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第十二話 将来有望

もう一方の執筆に手間取りました。久し振りの投稿です。

 


「皆さん♪ 前方よりワイルドウッズが3体、接近しています♪ 接敵の回避は難しいかと♪」

「にゃご」

「了解」

「う゛ぃーす……」

「よろしく頼むよ」


 とんでもなく浮かれまくっているレイが魔物の接近を知らせる。

 こういう時、探知魔法を使えるレイはその実力を発揮できるから良いな。しかも、範囲も相当広いようだ。あとは性格さえどうにかなれば、Cランクから駆け上がることも全然可能だと思うんだがな。まあA、Bランクの冒険者の実力ってどんなもんな知らないけど。


 露骨に運動不足であったマッティスさんの足取りが遅れ始め、時間に余裕があるわけではないと判断した俺たちは、誰かがマッティスを背負っていくことを決定。レイは論外、俺は力量的には余裕だが背の低さゆえにマッティスさんを地面に引き摺ることになる。消去法でティムが背負うことになった。そのせいで今、ティムが死にそうな声になっている。自身を障害物と評していたが、俺たちのペースに着いてきているのだから、最低限のガッツはあるようだ。

 そしてティムの肩に乗れなくなったテトは、急遽レイの肩に乗ることになった。そのときのレイの幸せそうな顔ったらない。


 そして、草木が揺れる音、足音と共に3体の魔物が現れる。猪から低木が生えているような見た目の魔物は、俺たちへと一目散に突っ込む。

 ワイルドウッズ。魔力を帯びた木が知性を持ち、動物や魔物に種子を植え付けて完成された魔物だ。本体は木の部分である。

 動物の部分から魔力を帯びた物質を食して、木の根がその魔力を吸い取る。そのため、魔力を持つものを襲うことが多い。狙われているのは、テトとレイ。

 つまり、


「俺は眼中にない? お前らを殺す俺が、か?」


 ワイルドウッズは、そこまで恐れられている魔物ではない。何故ならその多くが、明確な弱点を剥き出しにしている。そして、本体たる低木自身に、自衛手段がない。


 俺とて弱点は存在する。その内の一つが集団戦。俺は体が小さいこともあって、相手が複数体存在する場合は、タンクとしての役割を十二分に発揮できないことがある――――特に、盾を持たない今は。


 しかし、運動能力が普通の猪程度の魔物を捕捉するくらいなら、訳ない。

 俺の両隣を通りすぎようとする低木を捉え、片手で一本ずつ破壊する。

 魔力を帯びた木は通常のものより頑丈に育つ。加工しにくいがその頑丈さ故に高級な建材として用いられるという側面もあるほどなのだが、俺からすれば枯れ木の枝を折るのと大差ない。

 糸の切れた人形のように脱力し、慣性で地面を滑りながら止まった。

 残り一体。


「一体そっち行くぞ!」

「り、了解です!」


 俺の手が届かない範囲から回りこんで、最後の一体のワイルドウッズが後衛に牙を剥かんと走り寄る。

 しかし、それは織り込み済み。後衛とも認識を合わせてある。

 俺が本気で走って残りの一体に追い付き、低木をもぎ取ることもできるが、一度レイたちがどの程度()()()か、様子を見てみよう。


 レイが背負っていた弓を振り絞り、放つ。

 矢は真っ直ぐに宙を切り裂き、ワイルドウッズの前足を撃ち抜く。

 ワイルドウッズの動物部分に意思は存在していない。しかし、足を攻撃すれば当然動きを止めることができる。


 転倒したワイルドウッズは、すぐに立ち上がることができない。もう既に勝敗は決している。


「『にゃごにゃぶにゃん、にゃにゃんご』」


 テトが杖を振る動きに付随して、宙に岩石が生成され、重力に従って落下し、低木を破壊した。

 ええな、魔法。せっかく出来たコネだが、魔物が相手じゃご教授願うこともできない。流石にティムも、そこまでの意思疏通は難しいらしいし。


「お見事」


 マッティスさんが拍手する。いや、実際俺が想定していたよりも迅速だった。

 というか、特にレイが想像していたよりずっと優秀だったという点が大きい。広い範囲を見ることが可能な探知魔法、そして正確な弓の腕前。サポートとして実に優秀な人材だ。

 テトもまだフルパワーを出していないようだし、期待できる。ティムはよく分からん。


 そんなこんなで、俺たちは順調に道中を進んでいた。

 ――――そう、道中は順調だった。


 ●


 見上げるほどに――――なぜなら俺の場合、だいたいのものは見上げなきゃいけないからなんだが、古びた石造りの入り口を持つその建造物は、あまり大きいとは呼べないものだった。


「これが遺跡か……」

「お゛、降ろしていいか?」

「ああ。すまなかったね」


 疲労困憊と言えるティムの背から、マッティスが降りる。

 それに付随して、テトがレイの肩からティムの肩へ飛び移る。おいレイさんや、何だその表情は。世界は終わっていないぞ。


 入り口から中を覗くと、暗がりの中に地下へ向かう階段が見える。なるほど、地下に広がっているタイプか。

 階段はそこそこ広いが、なんとなく俺たちは一列になって進む。俺が先頭、次にレイ、マッティスさん、ティム&テトの順番だ。


 長い階段を、黙々と降りていく。

 そう、黙々と、黙々と……。


「あれ?」


 ふと疑問が声となって口から零れ出る。

 依頼内容って『魔物が蔓延る遺跡調査の護衛』だよな? 道中に魔物が現れたから自然と見逃していたが、遺跡に入ってからは奇妙なほど魔物に会わない。


「マッティスさん、ここには一体どういう魔物がいるんです……?」

「ああ、大丈夫」


 俺が訝しんでマッティスに尋ねると、何やら妙な答えが返ってくる。


「――――もうすぐ、起きてくるから」


 その言葉を聞いた瞬間、俺が振り返るのと――――


「ぐぁ……ッ!?」


 ――――マッティスが持っていたナイフが、ティムの体に突き刺さったのは、同時に起こったことであった。


※第十話の後書きに『眼鏡型魔道具』の解説を追記いたしました。まだ見ていない方はどうぞ。



『面白かった!』


『続きが気になる!』


『さっさと続きを更新しろやブン殴るぞ』


とお思いいただけましたら、【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして、応援していただけると幸いです。


あと、感想とかブックマークとか頂けると、作者が嬉し泣きしながら踊ります。


また、同作者のこちらの作品も、よろしければ読んでみてください!

↓↓↓

https://book1.adouzi.eu.org/n0678gv/

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