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25 吼えろ!叫べ!「POWER IS JUSTICE」!



「……っ、見……見るな。今の私を見るな! 全軍……突撃だ! この野蛮な者共を……『清掃』しろ! 私はその間に、予備の軍服に着替え、トリートメントをやり直さねばならない……!」



 第5農業プラントの離反は、帝国の「食の統制」という屋台骨を揺るがす大事件。故に帝国司令部は秩序の崩壊を進行させない為に、プラントの奪還を決定した……はずだったのだが、当作戦責任者であるルキウスは先ほどの「超炭酸&超すっぱレモンスカッシュ」で大ダメージ(?)を受けたため、指揮権を譲って専用の「お着替え用装甲車両」へと、足運びも優雅に去っていった。



「……来たわね、本気の方の帝国正規軍」


 プラントの管制塔で、リンがモニターを睨みつける。そこには、規律正しく整列した無機質な戦闘ドローンの大群と、それらを率いる銀色の巡洋機が映し出されている。ルキウスに代わって指揮を執るのは……


「ガイ・ボルク。及び反逆者サッカ・リン……いや、本名リン・ガーネット。貴様らの行為は帝国の最適計算においてマイナスである。即刻投降し、管理下に――」


「あいつは帝国の執行官、カンゼン。合理主義の塊のような男よ。ガイのような『非効率な個の力』を何よりも嫌っているわ」


「合理主義かー……確かに相性が悪そうだな」


 カイトが苦笑いしていると、倉庫の監視カメラから地響きのような足音と豪快な笑い声が響いた。


「ガッハッハ! 堅苦しい屑どもが来たか! そいつは俺らの出番だな!野郎ども、準備はいいか!」


「おぉぉぉぉ!」


 モニターに映し出されたガイは、もはや人間というよりは動く重機だった。背中には巨大な改造スラスターを背負い、両脚には超高速無限軌道キャタピラ強化ユニット。両腕には高速回転する耕作用の超振動ドリルを、両肩にはパワーショベルを装着。その後ろには、同じく様々な農耕機を魔改造したパワードアーマー軍団が、異様な熱気と共に控えている。



 ・トラクター:両腕に油圧ハンマー

 ・播種機  :超速多連装シードランチャー(※もちろん播くのは種ではない)

 ・脱穀機  :高速回転ブレード

 ・コンバイン:肩部ミサイルポッド



 そしてその全てに、雑だが力強く書かれている文字は───



 《POWER IS JUSTICE》

 《NO FARM, NO FUTURE》



「よっしゃ!作業開始だぁ!」


 ガッチャガッチャドルンドルンと騒音・轟音を立てて倉庫を出ていくパワードアーマー達をモニターで見ていたカイト達は思わずつぶやく。



「……やりすぎないよな?」


「……さあ?」


「……敗北の可能性は限りなく0%に近いかと」







 その頃、異形のパワードアーマー軍団を目にした巡洋機の艦橋内では動揺が広がっていた。


「……カンゼン様、想定外です。なんですかあの機械群は?」


「いや、所詮は農耕機械の改造したもの。最新鋭のドローンには勝てまい」


「しかし、あれはどのような機能を持っているやら皆目わかりませぬぞ」


 艦橋内のクルーにさざ波の様に広がる動揺を鎮めるために、カンゼンはあえてゆっくりと、しかし厳かな口調で宣言する。


「……我らに与えられた使命は、プラントの奪還である。帝国の理念は絶対的に正義。ここで退却などあり得ぬ」


「……ハハッ!再度通告後、攻撃開始します!『再度通告する。貴様らの行為は帝国の最適計算においてマイナスである。即刻投降し、管理下に――』」



 

 だが、その通告は迸るエグゾーストによって搔き消された。



「うるせえー! 俺の筋肉が『NO』と言っている!いくぞぉ野郎どもぉぉ!」


「うぉぉぉっす!」


「突撃ぃー!」



 ガイが地面を蹴り飛ばし、『超耕王・マキシマムガイ号』の強化脚部が土を爆ぜさせる。魔改造重装甲パワードアーマー軍団が続いて時速100kmを超える速度で楔形陣形(パアンツァーカイル)をとり、ドローン群に突っ込む。


 一方が帝国正規軍のドローン群は、完璧だった。

 高度、間隔、照準、熱源識別。すべてが「最適」に揃えられた、無駄のない方円の陣から、迎え撃つ鶴翼の陣への淀みない動き。理論的には教科書通りの、完璧なまでの布陣である。





 ───が。



「目標捕捉――迎撃開始!」

 

 ドローン群が一斉に光学兵装を展開した、その瞬間。


「遅えぇぇぇ!」


 ガイが前列に突入。両腕の超振動ドリルが回転数を上げ甲高い金属音を鳴らすとともに、両脚のキャタピラがそれぞれ方向を変えて全力駆動。必然的にそれは「超信地旋回」となる訳で───


「先頭のパワードアーマー、高速回転しながら飛んできます!」


「なんだとぉ⁉」

「うわっヘンタイだ!」

「自爆行為じゃないのか?」



「わあっはっはぁー!くらえぃ!『マキシマム・サイクロン・ラリアットぉぉぉ!』」


 両腕を広げて高速回転しながら「飛んで」来たガイに、一瞬にして密集体系をとっていたドローンが十数台屠られる。



警告(アラート)! 相手の動きが想定外すぎです!」


「あんなの想定できるかぁぁ!」


「ドローンの自律AIが『恐怖』を学習!戦闘空域からの離脱方法を演算中!」


「そんなバカな⁉」


「後続のパワードアーマー群、来ます!」








 ───理論・理屈は、往々にして圧倒的な力によって粉砕される。










※飛んでくるガイ≒フルアーマー・ザンギ◯フ。



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