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左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~   作者: 出雲大吉
第6章

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第211話 アデーレ


「陛下が私に何の用でしょう? 前にも会いたいとかおっしゃっていたようですが……」

『お前がガチャ切りしたやつな。なんでウチの一門は都合が悪くなると、ガチャ切りするんだ?』


 知らない。


「なんででしょうね? 師匠が悪いんじゃないですか?」

『都合が悪くなると全部私のせいにするところもだな……』

「それが師の責任というやつでしょう」


 ウチはそんな連中じゃなくて良かった。

 師匠が良かったんだろう。

 絶対にそれはないけど。


『はいはい。それでな、陛下はまず、この度の不正、反逆を食い止めてくれたことを非常に高く評価しておられる』


 あれで反逆なんだから言葉って重いわ。

 リートの地方議員を反逆罪と進言しなかったらこれまでの功績で命くらいは助かっただろうに。


「臣下として当然のことをしたまでです」


 俺達は国の機関に勤めているから陛下の臣下ということになる。


『そうだな。それと例の文字を判別する機械な。大活躍しているぞ』

「それは良かったです。不正は許せませんしね」

『まったくもってその通りだ。おかげで私が作った自動で文字を起こす機械の発注が王宮内で多くて困っている』


 この国、大丈夫か?

 不正だらけじゃん。


「その機械にこっそりシリアル番号を入れ、何を書いたかを記憶する装置を付ければ儲かりそうですね」

『それをやったら私は毒殺されるか、よくわからない罪で物理的に首が飛ぶな。何しろ、陛下にも寄贈している』


 ご愁傷様です。

 その場合は多分、俺も巻き添えだろうけど。


「お褒めの言葉を言いたいから呼んでいるわけですか?」

『それもあるが、仕事を頼みたいらしい』


 やっぱりね。


「魔剣とか言いませんよね?」

『魔剣じゃなくて、杖だな』


 は?


「杖なんか作ったことないですけど? というか、それこそ本部長が得意な分野でしょ」


 俺もだし、一門なら皆、本部長が作った杖を持っている。

 持っているところも使っているところも見たことがないけど。


『その辺がまあ、素人の要望だな。専門分野をわかっていないんだ。良い魔剣ができたから次は杖が欲しいって言われたんだが、私じゃなくて、お前を指名してきた』


 逆だろ。

 魔剣は最初から俺に頼むべきだし、杖は本部長に頼むべきだ。


「えーっと、杖を作るんですか。しかし、なんで杖? 剣があるじゃないですか」

『あれは陛下の分だ。今度、北部の戦地に赴く王太子殿下のために杖が欲しいんだとよ』


 あー、王太子殿下は確か魔術師と聞いたことがある。

 実力はお察しだろうけど。


「あのー、殿下が行かないといけないほどに北はマズいんですか?」


 殿下が行ったところで戦力にはならない。

 しかし、兵の士気が上昇するので良い手ではある。

 もちろん、この国の次の王である王太子殿下に何かあったらマズいけど。


『負けるということはない。向こうの戦力では前線を突破できない。しかし、こちらも追い払うだけの戦力がない。つまりお互いに資源を消費するだけの泥仕合になっている。向こうも何の戦果もないから下がれないんだろうというのが大臣の見解だ』


 不毛。

 ただただ不毛だ。

 そんなもののためにテレーゼの目から光が消えたのか。


「さっさと和睦しろって大臣に言ってくださいよ。本部、ヤバいでしょ」

『本部以上に北の方の主要都市の支部がヤバいな。異動願いがたんまり。お前のところに送ってやろうか?』

「6級以上をください」

『異動願いを出しているのは10級ばかりだ』


 じゃあ、いらね。

 現状、軟弱者の10級はいらない。


「サシャかマルタを説得して引き抜くかなー……」


 アデーレとの繋がりが深いし、あいつが頼み込んだら来てくれるかも。


『また受付を引き抜いたら受付嬢が好きな男って呼ばれるな』


 そんな称号は嫌だからサシャはいいや。


「その杖作りって断れますか?」

『そりゃ断れるが、断るな。お前は魔石を作ってくれるだけでいい。あとは私が作るから合作だ』


 まあ、魔剣も刀身を作っただけであとは本部長に投げたしな。


「うーん、まあ、鑑定士の試験や国家錬金術師の試験官のことでそっちに行かないといけないですしね。ついでに作りますか……」

『そうそう。ちゃんと特別ボーナスもやるし、また偽出張にしろよ。手伝いという名目で弟子共の旅費を申請しても構わん。陛下の仕事だから誰もノーとは言わんぞ』


 そうするか。

 ウチのトップが勧めているわけだし。


「承知しました。ちょっとこっちで相談してみます。週末には本部に行きますので」

『おー、そうしてくれ。それともし良かったら女共を連れてウチに――』


 さて、仕事に戻るか。


「ジーク様、また王都で仕事ですか?」


 ヘレンが聞いてくる。


「そうなるな。まあ、さすがに今回は前回のような妨害もないだろうし、本部でもほとんどの地雷は処理しているはずだ」

「地雷発見器さんがいますしね」


 アデーレさんな。

 マインスイーパーと呼んでやろう。


「その地雷発見器も地雷があるから怖いよな」


 爆発する地雷発見器って何だよ。


「ジーク様、いっぱい埋めましたもんね」


 埋めた記憶は一切、ないんだがな。


「凱旋門とチョコレートケーキとなんか楽器を見に行くんだっけ?」


 なんかそんなことを言ってた。


「そうですね」

「別々じゃないよな? 皆で一緒に行くんだよな?」

「問題です。その中に一つだけ明らかに2人だけで行くのが入ってます。さあ、どれでしょう?」


 どれだよ……


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
ジーク反省しろw
楽器かな〜、楽器だろうな〜。 他2人も2人のほうがいいのかもしれんがみんなで行ってもセーフな感じある。
>おかげで私が作った自動で文字を起こす機械の発注が王宮内で多くて困っている  確か、タイプライターは、打つ文字とか間隔でどのタイプライターで書かれたのか判別できるとか、どこかのミステリーに書かれてた…
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