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悪党面の鬼勇者は、世界を救う対価に金と女を要求します。  作者: 内藤ゲオルグ


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快諾とは遠い妥協

 人を預かれ、か。そうすると、どうしたものか。

 まず男は不可だ。身内での流血沙汰は最悪だからな。俺の気持ちは別にしても避けるべきだ。

 男女の内訳は分からんが、女ならば仕方なく引き受けてやるとしよう。

 人数も、そうだな、三人、いや二人までだな。三人寄ればかしましいと聞くし、二人までとしておこう。


 そうと決めたならポジティブに考えよう。


 誰かを連れ込みたいときには、適当に用事でも言いつけて追い出せばいい。

 戦えなくても勇者ならば戦闘以外でも使える特殊能力があるかもしれない。それを俺の役に立ててくれるなら、むしろ歓迎してやれる。それも無理なら屋敷の掃除でもやらせればいい。今の状況だと、そっちを頼みたいくらいでもある。


 俺は国とは違って戦いたくないなら戦わなくてもいいと思っているし、まして女やガキを積極的に危険な目にあわせる趣味もない。

 ただ、敵になるなら女だろうが、ガキだろうが容赦しないし、騙したり利用するのにも罪悪感など覚えない。俺に無用な迷惑を掛けないよう、最初に言っておく必要はあるかもな。



 考えを纏めてマクスウェルに、こっちの条件を伝える。渋々といった感じで、王宮には貸しを作った形で報告してもらおう。


「よし分かった。女だけ、二人までなら引き受けてやる。それも本人が俺との生活を受け入れた場合だけだ。無理矢理つれてこられても面倒見切れん。上手いこと話を纏めるんだな」


 世話になりっぱなしのマクスウェルの顔を立ててやることも必要だろう。こいつにはこれからも世話になる。


「結構です、ありがとうございます。なんとか纏めて見せましょう。ちなみに通いであれば、残りの四人も受け入れ可能でしょうか?」

「そうだな、ここに住み込むのでなければ別にいい。だがそれも、そいつら自身の意思によるぞ。きたくない奴にまで、俺から積極的に何かをするつもりはない」

「はい、今度こそ不備のないように計らいましょう」


 興味のある奴だけくればいいし、こない奴のことなど気にも掛けない。

 はっきり言って、むしろこられたところで何ができるわけでもない。居場所がない奴に昼寝ができる場所を作ってやるくらいのものだろう。


 そもそも勇者を指導などといっても、教えられることなど何もない。一般人レベルの特殊能力の数しかないし、どれもがユニークな上、俺自身ですら使い方が分からないのも多い。


 マクスウェルならば俺の状況も分かっているし、報告を受けているだろう王宮とて分かっているはず。

 ようは交渉にかこつけて、面倒事を押し付けたいだけだ。まして特別な成果など期待されてもいないだろう。



 裏の事情は互いに暗黙の了解があることにしてやるか。これで決まれば交渉成立だ。

 でっち上げた魔物討伐のための契約書をマクスウェルに持っていってもらう。断られるとは思わないが、返事待ちになるな。


「マクスウェル、俺が作った契約書を渡す。これだ。基本的な内容の物で、細かい事を書いた書面は別に都度作ることになるがな。概要はお前から伝えてもらってあるから問題ないと思うが、現物を持って帰って、それで良ければ王様にサインさせろ」


 ここはあえて最高権力者である王様にサインを要求する。貴族どもの権力闘争やらに巻き込まれないためにも、王族のサインこそが欲しい。すでに内々で了解済みなはずだ。


「心得ました。基本的な内容だけですので、問題は発生しないと思います。預かっていただく勇者殿のことも含めて、また近いうちに寄らせていただきます」

「おう、次のときにはまだ無理だが、ガキどもがここにきたら、こき使ってもう少しマシな環境にしておくぜ」

「はは、それも楽しみにしておきます。ではそろそろ戻ります」


 前途多難だが、なんとかしよう。


 さて、どんな奴がやってくるのやら。

 楽しく共同生活など土台無理な話だ。せめて、うるさくない奴ならいいんだがな。

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