第248話 勉強、会……?
「何だ、この空気?」
「メンツを見ればわかるじゃないですか……」
「どうせケンカしてたんでしょうね」
本部長、クヌート、ゾフィーが呆れながらもそれぞれの席につく。
ゾフィーは俺の左隣であり、クヌートが右隣だ。
そして、本部長がクリスとクヌートの斜め横に座り、全員を見渡した。
「こうやって集まってみると、お前ら、大きくなったな……」
「ふっ……」
ハイデマリーが誰かさんを見て笑った。
「……ゴミカスマリー、何か?」
ゾフィーの目が据わっている。
「いーえ。師匠、お身体はもう大丈夫なんですか? わたくしの薬でも飲みます?」
「大丈夫だよ。ただの風邪だ。それよりも勉強会って何だ? お前ら、どうしたんだ?」
本部長が眉をひそめる。
「ジークとクヌートが帰ってきましたからね。せっかくなんで皆で集まろうということになったんですよ。来月は試験もありますし、ちょうどいいでしょう」
クリスがさわやかな笑顔で説明する。
「ふーん……ジーク、お前は試験を受けられないだろ」
「まあ、そうですね……あ、試験問題ができたんで見てもらえますか?」
「あー、そういえば、それがあったな。見せてくれ」
試験問題を渡すと、本部長がそれを眺め始めた。
「ジーク、試験問題って何ですの?」
ハイデマリーが聞いてくる。
「3級以上になると、試験官をやるんだよ。それで俺が10級と9級の筆記試験を作ったんだ。ちゃんとマルティナが受からないレベルにしてやったぞ」
「まあ、受かりはしないでしょうけどね……何が出るのか教えなさいよ」
「お前、弟子に教えそうだからダメ。ドロテー、横目でチラチラと見るな」
「見てませんよ。失礼な」
見てただろ。
弟子がいるクリスとハイデマリーはダメだわ。
「弟子の心配より自分の心配をしろ。この中で何人落ちるかな? あんな試験で落ちる奴の気が知れん」
「「「………………」」」
なんかピリついてきた。
「ジーク、10級も9級もちょっと緩すぎんか?」
本部長が顔を上げて聞いてくる。
「そんなもんでしょう。難易度を上げたかったら適当に調整してください」
「お優しいことで……マルティナはどっちみち無理だし、受付嬢狙いか?」
そんな気はない。
「単純に10級、9級程度ならそれでいいと思ったんですよ。ちゃんとまんべんなく基礎を押さえているでしょ」
「うーん、まあ、これでいいか。ご苦労さん。じゃあ、来月も頼むな」
「はい。それで杖はどうしますか?」
「せっかくお前の弟子が作ってくれたからこっちでそれをベースに調整する。お前の魔石もあるし、Aランクには余裕でなるから大丈夫だ」
あいつらの力作が王太子殿下のもとに行くのか。
9級、8級なのにすごいね。
「わかりました。お願いします」
「んー」
その後、俺達は勉強を始めた。
皆が試験勉強をしているが、俺はやることがないので【職場での人間関係 ~上司編~】を読む。
「ジーク、明日帰るの?」
ゾフィーが聞いてくる。
「そうだな。朝には出る」
「そっか。あの3人にはリートでお世話になったし、王都でも案内してあげたかったけど、時間がなかったわ。よろしく言っといて」
お前……いや、この前休んでたよな?
時間が開きすぎてちょっと気まずくなったんだろ。
「お前もこういう本を読んだ方が良いぞ」
ゾフィーに背表紙を見せる。
「んー? 今回はまともな本ね」
「【複数の男性との付き合い方】か【複数の女性との付き合い方】の方を読むか?」
本を取り出し、ゾフィーの前に置く。
「あんたね……」
「意外と役に立つんだぞ」
「立ったらダメでしょ……」
ゾフィーはそう言いつつ、【複数の男性との付き合い方】を手に取り、読み始めた。
すると、正面にいるハイデマリーが【複数の女性との付き合い方】を無言で手に取り、読み始める。
「クヌート、お前は持ってそうですわね?」
ハイデマリーが笑いながらクヌートを見る。
「いや、確かに持ってるけど、そのシリーズって人気なんだぜ? ハイデマリーの姉貴も買えよ。女の弟子ばっかりじゃん」
「激しく勘違いされそうだから結構ですわ。ゾフィー、そんなものを読むより美しくなった方が殿方には好まれますわよ? 牛乳でも飲みます?」
「あん?」
また始まった……
「いや、お前には必要かと思っただけですわ」
「いらない。すぐにあんたを抜くから」
「お前が? わたくしを?」
ハイデマリーがニヤニヤしながら自慢のプロポーションを見せつける。
「ええ。来月には並ぶし、4ヶ月後には抜く」
ゾフィーは5級であり、ハイデマリーは4級だ。
「「………………」」
2人は俺に本を返すと、無言で勉強を再開した。
静かになって良かったなと思ったので【複数の女性との付き合い方】を読む。
「「……いや、それはシャレにならないから!」」
さっきまでケンカをしていた2人が口を揃えてツッコんできた。
「ジーク、お前が読むとひどいぞ」
「さいてーです」
「ジーク、やめとけ」
「そうだよ。ジーク君は読まない方が良いよ」
クリス、ドロテー、クヌート、テレーゼまでもがツッコんでくる。
「私は本当に見る目がない……変わってくれと思っていたが、そっち方向とは思わなかった」
本部長が呆れながら俺を見ていた。
これ、レオノーラの本なんだけどな……
ここまでが第6章となります。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
引き続き、第7章もよろしくお願いいたします。
また、本作の3巻が来月の2/10に発売となります。
書影も公開され、現在予約受付中なのでよろしくお願いします。(↓にリンク)
現在、電子版のキャンペーン中ですのでまだ読んでない方も読んで頂けると幸いです。(↓にリンク)
よろしくお願いいたします。




