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強制的に転生させられたおじさんは公爵令嬢(極)として生きていく  作者: 鳶丸
本編

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044 おじさん女神の愛し子たる所以を発揮してしまう


『我に名づけをしてほしい』


「聞いておりますわ。そうすることで絆が深まると」


『そのとおりである』


 名づけ。

 そう言われても、というのがおじさんの本音だった。

 まさかポチやタマのように適当な名づけをするわけにもいかない。

 やはりきちんと考える必要がある。


 ただおじさんはゲームでも名づけに困ってしまうタイプだ。

 デフォルトで名前が決まっているのなら、それでいいと考えてしまう。

 しかし今回はそういうわけにもいかないのだ。


「少しお時間をいただきますわ」


『うむ。適当な名づけよりもその方がいい』


 了解がとれたところで、おじさんは考える。

 万象ノ文殿ヘブンズ・ライブラリーからイメージできるのはやはり知識だ。

 あらゆる智の詰まった神の殿(あらか)である。


 となると、やはりそちら方面から参考にした方がいい。

 知恵の神となると、ミネルヴァあたりが有名だろうか。

 メーティスに久延毘古、少名毘古那。

 サラスヴァティ、エンキ。

 他には……トート神やヘルメス……。


 おじさんの頭の中に次々と神の名がよぎっていく。

 ああ! と閃くものがあった。

 トート神とヘルメスが習合したトリスメギストスを思いだしたからだ。


 正式にはヘルメス・トリスメギストス。

 神人であり、錬金術の祖としても有名だろう。

 そして錬金術の守護神であるエメラルド・タブレットを記した人物ともされる。

 

 おじさん的には万象ノ文殿ヘブンズ・ライブラリーにピッタリの名前だと思ったのだ。


「決まりましたわ! あなたの名はトリスメギストス。三倍偉大なという意味もありますわ」


『三倍……偉大……うむ。気に入った! 我は今よりトリスメギストスである!』


「愛称はトリちゃんでお願いしますわ!」

 

『そこはトリスメギストスで願いたいのだが』


「トリちゃんですわ!」


『しかと承知した、我が主よ』


 おじさんの勢いに押されてしまったトリちゃんであった。


 名づけが無事に終わった。

 万象ノ文殿ヘブンズ・ライブラリー自身がそれを受けいれたと認識したのだ。

 その結果、ぺかーっと総革張りの本の光る。


 なにか変わるのかとおじさんは思ったのだが、なにもなかった。

 ただ光っただけである。


『無事に名づけも終わったな。ああ、我が主よ。ひとつ伝え忘れていたことがある』


「なんですの?」


『我が召喚されたときに鎖が巻かれていたのを覚えているか?』


「そういえばそうでしたわね」


『あれはルファの鎖と呼ばれるものだ。太陽神ルファルスラが我を悪用する者がでぬようにと封印したもの』


「とんでもない名前がでてきましたわね」


『我が主はルファの鎖の主にもなったようであるぞ』


 “は?”とおじさんがかたちのいい目を大きく広げた。


『疑うのなら喚んでみるといい』


 トリちゃんの言葉に素直に従うおじさんである。


【召喚・ルファの鎖】


 おじさんの両腕に黄金に輝く籠手が装着されていた。

 その籠手に鎖が巻きついている。

 鎖の先端には先の尖ったケルト十字のようなチャームが装着されていた。


「か、かっこいい……」


 その造形はおじさんの中二心をくすぐるものである。

 とうに枯れていたと思っていたのだが、おじさんの肉体年齢は十四歳だ。

 ちょうど真っ盛り。


「これはアンドロメダですわね!」


 その瞬間。

 ルファの鎖がペカーと光る。

 光が収まると、黄金だった籠手と鎖がおじさんの髪色に合わせたように、青みがかった白銀へと変わっていた。

 ギラギラとする黄金よりも、しっとりと落ちついた色合いになって荘厳な雰囲気がでている。

 籠手の表面にはアクアブルーに輝く幾何学模様のラインが走っていて、美しい装飾のように見えた。


『主よ、ルファの鎖にも名づけができたようだな』


「は? ちょっと待ってくださいまし。使い魔になれるのは一体だけでは?」


『それはちがうぞ、我が主よ。ああ、召喚魔法は失伝していたのだったのか』


「なにか知っていますの?」


 “ふはははは”とどこぞの悪役のような笑い声があがる。

 おじさんはちょっとイラッとした。


『我は万象ノ文殿ヘブンズ・ライブラリーぞ。その真価を味わわせてやろう!』

 

 本日二度目となる“そう言われても”であった。




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