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左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~   作者: 出雲大吉
第6章

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第247話 一門


 翌日、朝から本部に行くと、テレーゼのアトリエで残りの試験問題を作っていく。

 そして、3人娘はソファーの方で勉強をしていた。


「旦那様はあえて冷たくすることで奥さんの興味を引くらしいよ」

「へー……テクニックってやつですかね?」

「奥様は飴と鞭ですって。子育てと同じって書いてあるわね」


 何の勉強だろう?


「それ、役に立つか?」


 なんか早速読んでいるし。


「仕事では使えないんじゃないかしら?」


 アデーレが首を傾げる。


「ハズレか……」

「そんなことないよー。相手をよく見ることって書いてあるし、大事なことだよー」


 まあ、それは大事な気がするが……


「あえて冷たくすればいいのか?」

「あー……ジーク君はそのままでいいよ」

「冷たくするのは良くないですよー」

「男性は優しさが大事よ?」


 どっちなんだよ。


「人間関係って難しいな」

「そんなことないよ。結局は愛さ」


 あえて冷たくすることが愛なのかね?

 俺、ヘレンに冷たくできないし、逆に冷たくされたらショック死するぞ。


「あ、話は変わるけど、今日の夜は勉強会なんですって?」


 アデーレが聞いてくる。


「ああ。その予定だ。だからお前らだけで食べてくれ。どっかで食べてきたらどうだ?」

「どっか……バイキング?」

「ビュッフェですかね?」

「前に本部長に連れていってもらったところに行こうよー」


 何でもいいけど、明日の朝もバイキングだぞ。


 俺は呆れながらも試験問題を作っていく。

 そして、終業時間になる前には終わり、レオノーラにもらった本を読みながら待っていると、テレーゼがやってきた。


「ジーク君、そろそろ行こうよ」


 テレーゼに言われて時計を見ると、すでに夕方の5時を回っていた。


「もうそんな時間か。じゃあ、俺は本部長の家に行ってくるから」

「あ、片付けと戸締りはしておきますよ」

「任せたまえー」

「私達もその後出るわ」


 えーっと……


「勝手にしろ」

「それ、冷たくするやつですか?」

「ジーク君、それは実践しなくてもいいってば……」

「優しさが大事」


 ヘレンには冷たくできないのでこいつらにやってみたんだが……難しいな。


「そうか……テレーゼ、行くか」

「よくわかんないけど、うん」


 俺達はアトリエを出ると、本部を出て、本部長の屋敷に向かう。


「なあ、根本的なことを聞くんだけど、勉強会って何をするんだ?」

「今さら? 昔みたいに錬金術の勉強でしょ。まあ、来月の試験勉強じゃないかな?」


 へー……


「俺、受けないんだけど?」


 実務経験が足りないので来年にならないと2級を受けられない。


「ゾフィーちゃんの勉強を見てあげたら?」


 あいつかー……


「お前の勉強を見てやろうか? 3級を受けるんだろ?」

「いい。私はお姉さんでいたいの」


 あ、そう。


 俺達は本部長の屋敷までやってくると、中に入る。

 そして、奥のアトリエに向かった。

 すると、すでにクリス、ハイデマリーがおり、お互いに目を合わさないのに隣同士で座っていた。

 このアトリエは昔から使っているので皆が座る位置というのは決まっているのだ。


「2人共、早いね」


 テレーゼがそう声をかけながらハイデマリーの隣に座る。

 並び的にはクリス、ハイデマリー、テレーゼだ。


「私は外回りだったからそのまま来たんだよ」

「私はキリが良かったから早上がり」


 本当に目を合わさない2人だ。


「仲良くしようよ……」

「別に仲が悪いわけじゃないぞ」

「そうね。良くもないですけど……ジーク、ニヤニヤしてないで座ったらどうですの?」


 ハイデマリーが睨んできたので定位置であるハイデマリーの正面に座る。


「別にニヤニヤしてないぞ」


 ポーカーフェイスだ。


「嬉しそうなオーラをひしひしと感じますわよ」

「ふーん……お前、3級を受けるのか?」

「もちろん。落ちる可能性はゼロですわ」


 ちゃんと勉強をしているみたいだ。


「見てやろうか?」

「……ふんっ! テレーゼ、一緒に勉強をしましょう」

「うん、そうだね」


 鼻で笑ったハイデマリーはテレーゼと教本を開き、勉強を始めた。


「クリス……あれ? ドロテーじゃん」


 クリスの肩には旅に出たドロテーがいる。


「今気付いたんですか?」


 いや、クリスの身体のパーツの一部と化していたわ。


「痩せたな」


 ドロテーが普通になっている。


「3日間、飲まず食わずで飛び回りましたよ」

「ぷぷっ、リバウンドする痩せ方」


 ヘレンが笑った。


「おい、泣き虫、なんつった?」

「何もー。私はダイエットなんてしたことないのでわかりませーん」


 ヘレンはあんだけ食っちゃ寝生活なのにまったく太らないからな。


「役立たず猫め……」

「デブガラスのくせに……」


 この勉強会、ケンカする会になりそうだな。


「ヘレン、相手にするな」

「ドロテー、ちょっと大人しくしておけ」


 俺とクリスがそれぞれの使い魔をなだめる。

 すると、扉が開き、本部長、クヌート、ゾフィーがアトリエに入ってきた。


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
 ジーク「相変わらずだなぁー、コイツら(ニヤニヤ)」してるのがマリーにバレたんですかね?  ちな私は、この小説の略称は「左辺」だと思ってます。
いいなぁ、この一門の関係性。癖は強いけど嫌な奴がいないの、とてもいい。
一門、みんな仲良しでホントいいな
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