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第25話「時を越えたsnow Crystal」

 季節は巡り、私たちにとって思い出深いともいえる冬がやってくる。


 まもなくクリスマスの時期が近づいている。

 鳥羽くんのリハビリは順調で来年は初の一軍昇格に向けて変化球の強化に取り組み、さらなる飛躍を目指そうとしていた。


 ちなみに私は、彼のためにアイドルを卒業したため卒業ライブを行わなかった。


 最近は、全部を鳥羽くんに任せきりにするのはプレッシャーに感じるかもしれないと思い、近くのコンビニでパートとして働いている。


 私は今でも学生時代に鳥羽くんからプレゼントでもらったsnow Crystalスノークリスタルを大事にしている。


 ちなみにsnow Crystalとは冬のシンボルの一つであり、雪の結晶という意味で綺麗な六角形である。


 しかし私は鳥羽くんにちょっと変わったものを探すため、この日は1人で出かけていた。


 『ネットで調べたらsnow Crystalの指輪はあるとか。よし、今日はひたすら探しに回るぞ!』


 その頃、鳥羽くんはいち早く電車に乗って出かけていた。


 『直通特急も意外と速いな。尼崎すぎたから、いよいよ地下に入っていて大阪梅田か。』


 私とは違うお店で鳥羽くんは、あるものを買いに出かけている。


 しかし何かイベントがあるわけではないはずなのに乗客が非常に多く、車内は密集状態で走行し、アナウンスが流れる。


 「まもなく終点、大阪梅田です。本日もご乗車ありがとうございました。両方のホームドアが開きます。扉付近の方はご注意ください。」


 鳥羽くんは、大阪梅田に到着してから慌てて百貨店に向かっていく。


 この日は百貨店の8階に冬のみんなの手作り展が開催されており、手作りでなくても完成品も販売されている。


 さっそくエレベーターで8階にたどり着くと、完成されている雪の結晶のヘアーアクセサリーが販売されているのが真っ先に目が入る。


 『さっそく見つけた。そこそこ良い値段するけど、これなら麻友ちゃん、喜んでくれそうだ!さっそく購入するか。』


 さらに少し歩いていくと指輪も販売されており、そこにはメッセージらしき物が紹介されていた。


 『無垢むくな想いから始まった2人の恋が、1つの愛に変わりますように』


 このメッセージを読んだ鳥羽くんは、真面目な表情をしながらこう思っていた。


 『無垢、純粋でひたむきの気持ちってことか。そこから始まった2人の恋が、1つの愛に変わりますようにということか。指輪も一緒に買って、麻友ちゃんにプレゼントしたいな。』


 少し考えてから鳥羽くんは、指輪も一緒に購入することを決意した。


 その頃、私も場所は違えど雪の結晶の指輪を発見し、購入しようとしていた。


 『うん。これならきっと喜んでくれる!』

 

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