら大丈夫ではないのか。

 おじさんはそんな風に考えていた。

 

「講師から提案されると思うわよ。リーちゃんだけ遊ばせておくわけにはいかないからね」


 しかも母親からの話では、初級ダンジョンよりも強い魔物がでるそうだ。

 となると話はちがってくる。

 おじさんは実戦の経験も積んでおきたかったので、ちょうどいいと思ったのだ。

 

「楽しみですわ!」


「リーちゃん、張り切るのはいいけど、地形は変えちゃダメだからね」


「大丈夫ですわ……きっと」


「そこは言い切ってもらわないと困るわ。私だって我慢したんだもの」


 正しくこの母にして、この娘ありであった。



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― 新着の感想 ―
[一言] >「懐かしいわぁ。ちょっと覚えたての禁呪を使ってみたのよねぇ」 ちょっと? >「リーちゃん、張り切るのはいいけど、地形は変えちゃダメだからね」 地形って(宇宙猫) >「そこは言い切ってもらわ…
[良い点] 凄い母娘ですw
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