第二十一話 ずっと穴は開いています
タイトルを滅茶苦茶変更してやりました。すっごいアホっぽくなりましたね(自暴自棄)!
あくまでサシルの肩を掴んだままだが、俺は衝撃を隠せないでいた。
正直、サシルとの記憶は大して存在しない。恩人でもないし、迷惑をかけられたわけでもない。せいぜいあの禍々しい剣の考察をしていた程度だ。だが、
「えっ、何で俺と接触した……?」
明らかに標的な俺と、賑やか島で一度接触しているという事実に、脳内がかき混ぜられている気分だった。
俺が軽いというのもあれど、咄嗟に受け身をとっていたらしいサシルは、意外と余裕そうな表情で、降参するように両手を挙げた。
「とりあえず、話せることは全て話すから、その手を離してくれないかしら?」
「面白い謎かけじゃねえか、断る。そう易々と警戒を解けるかよ」
俺は決して逃げられないように肩を掴みながら、改めて正体を問う。
「サシル、お前は何者だ?」
「……あなたを監視しろって依頼を受けた、ただの探偵よ。依頼主の名前だけは、伏せさせてもらうけどね」
「何故、俺を尾行しろと?」
「さあ? 私はそれを聞いていないわ。依頼主は羽振りの良い方だったから、受けただけよ」
さて、これをどこまで信じたものか。正直、俺にはサシルが嘘をついているかどうかの判別がつかない。それこそ、今しがた出会ったルフェルのような鑑定魔法でも持っていれば……あ、ルフェルに鑑定魔法使ってもらえば良くね?
という訳で、二人がいた方へと顔を向けると――――
「――――ソードグレイブ』」
「……え゛?」
明らかに俺とサシルに向かって魔法を放とうとしていたルフェルと目があった。
瞬間に、俺は肩を掴んでいたサシルをそのまま上空へと投げ飛ばし、俺自身もジャンプして地面から離れる。
その数瞬後、地から何十本もの刃が突き出される。あのままだったら、俺達は二人で仲良く串刺しルートだった。危ねえ。
「ルフェルさん! 何するんですか!?」
「その女が嘘をついているからです。その女の名はサーシャ――――暗殺者です」
「マジ?」
本人以外の口から速攻でバラされた真実に、俺は少し狼狽する。やっぱり嘘ついてたんじゃねえか。
なるほどなー。
「それで、俺を攻撃した理由は?」
「暗殺者を引き連れてきたあなたを、信用できるわけないでしょう」
「そりゃそうだ!」
着地した俺を囲むように地から十本ほど刃が顕現し、俺のいる内側へと倒れ込んだ。殺意が高すぎる。
「見かけによらずエグいことしやがるじゃねえか!」
思わず叫んでしまった。これマジで俺でもなきゃ死んでるだろ。
それらが倒れ込む前に、刃の側面から全て叩き折ることで回避する。
「な……っ!?」
あまりにも強引な俺の突破方法に唖然とするルフェル――――その背後に、そいつが降り立つのが見えたのは、真正面から見据える俺だけだった。
「えっと、ルフェルさん、だったかしら? ちょっと落ち着いて頂ける?」
「いや、お前が蒔いた種だろうがよ。投げられた表紙に記憶落としたのか?」
背後からルフェルに筒型の何か――――恐らく魔道具を突きつけるサシル。あれ、サーシャって言うんだっけ?
「このっ……!」
背後のサーシルに魔法を発動しようとしたルフェルは振り返り――――
ぱん、と。
「ルフェル、ダメ」
「……エリザ……」
木の後ろに隠れていたエリザが両手を打ち合わせて、ルフェルを止めた。
ルフェルが観念したように、その手を下ろす。別にそのまま魔法を使えば良さそうな気もするが、エリザに何があるって言うんだ。
ともかく、それを機と捉えたのか、サシャールは話し出す。
「私は確かに暗殺者……でも、依頼内容に嘘はないわ。アイン・ツヴァドラを尾行すること、暗殺することは許されていない」
暗殺者に暗殺を許さないとは、どういうことだよ……まあ、透明化なんて誰にでもできる所業ではない。暗殺目的以外でも、金を積んでサーシールに尾行を依頼したいと思う連中もいるか。
それに、そう考えると、俺があの禍々しい剣を手に取ろうとしたのを止めたことにも頷ける。あれは、明らかに俺に害が及ぶのを止めようとしていたからな。
「それに、暗殺者だからと言って、無差別に暗殺したりなんてしないわよ。エルフの殺害は、私の依頼にはない。殺す理由がないわ」
「……嘘は、ない、か」
鑑定魔法でも使ったのか、渋々納得するルフェル。
「アインさん、この暗殺者と面識が?」
「一度顔を合わせたことがあるだけだ。暗殺者どころか、尾行していたのがサーシャルだったとも知らなかった」
「誰よ、それ」
はっ、つい名前が混じってしまっていた。
深く、とても深くため息をついたルフェルは、判断を下した。
「アインさんとサーシャには面識はほとんどなし。アインさんはエリザの恩人に変わりなし。サーシャはエルフに危害を加えることはない。これで合っていますね?」
「うん、ありがと♪」
サシルがにっこりと微笑む。悪女の微笑みだ。こっわ。
「というわけで、ちょうどよかった。そのコート、貸していただける?」
「なっ!?」
「は? お前、着いて来るの!?」
サシルが、ルフェルが持つ黒いコートを指差して、言った。
「それは、私の依頼はアイン・ツヴァドラの監視だしね。尾行する必要はなくなっただけで、付きまとうわよ?」
「嘘だろオイ……」
サシルがこちらにウインクしてくる。
厄介事が近付いてくる巨大な足音を聞き、俺は頭を抱えた。
「それとこれとは話が別で……!」
「あ、エリザちゃん、飴いる?」
「ようこそお姉ちゃん、エルフの国へ!」
「エリザァ!」
光の速度で買収されたエリザに、遂に叫ぶだけとなったルフェル。それでも律儀に飴玉に鑑定魔法は使ったようだし、安全なのだとは思う。
自由なエリザとサシルに、俺とルフェルは大きくため息をついた。
「もう、どうにでもなりゃいいや――――」
俺が空を眺めて言った一言を、死んだような目で聞いていたルフェルが再び大きなため息をつく。
こうして、俺とサシルが、エルフの国へと招かれることが決定した。どうなるんだこれ。
因みに、サシルが『賑やか島』で変身を解いた理由は、『ヘブンフィッシュが食べたかったから』だそうです。なんだこいつ。
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