表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
強制的に転生させられたおじさんは公爵令嬢(極)として生きていく  作者: 鳶丸
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

142/1194

138 おじさん王太子との決闘に待ったをかける


 王太子の宣言に対して華麗なスルーを決めたおじさんと違って、大きく反応を見せた者がいた。


“だああああっ!”と男性講師が声を荒らげる。


「なんでそんなことしちゃうかなー」


 両手で頭をガシガシとかきながら、誰に言うでもない声がでてしまう。

 アメスベルタ王国は尚武の気風が強い。

 そんな国で決闘というのは、互いに退けなくなったときに行なうものだ。

 

 代理人などという、小賢しい制度もない。

 あくまでも決闘を申しこんだ人間と、受けた人間の間で行われる。

 貴族とは家の力もコミだという理屈は通じない。

 なにせ戦闘狂が多いのだから、そういう理屈はダサいと思われるのだ。

 

 男だろうが女だろうが、決闘の前には一人の人間である。

 魔法という不思議パワーがある世界だからこそ、とも言えるのかもしれない。

 

 決闘は完全決着になることが通例である。

 お互いの意地をとおすのだ。

 敗者には死あるのみである。

 

 そんなもの学生にやらせるわけにはいかないのだ。

 ましてや王太子と公爵家の御令嬢である。

 どちらが負けてもマズいのだ。

 

 というか男性講師からすれば、既に勝敗は明らかである。

 確かに王太子も優秀なのだ。

 だが優秀という枠で収まってしまう。

 

 対しておじさんはどうだ。

 優秀とかもうそういうのじゃない。

 ただただ規格外。

 

 本人はなぜか《《学園生活をふつうに送りたい》》と主張している。

 しかし実際には学園ごときの器に入りきらない存在だ。

 

 そんなおじさんと決闘?

 天にむかって唾をはくようなものだ。

 だから男性講師は言う。

 

「だめだからなー」


「なぜだっ!」


 間髪容れずに王太子から怒声が飛ぶ。

 

 そりゃあ負けるからだ、とは言えない男性講師である。

 言えればいいのだが、さすがに無理だ。

 王太子からすれば、自分がおじさんに劣っていると認めたくないからの発言である。

 そんな思いを抱えているのは、男性講師も十分に理解しているのだ。

 

 つまり負けるからだと言ったところで、火に油を注ぐようなものである。

 

「よろしいですわ」


 言葉に詰まっている間に、おじさんが口を開いた。

 またなんてことを、と男性講師は思う。

 無意識に手がお腹を押さえているあたり、その気苦労が推し量れる。

 

「ただし! 決闘はいただけませんわ。ですので模擬戦ということにいたしましょう」


 おじさんが提案する。

 その提案に王太子は渋面を作った。

 

 おじさん無視をしてもよかったのだ。

 確かにここ最近は、ちょっとはっちゃけすぎていた自覚がある。

 学園長からの指示でもあったが、特別扱いされているのだ。

 

 それを不満に思う王太子のような生徒がいてもおかしくはない。

 だが特別扱いをしないでくれといったところで、どこまで通用するのだろうか。

 半ば仕方のないことと思うものの、楽しんでいたという罪悪感がある。

 

 だから、敢えて話にのった。

 ただし決闘はダメ、絶対なのだ。

 

「なぜ決闘ではダメなのだ!」


「そこで理由を問いますか、殿下? 命の奪い合いなどしたくないからに決まっていますわ」


「だが決闘でなければ!」


「赤・青・緑・紫・茶色! あなたがたもそれでよろしいと思っていますの?」


“色で呼ぶなっ”と赤が反応する。

 そして、ポリポリと頬をかきながら口を開く。

 

「だってしょうがねえだろう? 殿下がそうしたいって言ってんだ。ここまで言う殿下の姿をオレたちは見たことがないんだ。だったら殿下のことを信じるまでだぜ」


 期待していなかったとは言え、おじさんもさすがに頭を抱えそうになる。

 彼らは決闘を甘く考えている。

 命の奪い合いということを甘く考えているのだ。

 

 決闘なんて言っても、自分は死なないとでも思っている。

 それは高位貴族の子息であるという立場からか。

 あるいは経験不足によるものか。

 いずれにしても死というものをリアルに考えていないのだ。

 

 だから決闘などと言う。

 本来ならそれは互いに退けなくなったときの最後の一手である。

 この一線を越えないように、貴族というのは争うのだ。

 最後の最後、ここを越えるようには追いこまない。

 

 なのでアメスベルタ王国の歴史は長くとも、決闘に発展したという事例は多くないのである。

 彼らとてそう教えられているはずだ。

 決闘とは軽々しく持ちだすものではない、と。

 

 しかし王太子たちは、その一線を自分から踏みこんできた。

 それだけ王太子は重くうけとめているのかもしれない。

 

 だがおじさんは認めたくないが、婚約者でもあるのだ。

 婚約者を相手に決闘を申し入れるなど、前代未聞の出来事だろう。

 

 下手をしたら国を割る行為だ。

 いくら公爵家の当主が王弟であろうとも、激怒することだって考えられなくはない。

 

 かんたんに言えば、文字どおり洒落にならないのである。

 

 そうした諸々の事情を含めて、王太子たちはなにも考えていないのだろう。

 おじさんはそう判断した。

 

 これはもうガツンと頭を叩いておく必要がある。

 おじさんはそんな風に思うのであった。


誤字報告ありがとうございます

助かります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
もうこの際正当に(?)決闘で殺しちゃって王太子を変えさせれば良い。これだけの高位貴族の子弟っていう証人が居るんだから文句も封殺できるでしょ。こんな馬鹿が王になる未来を潰した方が希望がある。
[一言] 10年に1人の優秀な馬鹿?((゜□゜;))
[一言] 逆にいっそこの際決闘をやって、命は奪わずに王子の息子?を無効化すればいいw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