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第十一話 猫は二足で賢くなる

 

 結論から言ってしまえば、適当に思えたレイの考えは、意外と的を得ていたらしい。


「あの『城壁のアイン』と一緒にパーティー組めるのか!? 是非とも頼む! テトもそれでいいか?」

「にゃん」

「可愛い……」


 俺という存在は、思っていたよりも宣伝効果が高いらしい。

 レイがとあるものの可愛さに骨抜きになっている間に、俺は、臨時とはいえパーティー結成を快く了承してくれた少年を観察する。

 剣を持っているのだから、いかにも戦闘スタイルは近距離タイプ――――と思いきや、少し聞いた話の流れを察するに、中~遠距離タイプらしい。その理由は、少年の()()()()()()()


「俺はティム・マリードル! こいつは使い魔のテト! よろしくな!」

「にゃにゃん」


 ティムの肩に乗るそれは、ものすごく簡単に説明すると、二足歩行の猫だ。肩に乗るサイズの猫だが、モノクルをして、前足で謎の宝石が嵌め込まれた特殊な杖を持ち、黒いローブを着て、頭に乗った三角帽子からは耳が飛び出ていた。

 魔法使いの格好を猫にさせました、という感じの――――魔物。だが、人を害する気配はまるでなく、ことティムに対してはメチャクチャ懐いている。


 聞けば、ティムは契約魔法の使い手らしく、色々とあって種族名も知らないような魔物、テトと契約したらしい。

 見た目通り魔法を得意とするテトが戦力に加わったことにより、予てより冒険者であった兄に憧れていたティムもまた、冒険者になることにしたらしい……それが昨日の話である。行動力のモンスターかな?

 そうしてギルドに登録したは良いものの、色々と冒険者のことについて聞こうと思っていた兄がどこにいるかも分からないため、どうしたものかと悩んでいたらしい。


「そこに俺らが来た、と」

「正直俺は障害物程度にしかなれないけど、魔法ならうちの可愛いテトに任せろ!」

「にゃふにゃふ」

「可愛い……」


 親指を立てる仕草をしながら、爽やかに戦力外宣言をするティムに、テトが、やれやれと言わんばかりに首を振る。レイ、俺らの世界に帰ってこい。


 ……とまあ、前衛の俺、後衛のティム(の使い魔のテト)、サポートのレイと、意図せずして俺たちは、非常にバランスの良いパーティーが組めたわけだ。


 パーティーと言ってもあくまでそう呼ばれているだけであり、複数人で望まなければならない依頼において、その依頼を受ける冒険者の集まりをそう呼ぶだけだ。

 だから結成にあたって一々面倒な手続きを踏む必要などはない。


 という訳で、早速依頼の確認へと移行しようではないか。


 ●



「ではでは一応自己紹介を。私はマッティスと申します。個人的な趣味で遺跡探索を行っているのですが、なにぶん私は自衛の力を持たんのでねえ、是非とも護衛をお願いしたい」

「は、はい!」

「任せとけ!」

「にゃむぅ」

「では、出発いたしましょう」


 頑張るのは私だろ、と言わんばかりに杖でティムの頭を小突くテト、それに見とれるレイはさておき、俺は痩せた背の高い男――――マッティスに、歩きながらも質問する。


「俺の知り合いが遺跡の調査を依頼されたって聞いたんですけど、何で冒険者だけに行かせようとしなかったんですか? そっちの方が安全でしょう」

「遺跡には歴史的な情報がほんの小さな痕跡となって残っていることもあるんですから。人に行かせるなんてナンセンスですよ」

「まあ、それもそうか」


 よく考えずとも分かるようなことを聞いた気がする。なかなかに自分がアホだ。

 とはいえ、聞きたいことは終わりではない。


「もう1つ。所有者の魔力を奪って幻惑魔法をかけてくる剣ってご存じですか?」

「いや、知らな……というかなんだいそれは!? 今ものすごく自然に知的好奇心をくすぐる言葉を出してきましたね!?」


 興奮の表れなのか、至近距離まで顔を近付けるマッティス。こっわ。認めたくないが、見た目幼女な俺に詰め寄る長身の男って、結構な光景だぞコレ。

 別に隠すこともないので、昨日のことをざっくりと説明する。


「……てなわけで、その知り合いが遺跡で見つけたらしい剣について、マッティスさんなら何か知っているかなあって」


 俺の言葉に、マッティスさんは真剣な表情で考え、答える。


「もしかして、その依頼者の罠だったんじゃないかい?」

「……というと?」

「これはあくまで経験則の域を出ないですが、調査をお願いするほどに遺跡に興味があるのに、自らは遺跡に赴かないなんて、ありえないと言っていいです。言葉は悪くなりますが、遺跡内における歴史的価値の有り無しを把握しているかも分からない冒険者に、全てを委ねるのは愚の骨頂です」


 本当に言葉は悪かったが、確かにそれはそうだ。誰かに行って貰うよりも、そこまで自分を守ってもらう方が、研究者としては自然な形だろう。


「だとすれば、何故自らが赴く必要がなかったのか」

「冒険者を、遺跡に送り込むこと自体が、目的だった……?」


 正気に戻ったレイが、推測する。そして、マッティスも同じ考えだったらしく、レイに向かって大きく頷いた。


「可能性が高いのは、それでしょう。その剣が元から遺跡にあったものなのか、依頼者が設置したのかは分かりかねますが、結果としてその知り合いの冒険者さんは、悪意を振り撒く存在となってしまった。だとしても、あまりに目的が不明瞭である上に、全ては憶測でしかないため確実性に欠けますが、そう仮定して矛盾がないことも事実です」


 やたらと饒舌なマッティスさんは、そう締めくくる。

 やはり、剣を預かっている俺や、被害者であるヴォネッドは、何かとんでもなく面倒なものに巻き込まれてしまったのではないか。その想像は、どうやら間違いではないのかもしれない。


主人公を魔法使いにしなきゃだし、女王にも会わせなきゃだし、勇者サイドも書かなきゃだし、もうマジで何でコイツ呑気に冒険者なんてやってんだよ(怒)



『面白かった!』


『続きが気になる!』


『さっさと続きを更新しろやブン殴るぞ』


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あと、感想とかブックマークとか頂けると、作者が嬉し泣きしながら踊ります。


また、同作者のこちらの作品も、よろしければ読んでみてください!

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