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14.雑談配信


 初めての「休日るーぃてぃん配信」を終えたマリアが自宅に帰ってくると、妹のユリアが勢いよく出迎える。


「お姉ちゃん!! 同接すごかった!!」


 興奮気味の妹を見て、マリアもあの盛り上がりが自分の幻想ではなかったのだと実感する。


「なんかすごい沢山の人が来てくれたね」


 マリアが一つ安心したのは、意外とドMっぷりが受け入れられている?らしいことだった。「気持ち悪い」的な反応があるのではと思っていたのであるが、予想に反して視聴者は楽しんでくれたようだ。


「スパコメも沢山飛んでたし、これで今月の返済は大丈夫そうだね」


 ローズウッド家は死んだ父が残した借金に苦しんでいた。ただでさえ少ない給与から毎月の返済を差し引くとと生活費はほとんど残らないような状況だったのに、ギルドをクビになってしまって一体どうなるのかと思っていたが、バズったことで急に状況が好転したのだ。

 

「なんでみんながあんなに楽しんでくれたのかあんまりわからないけど」


 マリアは頬をぽりぽりかきながらそう言った。


 今回「休日るーてぃん」の配信を決めたのは、カレンのアドバイスを受けて一度「ありのまま」を配信してみようと思っただけだった。まさかここまでウケると確信を持っていたわけではなかった。

 

「そりゃ、お姉ちゃんが可愛くて強いからだよ!」


 妹は素直にそう絶賛すると、マリアは頭の後ろを撫でて苦笑いした。

 と、そんな姉に、ユリアは畳みかける。

 

「お姉ちゃん、バズってる今がチャンスだよ! 明日も投稿しなきゃ!」


「うん、そうだね。ギルドもクビになったし働かないとだね。でも、もう休日るーてぃんは撮ったし、次は何を配信しよう……」


 マリアは、これまで週1回程度しかダンジョン配信をしていなかった。

 ゆるく気が向いたら程度の配信しかしていなかったので、すぐさま次のネタを思いつかない。


 と、そんな姉に妹が提案する。


「明日は≪雑談配信≫しよう! お姉ちゃんの魅力を世界に届けよう!」


 †


 翌日の夜。マリアは妹のアドバイスを受けて、さっそく雑談配信を始めた。


「えっと、皆さん聞こえますか~?」


 マリアが記録水晶カメラに向かって手を振りながらそう言うと、すぐに沢山のコメントが流れてくる。


“うおおおおおおお”

“来たああああああ”

“待ってたぁ!!!!”

“今日もかわいいいいいいいい!”

“まりあたーーーーーーん”


「あわあわ、すごい人数……ッ‼ あ、ありがとうございます!」


 マリアは相変わらず視聴者たちの人数に圧倒される。


「えっと、今日は自己紹介も兼ねて、質問回答回をしようと思います」


“これは気になるwwwww”

“今日はダンジョン配信じゃないのか”

“質問は死ぬほどあるw”

“俺らマリア様のことなんも知らないもんな”


 コメント欄にはダンジョン配信ではないことを残念がるコメントも少しあったが、マリアに興味を持っている旨のコメントも多かった。


 マリアの中では「わたしなんかの雑談に誰か興味ある?」という疑念が払しょくできずにいたので、概ね好意的な反応にひとまず安心する。


「ダンジョン探索以外の配信初めてなので、不慣れなところもあると思いますが……とりあえず、質問投げていただいたらどんどんお答えしていきます!」


“【10000G】カップ数は?”


「ええっっと、スパコメありがとうございます! カップはえっと、い……ってなに聞いてるんですか!?」


“いきなり有能な質問者”

“最低すぎるw”


“何歳ですか?”


「えっと、歳は18ですね」


“意外と大人だった! 見えないww”

“18の女の子がドラゴンをワンパンしてるのか……すごすぎる”


“配信してるのは実家ですか?”


「自宅ですね。えっと、妹と二人で住んでます」


“好きな食べ物は?”


「好きな食べ物……えっと、今の季節だとタンポポとかですかね?」


“タンポポ??”

“タンポポ、食べるの!?”

“雑草食うんか? ワロタ”


「え、皆さんは食べないんですか?? タンポポは花も葉っぱも根っこも全部食べれるから雑草の中ではオススメです」


“雑草って自分で言うてるやんw”

“もしかして貧乏?”

“よく見たら、家の壁もめちゃくちゃ年期入ってるな”

“雑草じゃなくて、好きな食べ物は??”



「えっと、そうですね……高くて全然食べれないですけど、食べたいのはオムライスです。トマトは嫌いですけど、ケチャップは大好きです」


“かわいいw”

“いくらでも食べさせてあげたい”

“【10000G】これでおいしいものを「買って」食べてください”


「あ、スパコメありがとうございますッ‼ 10000ゴールドも!」


 そんな感じで、しばらくは平和な質問回答が続いていたが、ある時嵐を呼ぶ質問が飛んできた。

 

“ギルドには所属していないんですか?”


「あ、えっと……その……一昨日まではギルドに所属してたんですけど……」


 突然の質問に、マリアは歯切れの悪い回答をしてしまう。

 質問者は「ギルド所属か、フリーランスか」を知りたかっただけだったのだが、クビになったばかりで自分が「フリーランス」であるという自覚がなかったマリアは、思わず曖昧な回答をしてしまったのだ。


“所属してた?”

“あれ、どうした? なんかあるの?”

“フリーってこと??”


「えっと、まぁそうですね。フリーってことになりますね」


“なんか意味深”

“掲示板でブラックバインドに勤めてるって書いてありましたけど、違うんですか?”

“俺もそう聞いたぞ”


 突然、勤めていたギルドの名前が出てきたマリアは動揺して、すぐさま認めしまう。


「ああ……えっと、はい、確かに三日前まで勤めてました……」


 マリアはそこまで言った後、 別の質問を取り上げて話題をそらすのであった。


「えっと、次の質問は……あ。はい、いつも素手で戦っていて……」



 だが、マリアは知らなかった。

 その配信の後、某掲示板でブラックバインドがマリアをクビにしたことがバレて、炎上騒ぎになることを。



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