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強制的に転生させられたおじさんは公爵令嬢(極)として生きていく  作者: 鳶丸
本編

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1092 おじさんまたしても余計なものを作る


 明けて翌日のことである。


「はいやあ」


 妹が剣歯虎の背に乗って庭を駆けている。

 そのくらいの広さは十分にあるのだ。

 おじさんちは。

 

「にーさま!」


 妹の声にあわせて、弟はやれやれといった様子で果物を投げる。


「いけー!」


 剣歯虎が勢いをそのままに跳ぶ。

 空中で果物を咥え、華麗に着地を決めた。

 

「やったあああ!」


 無邪気に喜ぶ妹である。

 妹はどこを目指しているのか。

 よくわからないおじさんだ。

 

 ただ、楽しそうにしているのだからそれでいい。

 そんな様子を見ながら、おじさんはサロンでお茶を飲んでいた。

 

 今日は午前中を休む予定である。

 妖精の里に行く約束をしていたからだ。

 

「お嬢様、本日の午後からはどうなさるのです?」


 侍女がおじさんに確認をとる。

 

「学園に行こうかと思います。今日は野営訓練の練習ですわね」


「訓練の練習というのもおかしな話ですわね」


 コロコロと笑う侍女とおじさんだ。

 自分でも言っていることがおかしいと思ったから。

 

「そのための準備もしてきましたけど……どうなることやら」


 少し心配なおじさんだ。

 なにせ貴族の令息、令嬢たちである。

 

 本来の野営で行なわれるようなことは経験がないだろうから。

 

 ことりとカップをテーブルに置く。

 あまりのんびりもしていられない。

 

 動きやすいパンツスタイルのおじさんが立ち上がる。

 

「そろそろ行きましょうか」


 侍女と揃って転移する。

 行き先はもちろん妖精の里だ。

 

 ここを訪れるのも、少し間が空いてしまった。

 おじさんが転移したのは聖樹の近くである。

 

 二階層をぶち抜いて作った妖精の里。

 その里の中心にある聖樹は、思っていたよりも成長していた。

 もはや二階の天井部分に触れる勢いだ。

 

「女王様だほ!」


 オレンジ髪の妖精である。

 ちょっと目立っていたから、女王代行の地位に就かされたのだ。

 

「コーちゃんから話は聞きました。この階層も手狭になってきたとか」


 ニコニコとしながら、おじさんが話す。

 そんなおじさんの肩に乗る妖精だ。

 

「そ、そうなんだほ。もう大変なんだほ、女王様」


 まったく要領を得ない返答をする妖精である。

 

「聖樹が随分と大きくなっていますしね」


「それだけじゃないほ。新しい家族がいっぱい生まれたほ!」


「それで手狭なのですか?」


 おじさんの言葉にコクコクと頷く妖精だ。

 今や、旧妖精の里にも移動する者もいるらしい。

 

「なら、さっそく拡張していきましょうか」


 と、コルネリウスを召喚するおじさんだ。

 

「コーちゃん、今の階層を拡張することはできますか?」


 早速とばかりに質問をぶつける。

 

『既にフロアは最大の大きさに拡張済みです、マスター』


「ほおん……なら階層の追加をしましょうか」


 昨日と同じく魔力を提供するおじさんだ。


「コーちゃんに確認したいのですが、新しく追加した階層は横に連結することはできますか?」


『なるほど……やってみます。あ……できます』


 コルネリウスの言葉に、微笑むおじさんだ。

 

「なら、この聖樹がある階層を中心にして、九つのフロアを連結しましょう」


 正方形の形にするつもりである。

 

「あとは縦にも三フロアほど追加しておきます。お願いしますわね」


『お任せを』


 おじさんからの魔力供給を受けているコルネリウスにとって、雑作もないことであった。

 あっという間に拡張された妖精の里だ。

 

 同じ広さのフロアが九つも追加されたのである。

 これでまた余裕ができた。

 

