083 おじさん聖女を助けに穴の底へとむかう
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聖女が落とし穴にハマって姿を消した。
そのことにパニックになったアルベルタ嬢とパトリーシア嬢である。
だがおじさんは迅速に指示をだす。
「アリィ、パティ。二人ともすぐに転移装置を使って入り口に戻ってくださいな!」
その言葉を理解した二人は疑問を感じる。
「リー様はどうなされるのですか?」
「わたくしはエーリカを追います」
「先生たちを待った方が……」
「いえ、あの落とし穴がいつまで開いているのかわかりませんもの。ここは二手に分かれて行動しましょう」
「わかりましたですの! パティたちは先生に報告したらいいのですね、お姉さま?」
パトリーシア嬢にむかって、おじさんはこくりと頷いた。
さすがに軍務系の御令嬢である。
不測の事態でも正常な思考に戻るのが早い。
「もう議論している暇はありませんわ。お二人ともよろしくお願いしますね」
“かしこまりました”と二人の声が揃った。
おじさんは二人の返答が終わらないうちに、聖女が落ちた穴へと走る。
「トリちゃん、きてくださいな」
こういうときこそ、万象ノ文殿の権能が役に立つ。
魔法陣がクルクルと回るのを尻目にして、おじさんは穴の中へと身を躍らせる。
『我が主よ、無茶はするな』
穴の中で落下中のおじさんのもとにトリスメギストスが姿をみせる。
「エーリカを助けに行かなくちゃいけませんわ。トリちゃんの力を貸してくださいまし」
『無論である。が、これはダンジョンの罠ではないぞ』
“は?”とおじさんの口から声が漏れた。
『ダンジョンの罠であるのならこんなに深くはない。それに落下の速度が遅いであろう?』
確かに言われてみればそうである。
おじさんの体感的にエレベーターで降りているほどの速度だ。
落下というよりも浮遊という感じである。
『恐らくこれはダンジョンを踏破した者が作った移動手段である』
「踏破した者? では建国王が?」
『うむ。ダンジョンを踏破した者は一部を自由にできるのである』
「ではこの先には……」
『建国王とやらの隠し部屋があるのだろうな』
驚愕の事実であった。
今もなお建国王は貴族だけではなく、国民からも敬愛されている。
そんな伝説的な人物が遺したものがあるのだ。
聖女の身を心配する心はある。
が、おじさんとしては何が待ちうけているのか考えるとワクワクしてきた。
『主よ、そろそろ出口になるぞ』
トリスメギストスの言葉どおりに、真っ暗だった穴からおじさんは草原に着地した。
否、草原ではない。
緑が多かったのでそう見えただけである。
「ここは……庭園ですの?」
『ふむ。様式から察するに古いものだな。主よ、右手の方に生体反応がある』
おじさんが近寄っていくと、芝生の上に聖女がうつ伏せになって寝かされていた。
なぜ仰向けではないのか、と疑問を抱きつつ聖女の身体をアンドロメダを使って仰向けにする。
「うへへ。もう虫は食べないってばぁ」
どんな夢を見ているのだろうか。
おじさんには想像もつかなかった。
ただ理解できることは、聖女が涎をたらしていることだけである。
誤字報告いつもありがとうございます。
修正しました。




