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強制的に転生させられたおじさんは公爵令嬢(極)として生きていく  作者: 鳶丸
本編

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54/1194

050 おじさんのお茶会は成功を収める




「本日はお招きいただき、ありがとうございます」


 スッと御令嬢らしくカーテシーで礼をとったのは聖女であった。

 できる令嬢アルベルタ嬢ではない。

 聖女なのだ。


「な、なによ! なんとか言ったらどうなの!」


 変な沈黙を嫌うかのように聖女が声をあげる。

 その姿になんだいつもどおりだ、と周囲から生暖かい目が向けられた。


「わ、わたしだってやればデキる子なの!」


 淡いレモン色でフリフリの多いドレスの裾がゆれた。

 ツルペタストーンである聖女が着ると、実に子どもっぽさが強調される。


 “失礼しちゃうわ!”とのたまいつつ、聖女は空いている席へと移動した。

 

 意外とこういうところは貴族社会になじんでいる聖女だ。

 養女とはいえ、表にだしても恥ずかしくない教育をしているのだろう。

 さすがはコントレラス侯爵家といったところだ。

 

 ちなみに聖女はアルベルタ嬢と同じテーブルに座っている。

 実家の爵位的に、また聖女としての立場を考慮したものだ。

 おじさんとしては実家の序列で差をつけるような真似はしたくない。


 ただ差をつけるなといっても、そこは明確な身分制度のある社会だ。

 せめて他の女子たちが萎縮しないようにと配慮したのである。

 

「本日は当家の茶会にお集まりいただきありがとうございます。心ばかりのおもてなしを楽しんでいただきたいですわ」


 主催者であるおじさんが挨拶をする。

 

 本日のおじさんは髪を上下でふたつのお団子にしている。

 瞳の色とあわせたオフショルダーのドレス姿だ。

 大胆に背中を見せているところが艶っぽい。

 ただ首元のデザインがマオカラー風になっているので、背中の一部しか見えていないのだ。

 それが逆に大人っぽさを演出していた。


 そして、おじさんの隣にはよく似たドレスを着た妹のソニアもいた。

 母親からの提案で、ソニアも参加することになったのである。

 弟は令嬢たちが集まるということで遠慮することになった。

 もちろんこちらは子どもっぽいデザインになっている。

 挨拶もたどたどしさがあって、愛らしい妹の姿に皆がほっこりと笑顔を見せていた。


 おじさんの挨拶が終わったところで、御令嬢たちによる歓談が始まった。

 やはり入魂のサバサンドイッチがうけている。

 初めての味に笑顔があちこちに咲く。


「うほほほ」


 聖女は変な笑い声をあげて、サンドイッチをつまんでいる。


「ねえさま、あのひと、ちょっとこわい」


「大丈夫よ、ソニア。あちらの御方は聖女様なのだから」


「せーじょさま!」


 妹の声が聞こえたのか、だらしなさ満開だった聖女がキリっとした顔をつくった。


「そうよ! わたしが聖女なのよ!」


 ない胸を張る聖女を見て、キラキラした笑顔になる妹である。


「せーじょ!」


「ソニアちゃん。リー様は女神様なのよ」


 そこへアルベルタ嬢が割りこんでくる。


「めがみさま? ねえさまが?」


 こてんと首をかしげる妹の仕草がかわいらしい。


「そうなの。リー様は……」


「ちょっと待ったあ! わたしの方が女神っぽいでしょうが!」


 聖女の発言を鼻で笑ったアルベルタ嬢は煽るのも忘れない。

 上から下へと視線を動かして、にたりと笑って言う。


「どこがですか?」


「お? お? 戦争か! 戦争するか?」


 聖女とアルベルタ嬢がにらみあう。


「ねえさま、こわい」


 そんな二人をテーブルに残して、おじさんはソニアを連れて席を立つ。

 仲良きことは麗しきかな。

 聖女とアルベルタ嬢のじゃれ合いを聞きながら、おじさんは妹に声をかけた。


「ソニア、皆さんのテーブルに挨拶にいきましょう」


 “はい”と元気よく答える妹の頭をなでて、おじさんは挨拶にまわる。


 おじさんたちのテーブル以外は平穏なものだった。

 皆が軽食とケーキを味わい、お茶を飲みながらにこやかに話をしている。

 そこでお人形さんのような美貌の姉妹が訪れるのだ。


 場は盛り上がり、話に花が咲く。

 妹も皆に褒められてご満悦であった。


 聖女とアルベルタ嬢とのあいだで一悶着があったものの、おじさんの初めてのお茶会は好評のうちに終わったのだった。

 

 後日おじさんが作ったボーンチャイナの食器は好評すぎて貴族たちのあいだで流行り、後に王家の愛用品ともなる。

 カラセベド公爵家が独占的に販売した、これら一連の家具や食器は時代を超えて長く作られることになるのだ。

 そして、後世にはリー=アーリーチャー様式として、その名を長く残すことになった。

 


誤字報告をいただきました。

自分の推敲不足や力量不足を痛感する一方で、とても感謝しています。

拙作を丁寧に読みこんでいただき、ありがとうございます。

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