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第24話「復帰に向けて」

 鳥羽くんは私からの質問に対してハッキリと答える。


 「舞桜さんとは友達でいるに決まってるじゃない。でもどうしてアイドル辞めたの?」


 私は、少し恥ずかしそうにしながらも自分の気持ちを伝えていく。


 「アイドルしてたらなかなか会えないでしょ?だからアイドル辞めたの。アイドルしてたら付き合ってるのがバレるとファンから叩かれて問題になるから。でも今はアイドル辞めてるから私は自由なんだよ」


 その言葉を聞いてなぜか少し笑顔で鳥羽くんはこう言った。


 「そうだったんだね。となれば自分が早く元気になって麻友ちゃんの分まで稼がないと行けないな!」


 この時、こっそり見つからないように後ろの方から舞桜さんが覗いていて、悔しそうな表情をしながらこう思っていた。


 『やっぱり舞桜じゃダメだったか。あともう少しだったのに。まさかの交通事故で流れは大きく変わった?いや、鳥羽くんの中で本当に好きだったのが舞桜ではなかったということかな?どっちにしても悲しいよ。今まで鳥羽くんのために色々磨いてきたのに。』


 そして栄川さんも病院の入り口付近で、密かに今回の件について振り返っていた。


 『交通事故さえ無ければ勝算が見込めたのに。でも私は経緯がどうであれ、あの子がアイドル辞めてくれたおかげでまた一つステップアップできた気がする。つらいのは小山さんね。何も得られなかったわけだから。』


 私は、鳥羽くんの話を聞いてから今後についてやんわりと語っていく。


 「でもあと1年くらいは復帰できるまで時間かかるんじゃないかな?これだけの怪我をしたわけだから。確かに2年契約の1年目だったかな?」


 鳥羽くんは、少しスッキリした感じでこう言う。


 「そうだな。今年は1年目だから来年、結果を残せば大丈夫!そのためにもこれから頑張るよ!」


 それから鳥羽くんは退院し、少しずつマウンドに立つためのリハビリも再会していく。


 感覚を取り戻すまで悪戦苦闘が続くも、私も鳥羽くんと一緒に打開策を考え、11月の秋季キャンプでついに紅白戦に出場する。


 変化球はまだ本来の調子ではないが、なぜかストレートとコントロールの精度が上がっていた。


 7回から登板し、一軍相手に24球投げて、2回を自責点0、奪三振5つ、被安打1と言う好成績を残した。


 望月守投手コーチは、鳥羽くんの投球を見ながら一軍の望月勝監督と話し合っていた。


 「球速も159キロを5回も計測して、ほとんどストライクゾーンに球が来てる。監督、これは来年もしかしての可能性はありますか?」


 望月勝監督は、大きく頷いてから力強くこう言った。


 「交通事故前と投球フォームが変わってて、今の大きく振りかぶるスタイルのほうが安定してるんじゃないかな。変化球さえ強化できれば来年はクローザー(抑え)としてならもしかしての可能性は十分にあります。来年の開幕が今から楽しみだ!」

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