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左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~   作者: 出雲大吉
第7章

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第254話 新たなる依頼


 俺とエーリカはマライアと別れると、軍の詰所に入る。

 すると、受付にルッツが見えたのでそちらに向かった。


「ん? やあ、エーリカにジークさん。なんか久しぶりだね」


 船の依頼をもらった時以来だからな。

 以降はずっとユリアーナだった。


「おはよう、ルッツ君」

「よう」


 俺達も挨拶を返す。


「今日はどうしたの?」

「えーっとね、まずは王都のおみやげ」


 エーリカが箱を渡す。


「お、ありがとう」

「今回はお菓子だから2人で食べてね」


 選んだのはもちろん、3人娘。


「向こうも喜ぶと思うよ」


 ユリアーナな。


「それで今日はキュアポーションを納品に来たよ。残っているやつも数日以内に終わると思うからまた持ってくる」

「助かるよ」


 エーリカがキュアポーションをカウンターに置いていくと、ルッツがそれを確認していく。


「ルッツ、それで新しい依頼はないだろうか?」

「あるよ。この前と同じ。リストから選んで」


 まあ、そうだろうなと思っていたので前にもらった紙を取り出す。


「これでいいか?」

「うん。前からそんなに時間は経ってないし、変わってないよ。ただ、できたらキュアポーションじゃない依頼を受けてほしい」


 そりゃそうだ。

 さすがにもういらないだろう。


「納期は?」

「それもリストに書いてあるのと一緒でいいよ。まあ、君達は早いからそこまで考えなくていい」


 俺が遅れることなんてないしな。


「わかった。他の依頼と見合わせて検討する」

「お願い。キュアポーションは問題なさそうだし、残りを頼むよ」


 俺もチェックしていたが、エーリカが作ったキュアポーションはどれもDランク以上はあったし、問題ない。


「わかった。じゃあ、また電話するわ」

「よろしく」


 俺達は軍の詰所を出ると、支部に戻った。

 すると、すでにアデーレは戻っていたが、レオノーラはまだだった。


「ただいま。レオノーラはまだか?」

「おかえり。まだね。病院はちょっと距離があるし」


 それもそうか。


「役所はどうだった?」


 席につき、アデーレに聞く。

 なお、エーリカはコーヒーの準備を始めた。


「インゴットを作ってほしいんだって」


 インゴット?

 また基礎中の基礎だな。


「何かあるのか?」

「どうやら他所の町からの要請みたい。ルーベルトさんが1.5倍の価格を出すから早めに納品してくれってさ」


 緊急依頼に近いな。


「やるべきだろうな。数は?」

「指定がない。できたやつは全部引き取るって」


 全部?

 それほどの数が必要ってことか。


「それ、ウチだけじゃないよな?」


 民間にも依頼を出している可能性が高い。


「そうでしょうね。緊急でそこまでの数がいるってことはウチだけじゃないでしょう」


 となると、もう無理かもな……


「アデーレ、鉱石屋に行くから付き合ってくれ」

「そうね。行きましょう。エーリカさん、すぐに戻ってくるから留守をお願い」

「わかりましたー」


 俺とアデーレは支部を出ると、鉱石屋に向かう。


「ウチに在庫ってあったか?」

「私が練習で作った鉄のインゴットが10くらいはあるかな? あと残っている鉄鉱石がいくつか」


 アデーレにはポーションやインゴットなんかの基礎的なものを作らせまくってたからな。

 もっとも、大半はすでに納品しているが……


「ランクは?」


 確かどれもCランク以上はあったと思うが……


「Bが2つで残りはC。レオノーラに見てもらった」


 じゃあ、大丈夫だ。


「最悪はそれだけになりそうだな」

「すでに民間が買い占めている可能性が大だものね」


 あいつらはそういうのが好きだからな。

 この前の船のエンジンもそうだったが、その前にも魔力草を買い占められ、採取に行く羽目になった。


「先に知っていたらマライアを探れたんだがなー」

「マライア? あー、あのエーリカさんの先輩」


 それそれ。


「ああ。軍の詰所の前で会ったんだ」

「ケンカ売ってない?」

「この前も俺は売ってないだろ。売ったのはゾフィーだ」


 あの騒ぐだけの子犬。

 寂しがり屋だから今頃、風邪で寝込んで泣いてるかもな。


「そうだったわね。また問題が起きないと良いけど」

「ないない。無理なら無理ってだけだ」


 俺達は鉱石屋にやってくると、鉄鉱石が入っている木箱を見る。

 正確には【鉄鉱石】という名札が付いている空箱だが。


「やっぱりね」

「まあ、そうなるだろうな」


 見事に売り切れだ。


「んー? 協会の人間か。鉄鉱石なら昨日、次から次へとアトリエ連中が来て、買いまくっていったぞ」


 店の大将が教えてくれる。


「昨日か……俺が寝こんでいたからだな」

「風邪は仕方がないでしょ」


 まあな。


「売り切れたのは鉄鉱石だけか?」


 大将に聞く。


「銅の方もだよ。どっちも次の入荷の目途は立っていない」


 またそういうパターンか。

 これで困る人も多いんじゃないかな?


「アデーレ、依頼のインゴットって鉄と銅だけか?」

「金もあるわね」


 金なんかないわ。

 この町の周辺にも鉱山はあるが、金は採れないらしい。


「他には?」

「銀とアルミね」

「大将、あるか?」

「銀鉱石とボーキサイトか? それらは買われてないな。ただ、そもそもの数がないぞ」


 銀はともかく、アルミは錬成が少し難しいし、短期間の仕事だから面倒で買わなかったんだな。

 あいつら、本当に利益のみだわ。


「売ってくれ。在庫の半分でいい」


 他の客のために残しておくのがマナー。

 協会は恨まれやすいからな。


「20キロずつになるが、大丈夫か?」

「ああ。空間魔法があるし、そのまま持って帰る。料金はいつものようにリート支部に請求してくれ」

「わかった。じゃあ、用意するからちょっと待ってくれ」


 その後、大将が木箱に入った銀鉱石とボーキサイトを持ってきてくれたので空間魔法に収納し、支部に戻った。


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
>寂しがり屋だから今頃、風邪で寝込んで泣いてるかもな。 (´・ω・`)かわいそう・・・ リートに来ればいいのにね
マライアの老舗で古くからの顧客がいる発言も、アルミやポーションの件を考えると、ちょっと難しい仕事は出来なく、難易度の高くない仕事も雑な仕事で完遂出来ず不義理もする。 こんな状態で顧客維持出来るのかな?
屑鉄屋ってか破棄物回収業者って居なさそうやな 錬金術で簡単にリサイクルに回されてそう
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