『マスター。フロアの追加設置完了です。環境設定はこのフロアと同じにしておきました』


「ご苦労様ですわ」


 と、おじさんは呆気にとられている妖精を見た。

 そして――声をかける。

 

「さて、ラバテクスも回収しておきましょうか。お菓子もいつも以上に置いていきますので」


「はう! 女王様に一生の忠誠を誓うほ!」


 げんきんな妖精であった。

 

 ということで、過去一のラバテクスを回収して帰るおじさんであった。

 

 妖精の里を拡張するお仕事は早く終えたおじさんだ。

 慣れたものである。

 

 まだ昼までに時間があるのだ。

 そこでおじさんは実験室にこもることにした。

 

 大量に手に入れたラバテクスを使って遊ぼうということだ。

 最初に作ったのはゴム手袋である。

 

 侍女や従僕たち、あるいは庭師などの職人向けのものだ。

 どうしても水を触る機会が多くなると、手が荒れてしまう。

 

 おじさんは保湿クリームを渡している。

 が、保護のためにゴム手袋をと考えたのだ。

 

「どうです、サイラカーヤ」


「ん~これはいいかもしれませんわね。滑りませんし……ものスゴく売れる可能性がありますわよ?」


 侍女は冒険者にも人気が出るだろうと思ったのだ。

 

「とりあえず製品にする前に使った感想を聞きたいので、侍女長とアドロスに言って配ってきてくださいな」


 ちょっと大目に作ったのだ。

 それを宝珠次元庫に仕舞って、侍女に渡す。

 

「畏まりました」


 と、侍女が地下実験室を出て行く。

 

「他にも色々と作ってみますか」


 侍女が帰ってくるまで、思いつくままに錬成するおじさん。

 しばらくして侍女が戻ってくる。

 

「……これまた作りましたわね」


 床に散乱するおじさん手製のグッズ。

 それを見て、思わず苦笑いをする侍女であった。

 

「お嬢様、これはどのように使うのでしょう?」


 侍女が指さしているのを見て、おじさんが口を開く。

 

「それは部屋の壁につけるものですわね。魔力の流れや音などを吸収してくれるように術式を組みこんで錬成してみました」


「……この板で壁を囲うのですか?」


 ちょっとした遊び心で作ったのだ。

 ものすごく上手くいっただけである。

 

「その壁材を使った部屋の中の様子は探れなくなりますわね」


 もはや絶句してしまう侍女だ。

 遮音結界などを張らずにすむのだから。


「こちらはボールですわね」


 いわゆる軟球と呼ばれるものだ。

 しゅっと侍女にむけて投げてみる。

 

 いともたやすくキャッチする侍女だ。


「これは玩具なのですか?」


「ですわね。こちらのバットを使って楽しむものですわ」


 おじさん、しっかりバットも作っていた。

 そこは抜かりないのだ。

 

「ここでは手狭ですから、庭へ行きましょうか」


 庭にでて、キャッチボールをするおじさんだ。

 本気で投げないのなら、グローブも必要ない。

 

 一応、グローブも作っていたが。

 

「野球という遊び……ですわね。それに使うものです」


「……野球」


 またもや王国にて流行が生まれるかもしれない。

 後の世において、プロ球団が生まれる可能性もでてきた。

 

「むふ……ちょっといいことを思いつきましたわ」


 と、悪い顔をするおじさんだ。

 ぶつくさとルールがどうとかと考えだしている。

 

 侍女はその姿を見て思うのだ。

 うちのお嬢様の頭の中はどうなっているのだ、と。


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― 新着の感想 ―
>オレンジ髪の妖精である。 >ちょっと目立っていたから、女王代行の地位に就かされたのだ。 >「はう! 女王様に一生の忠誠を誓うほ!」  このオレンジ色の女王代行の妖精の姿が、蝶の翅が生えた小さなゴリ…
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