第18話「ツーショット写真」
なんと写真には、鳥羽くんと舞桜さんがメイドカフェさくらで撮影したツーショット写真である。
私はこの写真を見て、少し驚きながらも栄川さんにこう言う。
「まぁ、ツーショット写真だから付き合ってるとか言いたいんでしょ?でもメイドカフェだからただ鳥羽くんがリフレッシュで行っただけじゃないの?」
しかし栄川さんは、私に対する不安の煽りは止めようとはせず、こう言ってくる。
「確かにメイドカフェで撮影されたもので、鳥羽くんがリフレッシュで行っただけの可能性もあるね。だけどちょっと2人の距離が近すぎるのと小山さんがめちゃくちゃ笑顔なのが気がかりなんだけど。これはもしかしての可能性もあるんじゃないかな。」
栄川さんの言うように写真に写っている2人の距離は非常に近く、お互いの肩がくっついている。
それでも私は2人がこっそり付き合い始めていない事を願う私がいたため、苦しそうな表情をしながらも否定し続ける。
「それでも私は、2人が付き合っていないと思う。だって場所がメイドカフェのお店だから。それに鳥羽くんは私のことしか考えてないから。」
なかなか折れない私の様子を見て、栄川さんはこれ以上の煽りを辞めることにしたのか、小さくささやくような感じでこう言った。
「そっか。そう思うならそれで良いんじゃないかな。別に麻友ちゃんとケンカしたいわけじゃない。でもね、万が一のことの事を心配してここまで言ったのよ。」
そう言ってから栄川さんは、そっと更衣室から去って行った。
でも実際、私の中で極度な不安が芽生え始めておりさっきのツーショット写真が頭から離れない。
『もし、さっきのツーショット写真が本当に2人の仲が進展してたらどうしよう?その時は私の愛情不足って事になるよね。だけどただのツーショット写真であることを私は願いたいっ。』
しかし実際は2人はお試しで付き合い始めており、この日の夜、私は知るはずもないが2人は30分くらい電話をしていた。
そして栄川さんは自宅のマンションに帰ってから舞桜さんとこっそり電話で話していた。
「もしもし、単刀直入に一つ聞きたいんだけど鳥羽くんと何かあった?」
すると電話越しではあるものの、舞桜さんは明るそうな声で栄川さんにこう言う。
「写真で送ったとおりかな。お試しだけど付き合い始めたの!もちろん鳥羽くんが決定権を持ってるからこのまま上手くいくかどうかは分からないけどね。」
「へぇ~。やっぱり予想通りだった。だけど望月さんにこの写真を見せたの。そしたらメイドカフェで撮影してるからただのツーショット写真じゃないのって言ってたわ。」
栄川さんは、今日の私の様子についてざっくりと舞桜さんに報告していたのであった。




