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第百二話 相思相愛になる時

夕暮れ時の美しい風景。


今、風も穏やかになっている。


告白する時がきた。


俺は深呼吸をすると、


「俺、小由里ちゃんのことが好きだ。付き合ってください。お願いします」


と言って、頭を下げる。


「好きで好きでたまらない。どうかこの気持ち、小由里ちゃんに受け取ってほしい!」


渾身の力を込める。


これでダメだったらしょうがない。


「森海ちゃん……」


彼女は涙を流し始めた。


無言の時間。


俺にとってつらい時間となった。


告白しなければよかったのだろうか。


いやそんなことはない。今日言うのが一番よかったと思う。


でも彼女は泣いている。


彼女は、幼馴染の関係は壊したくないと言っていた。


俺と付き合うということは、恋人どうしになるということだ。それは、幼馴染の関係とは両立しないということなのだろうか。


俺もそれは思ってしまうところがある。だからこそ、仲直りをしてからも、仲を深めることがそこまでできなかったのだろうと思う。


告白しない方がよかったのだろうか。


しなければ、このまま幼馴染のまま過ごせたかもしれない。


でも俺は、彼女と恋人どうしになりたい。


これから先、仲違いをしてしまい、疎遠になってしまう可能性もある。


そうなると、幼馴染としての思い出もつらいものに変わってしまうかもしれない。


彼女はそうなりたくないと思っているのだろう。


しかし、ここで告白しなかった方が、後で後悔をしたと思う。


こんな素敵な女の子に、何を言えないまま、他の男性にとられてしまう方が、よっぽどつらいだろう。


「俺は幼馴染としても小由里ちゃんが好きだったけど、今日からは恋する対象として好きになる」


そう言うと小由里ちゃんは、涙を拭く。


「ごめんなさい、森海ちゃん。わたし、うれしいの。こんな魅力もない女の子を好きになってくれて」


「俺にとっては魅力いっぱいの女の子だよ」


「もう。どうしてわたしなんか好きになるんだろう。さっきも言ったと思うけど、わたしなんて、好きな人に想いも伝えられなくて、それなのに、やきもちだけはやいちゃううんだから」


「そういうところも含めてかわいくて、好きなんだよ」


「ありがとう。わたし、幼い頃から森海ちゃんに頼りぱなしね。わたしが落ち込んでいる時、いつも励ましてくれるんだもの。今だって、こんなわたしに『好き』だって言ってくれる」


「小由里ちゃんこそ、いつも優しく微笑んでくれて、俺、幼い頃からすっと癒されていたんだ」


「そう言ってくれるとうれしい。わたしにも少しはいいところがあるのね」


「それはこちらこそかもしれない。俺の方こそ、あたり前のことしかしてないのに、『頼りがいがある』って言ってもらって」


「ううん。森海ちゃん、みんな頼りがいがあるって言っているよ」


「そう言ってくれるとありがたい」


俺がそう言うと、彼女は真剣な表情になる。


「わたし、今まで話をしたように、いろいろ悩んでいた。でも今日森海ちゃんに強い想いを伝えられた」

ここで一回言葉を切り、続ける。


「森海ちゃん、わたしも好きです。好きです。付き合っていきたいです。こちらこそよろしくお願いします」


俺は、その言葉を聞いた瞬間、心が沸騰した。


「小由里ちゃん、ありがとう。うれしくてたまらない」


ついに夢が実現した。小由里ちゃんが恋人になってくれたんだ。最高の幸せ。


「わたしもうれしい。森海ちゃんが恋人になってくれて、こんなにうれしいことはないわ」


うれしさをお互いに味わっていく。


彼女はまた少し泣いているが、今度はうれし涙。俺は胸が熱くなってくる。


俺達は自然と手をつなぐ。彼女の温かくて、みずみすしくて、柔らかい手。


俺は彼女の魅力にますます染まっていく。


そのまましばらくの間、夕陽を眺めていた。


彼女の微笑み。なんと素敵なものだろう。俺にとっては、他の何よりも胸を熱くするものだ。


「小由里ちゃん、好きだよ」


「まあ森海ちゃんたら。わたしも好きよ」


俺達は、手をつないだまま、肩を寄せ合う。


「好き」という言葉が、こう言い合える時が来るとは……。


「森海ちゃん、昔、こうして海を一緒に見たことあったよね」


「覚えていてくれたの?」


「うん。二人きりで初めてきたところだもん」


「俺、小由里ちゃんと一緒に出かけるなら、ここだと思っていたんだ。あの時は、お互いの両親が気をつかってくれて、二人きりにしてくれたけど、あまり時間はなかったじゃない」


「そうだったよね。あの時、もう少し森海ちゃんと一緒にいたかったのよ」


「俺もそうだった。だから、俺、新たな二人の門出の意味もあってここに来たんだ」


「そうね。わたしたち、恋人どうしとしての門出ね」


「俺、今日ここに来てよかったと思っている」


「わたしもそう思っている」


「小由里ちゃん、俺は今とてもうれしい」


「わたしもうれしい。うれしくてたまらないわ」


「好きだ、好きだ、好きだ」


「そんなに言われると恥ずかしい。でも好き」


小由里ちゃんは、顔を赤くしながら微笑んだ。


これからも小由里ちゃんと一緒にいたい。


「小由里ちゃん、好き」


「森海ちゃん、好き」


俺は小由里ちゃんを抱きしめる。温かいからだ。そして、いい匂い。


そして、俺と小由里ちゃんの唇が近づいていく。


ファーストキス。


今まで、ずっと夢見ていた。


特に最近はあこがれだった。


好きで、大好きで、愛しい小由里ちゃんと唇を重ね合う……。


これ以上うれしいことはない。


俺は今、とても幸せな気持ちになっていた。

「面白い」


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面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に思っていただいた気持ちで、もちろん大丈夫です。


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「先輩に振られた俺。でも、その後、いとこと幼馴染が婚約して結婚したい、という想いを一生懸命伝えてくる。俺を振った先輩が付き合ってほしいと言ってきても、間に合わない。恋、デレデレ、甘々でラブラブな青春。」


https://book1.adouzi.eu.org/n5505hn/


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よろしくお願いいたします。


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