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左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~   作者: 出雲大吉
第7章

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第259話 慰労会


 魔法を見せながら錬成をしていくと、夕方になったので支部に戻る。

 すると、支部長が戻ってきた。


「おー、お前ら、もう上がっていいから行くぞ」

「はーい」


 俺達は片付けをすると、戸締りをし、支部を出る。

 そして、そのままいつもの店に向かった。


 店はまだ時間が早いため、空いていたので席につき、飲み物や食べ物を頼む。


「しかし、夏の慰労会って何だ? 確かに夏だが、そろそろ終わるぞ。普通、こういうのは夏の初めにせんか?」


 まだ暑いが、朝晩の暑さは和らいでいる。

 来月の錬金術師試験の時には秋になっているだろう。


「まあ、いいじゃないですか」

「そうそう。夏の暑さももうひと頑張りさ」


 レオノーラとうんうんと頷いた。


「と言っているが?」


 支部長がエーリカとアデーレを見る。


「なんか上司に好かれる本を読んで、それに書いてあったから誘ったようです」

「レオノーラはともかく、ジークさんは人間力を上げたいんですって」

「何だ、それ?」


 支部長は読者じゃないのかな?


「こういうのがあるんだよー」


 レオノーラが支部長に愛読書シリーズを見せる。


「あー、なんか王都で流行ってるやつだな。でもな、ジーク、これ、ほぼ恋愛本だぞ」


 知ってる。

 【複数の女性との付き合い方】なんかモロだ。


「参考になることも書いてあるんですよ。私はこれらの本で人を褒めることと尊重することを覚えました」

「そうか……俺はお前を大変買っている。元軍人の俺としては魔術師の道に進み、軍部に入った方が良いとすら思っている。実力主義の軍なら元帥も夢ではないとな。でも、多分、死んでたと思うぞ」


 あ、死ぬのは確定なんだ。

 失脚ですらないらしい。


「軍ってやっぱり厳しいのでしょうか?」

「生死を共にする環境だ。相手を尊重できない人間に背中は預けられない」


 昔、本部長が軍だけは絶対にやめろって言ってたことを思いだすな。


「錬金術師の道に進んで良かったと思うようにします」


 ダメでも左遷で済んだからな。


「ああ。ウチとしても助かっている。時にジーク、所帯を持つ気はないか?」


 は?


「すでにヘレンがいるんですが?」

「いや、飼い猫だろ」


 使い魔だよ!


「あの……急に飲み会に誘った私が言うのも何ですが、急に何を?」

「お前、22歳だろ。別に不思議なことではない」


 まあ、そうかもしれない。

 でも、ウチの一門は誰も結婚してないんだよな。


「何かありました?」

「たいしたことじゃない。お前は優秀だ。それも火事に対処したことで新聞にも載った。王都のエリートがこの町にやってきたことを歓迎する者が多いんだよ。その反面、この町を去ることを恐れている。特に町長や軍の大佐辺りだな」


 あー……インゴット関係でその辺を尋ねたらその話題になったんだな。

 結婚でもすればここに残ると……


「縁談でも持ってきましたか?」

「そういう話もないこともない」


 俺がその気がある的なことを言えば、すぐに動く感じか。


「地元の名士辺りですかね?」


 そこの家の娘か、親族かな。


「おそらくな。悪くない話だと思うぞ」


 良くもないがな。


「支部長、私はこの町を出る気がありません。本部長に次の本部長に指名されましたが、それも断りました。私はこの町を気に入っていますし、もう出世の道に進むのはやめたのです」


 そう言うと、エーリカが笑顔で拍手した。

 嬉しいんだろう。


「そうか……その言葉を聞けば、町長も大佐も安心するだろうな」


 俺からしたら知ったことじゃないがな。


「そんな感じのことを伝えてください」

「ああ。それは別として、結婚はどうだ?」


 結婚ねー……まったく興味がないな。


「しぶちょー、ジーク君は奥さんが3人もいるんだよー」


 レオノーラが【複数の女性との付き合い方】を見せる。


「それを書いた作家もびっくりだろうな」


 そう思う。


「支部長、レオノーラの言葉は無視してください。ただ、私のことは放っておけと伝えてください。他人のそういうおせっかいが嫌いなんです」


 放っておけ。

 何度も言うが、俺はすでに生涯のベストパートナーを得ているのだ。


「わかった」


 支部長が頷くと、飲み物が来たので乾杯し、来だした料理を食べていく。


「私のことより、支部長はどうなんですか? 前にこの地に奥さんを呼んで正式に移り住むことを検討しているって言ってましたけど」


 支部長は単身赴任であり、アパートに住んでいる。


「ああ。一番下の子が学校を卒業したらだな。実はお前らが王都に行っている時に妻がリートに来てな……そこで色々と話をしたんだが、やはり正式に移住することになると思う。来年には家を買う予定だ」


 家を買うんだ……

 さすがに金を持ってるな。


「では、ずっとリート支部長ですか?」

「お前、支部長になりたいか?」

「いえ、支部長にはずっとその地位についていただきたいです」


 錬金術はダメだけど、色々やってくれるしな。

 本来の管理職はそうでなくてはならない。


「そうか。じゃあ、そうなるな」

「頼みますよ。ウチは周りから舐められてますが、それでも本気で来ないのは支部長が怖いからなんですから」


 陛下から勲章をもらった英雄の貴族なんかヤバいだろ。

 もっとヤバいのはそこに火をつけたどこぞのバカ共だが。


「支部長、頑張りましょうね」

「支部長は頼りになるなー」

「5人で少ないのは変わらないけど、少数精鋭で頑張りましょう」


 レオノーラ、実践してやがる……


いつもお読み頂き、ありがとうございます。

本日より、本作の第3巻が発売となりました。

3巻を出せるのも皆様の応援のおかげですし、ありがたい限りです。


ぜひとも手に取って読んでいただければと思います。


よろしくお願いします!

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この雰囲気ほんとすき
大枠さえちゃんと報告してれば、俺が責任を取るから好きにやれと言ってくれる支部長と仕事はきちんと行うジークと相性がめっちゃいいんだよな。分からない部分には口出さないし。 支部長からしてもちゃんと仕事して…
縁談って恐らく地元出身の貴族か名士の令嬢……ってアレ?近くに座ってない?
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