第22話「衝突」
後ろから4トン車の大型トラックが走行していることに私は全く気づいていなかった。
鳥羽くんはその事に気付いていたため大声を出しながら道路を横断しようとする私を全力で助けようとする。
「麻友ちゃん、トラック危ない!」
鳥羽くんは、両手で私を押して、なんとかカラオケ店の歩道に追いやる事に成功する。
この時4トン車が道中に人がいるのを確認し、必死に急ブレーキをかけていく。
しかし鳥羽くんが4トン車のトラックから滑り込みかのように逃げようとするが、軽く衝突してしまう。
私と舞桜さんは、この瞬間を目の当たりにしてしまい、私は大きな声で叫ぶ。
「鳥羽くん〜!!」
急いで私は救急車を呼び出し、舞桜さんは軽く衝突して倒れている鳥羽くんをなんとか救出しようと試みた。
しかし鳥羽くんに意識はなく、救急車の到着をひたすら待つ。
舞桜さんは、いきなり涙を流し始めながら私にこう言う。
「やっぱり鳥羽くんは、望月さんのことが大好きみたいです。あそこまでして助けるんだから。だけど鳥羽くん大丈夫かな?」
私も涙を流しながら小さな声で舞桜さんに返事をする。
「私のためにここまでしてくれるなんて。私のせいで鳥羽くんが。なんとか生き延びてよ!」
必死に私が願い続けていると救急車が到着し、舞桜さんと一緒に救急車で近くの病院に向かっていく。
しかししばらく意識はなく、血圧もかなり低めの状態が続く。
それでも私は、鳥羽くんのそばから離れることはなく集中治療室に搬送されたあとも右手を握りしめながら回復を願い続ける。
『頼むから目を覚まして鳥羽くん!これから私、ずっとそばにいるから!アイドルなんか卒業してやる。だから目を覚まして!』
舞桜さんは待合室で静かにこの様子をひたすら守り続ける。
鳥羽くんは、なかなか目を覚まさず意識が戻らない状態が続き、医師から私にこう告げられる。
「最善は尽くしていますが、助かる確率は極めて低いかと思います。回復したとしても退院は絶望的かと。」
しかし私は、医師からの話は気にせずひたすら鳥羽くんの右手を握りしめ、回復を祈り続けていく。
気づけばプロ野球関係者も駆けつけ、自体は深刻化していき気づけば2日が過ぎる。
それでも私は鳥羽くんから離れようとはせず、がむしゃらに回復を願い続け、時には真横で小声で一方的に話しかけていた。
「ねぇ、もし鳥羽くんが回復したら一緒に結婚しよう。それで私は仕事を辞めて主婦になってあなたを支え続けたい。」
待合室で舞桜さんは、医師に一言ハッキリとこう言ってた。
「先生。彼ならきっといや、絶対に意識を取り戻します!そして今度は一軍の舞台にたちますよ!」




