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第十六話 土の中からこんにちは

最初の視点は、現在は正体不明のキャラとだけ。

 その時、()()()は木の上の葉に身を潜め、その様を観察していた。

 お得意様に依頼され、アイン・ツヴァドラの動向を観察していた。他にもいくつか条件が加えられていたが、そちらはそこまで気にすることはないだろうと想定する。

 その者の本職は暗殺者、こうして張り込みをするばかりで対象を殺さないというのはなんとももどかしいことではあるが、報酬は無駄に美味しいから仕方がない。


 アイン・ツヴァドラの依頼主と、アインの仲間が遺跡を飛び出す。一体遺跡の中でどういったことがあったのかは知らないが、あくまで観察対象はアインだ。その他は後回しでいい。

 そうしてアインのいる遺跡から目を離さなかったその人は――――その光景を目撃した。


 なにやら数度の破壊音が聞こえた直後のことだった。突如遺跡の裏の地面が凹んだと認識した瞬間、轟音と共に、そこに集まるように周囲の土砂が沈降する。

 その下に空間があり、その天井が全て崩れたことで起きた現象であると言うことに気付けたのは、


「ぷはっ! 自分が呼吸してることにも気付かないどっかの虫ケラのせいで、めっちゃ苦しいんだがァ!?」


 土砂の中から同時に飛び出してきた、泥だらけのアインと、氷の鎧を纏ったような巨大なムカデを目撃したからだ。


 ●


 作戦を簡単に説明すると、冷えムカデの頭上にジャンプして、もし突進してきたらその勢いと俺の脚力を利用して天井へと更にジャンプ、後は殴って凍った天井を壊す。

 遺跡の構造によっては、更に空間があるかもしれないと思っていたが、普通に直で地面だったらしい。おかげで窒息を免れたと思ったら、土中で窒息すると思ったぜ。


 まあ、そんな感じの作戦が功を奏して、相手のフィールドから逃れることができた。流石にあの技も、あれほど理不尽な性能はしていないだろう。

 タンクとしては敵の地上への進出を許してしまっている時点で酷い仕事な気はするが、ここからは本領を発揮できる。


 冷えムカデが前足で地面を突くと、その地点から凍結が地を走り、俺の足元で氷の棘となって顕現する。先程俺を刺した恐ろしい攻撃。

 しかし、凍った床でもない普通の地面で、攻撃の前触れがあるのなら、回避は可能だ。


「やっぱウジウジと閉じ籠ってた頃のようにはいかねえのか。得意の小手先も形無しだなぁ?」


 俺の言葉が理解できているのかいないのか、少なくとも餌に反乱を起こされて激昂しているのは確かだろう、再び突進攻撃を仕掛けてくる。

 小手先が得意とはいえ所詮はムカデ。知能も高くないようだ。


 階段で蹴り飛ばした時は、仰け反っただけで氷の鎧は砕けていないようだった。

 ならば砕けるくらいに、一発で何回も殴れば良いだけのこと。


 突進に合わせ、俺も冷えムカデに向かって走る。

 そして、拳を握りしめ、全力で冷えムカデの顔面に叩き付けた。


「『倶六拳(グロッケン)』ッ!」


 突進を拳をもって真正面から受け、その衝撃を相殺する。そして、その瞬間に肘を再び引き、第二撃を放つ。

 確かな衝撃に手応えを覚え――――その瞬間には既に肘が引かれ、第三撃を放つ寸前。相手が仰け反り、吹き飛ぶ前に拳を叩き込む。


 再び殴り付けられた氷の鎧に、ヒビが入る――――残り半分。

 相手が吹き飛ぶ前に殴るという芸当は、そう何回も連続してできるものではない。俺だって『倶八拳』とかにしたいものだが、流石に無理なのが現状だ。

 しかし、三撃目でヒビは作れた。残り半分で砕き切る。


「砕」


 第四撃、ヒビが広がり。


「け」


 第五撃、ヒビが顔を覆い。


「ろォ!」


 最後の第六撃で、完全に頭を破壊した――――しかし、生きている。仰け反った冷えムカデは、まだ動いている。

 どうやら氷の鎧は砕けたが、頭部の破壊には至っていないようだ。見た目と頑丈さからなんとなく鎧と呼んでいたが、本当に本体を守る鎧の役割をしていたのか。

 しかし、あの圧倒的防御力がないのならこっちのものだ。こちとら頭部破壊のプロだぞ。


 仰け反る冷えムカデに飛び付き、足で俺の体を固定する。頭部だけでも俺の体を越えるくらいの大きさだが、顔の縦幅なら両腕で()()()()()

 氷を操る能力が魔法なのか何かは分からないが、とにかく頭部の鎧をすぐさま再生しようとする冷えムカデだが、既に遅い。


 脳天と顎下を砕くように、打ち付ける。

 今度は一切の手加減なし。


「『鰐衝棍』ッ!」


 上下からの衝撃は逃げることなく、冷えムカデの頭部を完全に破壊した。

 脳を失い、重力に負けて崩れ落ちる胴体と共に、軽やかに着地する。


 遺跡は天井を破壊され、埋没したが、まあ最大の脅威である冷えムカデは倒した。実際あのフィールドで戦い続けていたら負けていたかも分からない。間違いなく脅威だった。

 これでティムたちと合流できる。マッティスを上手く捕らえられているだろうか。何事も起こっていなければいいが。


 ――――さて、ティムたちが今どこにいるのか、全く分からん。


倶六拳(グロッケン)

フィジカルが壊れた幼女かぶれが可能にした、相手が吹き飛ぶ前に六回殴るとかいう頭のおかしい技。相手は六人から同時に殴られている気分になる。

断じて楽器の種類ではない。



『面白かった!』


『続きが気になる!』


『さっさと続きを更新しろやブン殴るぞ』


とお思いいただけましたら、【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして、応援していただけると幸いです。


あと、感想とかブックマークとか頂けると、作者が嬉し泣きしながら踊ります。


また、同作者のこちらの作品も、よろしければ読んでみてください!

↓↓↓

https://book1.adouzi.eu.org/n0678gv/

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