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強制的に転生させられたおじさんは公爵令嬢(極)として生きていく  作者: 鳶丸
本編

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1067 おじさんに弱い侍女たちと蛮族とガイーア


 おじさんちのエントランスである。

 そこには悪い組織の女性幹部がいた。

 ――侍女だ。

 

「お、おおおおお嬢様。こ、この格好はちょっと」


 さすがに動揺する侍女である。

 今も侍女長がじろじろと見ているのだから。

 

「おっと、ひとつ忘れていました」


 おじさんは平然として答える。

 

「その姿のときはサイラカーヤではありません。ディ=ロンジョと名のるといいですわ!」


「ディ=ロンジョ……?」


 侍女と侍女長は首を傾げていた。


「ん~黄金の夜更け団ゴールデン・ミッドナイトの女性幹部、ディ=ロンジョということですわね!」


 おじさん、にっこにこである。

 楽しくなってきたのだ。


「はい、復唱してくださいな」


「ディ=ロンジョ……」


「いいですわね!」


 とても嬉しそうにするおじさんだ。

 その姿を見て、まぁいいかと思う侍女である。

 

 侍女長もおじさんには弱い。

 だから、まぁいいかと思うのであった。

 


 一方で マディ宅である。

 むくりと身体を起こしたガイーアが最初にしたのは、窓を開けることだった。

 

 ――酒臭い。

 

 そう思ったからである。

 この創造神様の週は飲んだくれていた。

 

 いや、ずっとそうだったわけではないのだ。

 なにせ聖女襲撃事件があったから。

 

 その犯人と目される暗殺教団(ディ・ストローン)の件。

 色々あったなーと遠い目をするガイーアだ。

 

 いきなり呼ばれたかと思うと、廃都ン・デストの長になった。

 その後、暗殺教団(ディ・ストローン)にカチコミをかけたのだ。

 

 で――オクターナという美人に、長の座を譲ってきた。

 こういうのはロクロスと合わせて二回目だ。

 

 そして、今である。

 

 溜まったストレスを吐きだすように飲んだくれていたのだ。

 おじさんがくれたお酒で。

 

 ちなみにマディは別部屋だが、オールテガとマアッシュは雑魚寝だ。

 その部屋に冬の冷たい風が吹きこむ。

 

 ずきずきと痛む頭。

 胃のあたりがむしゃくしゃとしている。

 

 本格的な二日酔いだ。

 

 こりゃあ迎え酒でもしねーとやってられねえ。

 そんなことを思うガイーアだ。

 

 ちなみにウドゥナチャの姿も部屋の中になかった。

 また陰魔法の中にいるのだろうと当たりを付ける。

 

 そちらの方が落ち着けるのだというから、ウドゥナチャも変わり者だ。

 安煙草に火を点けて、紫煙をはき出す。

 

 窓を開けて、外を見る。

 一応、貴族街の端っこにあるのだ。

 賑やか、という感じがする。

 

 通りを歩く人たちは笑顔だ。

 中には酒を飲んでいる連中だっている。

 

 ああ――そう言えば、とガイーアは思いだした。

 今日は建国祭か、と。

 

 煙草を灰皿に押しつける。

 おじさんが支給したお湯と水がでる魔道具でお湯をだす。

 

 白湯だ。

 

 お茶よりもこちらの方がなじみがある。

 ふぅと一息つくガイーアだ。

 

 身体に染みていくような白湯。

 ほっこりとした気分でいると、テケリ・リ、テケリ・リとシンシャが鳴いた。

 

 おじさんに持たされているのだ。

 

「おう、オレだ、オレ」


 なんだ詐欺かと思うガイーアであった。

 もちろん相手はウドゥナチャだと知っての狼藉である。

 

「そういうのは間に合ってやすんで」


 無理やり通話を終わらせようとしたが、ダメだった。

 だってシンシャは電話ではないのだから。


「ばっか、お前。ランニコールの兄貴から伝言なんだよ!」


 その名を聞いて、背すじが伸びる。

 怖いんだもの。

 

「今日の建国祭な、あのエルフの娘っこがいたろう? あの子の護衛を遠巻きにしてくれってさ」


「……遠巻きにって」


「一応、イシドラと女騎士がついてるらしいけどな」


「これまた過保護な……」


 あだだだと叫ぶガイーアだ。

 腕に蝿がたかっていたのである。

 

 うっすらと血がにじむ程度のお仕置きだ。

 余計なことは言うな、ということらしい。

 

 ちなみに、ガイーアの叫び声を聞いたウドゥナチャは笑っていた。

 ざまぁみろ、と。

 

「わかりやした! こっそり尾行すりゃいいんですね!」


「ひひひ……頼んだぜ! 神殿にいるらしいから。あだだだだ、ちょ、オレなんも言ってないのにいい」


 そこでぶつっと通信が切れた。

 シンシャが空気を読んだのだろう。

 

 ちらりと部屋の中を見るガイーア。

 マアッシュとオールテガはまだ寝ている。

 たぶんマディも同じだろう。

 

 そっと準備を整えるガイーアだ。

 机の上に書き置きを残して、家をでた。

 

 とりあえず神殿に向かう。

 王都にある神殿はさすがに立派だ。

 

 尖塔と三角屋根の箱型建物が組み合わさった形をしている。

 だいたい町中にあるのは、このタイプだ。

 

「おーほっほっほ!」


 ガイーアが人混みの中から様子を見る。

 すると――尖塔の上からなにかを撒いている少女がいた。

 

 あれがたぶん今代の聖女なのだろう。

 そんな感じの服を着ているから。

 ただ、女性神官が落ちないように後ろから帯を引っ張っている。

 

「これが王都名物の聖餅じゃああい!」


 いいいぃぃぃやっふううううう!

 

 なんだか尖塔の下で騒いでいるエルフの娘っ子がいる。

 あれが護衛の対象なのだろうか。

 わははは、と笑いながら聖餅を手にとっている。

 

「こらー! そこ、独り占めすんなー!」


 聖女から声がかかった。

 だが、エルフの少女は聖餅を集めるのに夢中になっている。

 魔法まで使っているのだから。

 

「んん? 聖餅ってあんな感じだったか?」


 ガイーアは遠い記憶を思いだしてみる。

 ちゃんと手渡ししていたような……。

 

 聖女が原因だ。

 上棟式の餅まき方式にしたのである。

 こっちの方が早い、と。

 

 懐疑的な神殿の面々だ。

 そんなことはできんと思っていたのだが……。

 

 お告げがあったと聖女が言うのだ。

 それならば、という話にもなろう。

 

「エーリカ! こっちこっち! こっちに投げて!」


「ちょっと! あんたしか取ってないじゃないの! それじゃダメなの!」


「なんでさー!?」


 声がでかい二人だ。

 ガイーアが聞き耳を立てなくても聞こえてくるくらいには。

 

「そういうもんなの! いいから大人しくしてなさい!」


「わかったー!」


 と言うとでも思ったかー! とケルシーが叫ぶ。

 同時に魔法を使おうとしている。

 

「みぎゃああ!」


 ごちん、と鉄拳が落とされた。

 クロリンダだ。

 

「まったく、なにしてんですか! 人様に迷惑をかけちゃいけませんってば」


 ずるずるとケルシーを引きずっていくクロリンダ。

 

「おほ、おほほほ。ごめんあそばせ。では、皆さんも楽しんでくださいな」


 その様子に王都の人たちは道を空けざるを得ないのだった。


誤字報告いつもありがとうございます。

助かります。

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