テロとの接し方

イスラム国が邦人を殺害すると宣告した。

救いたければ２億ドル（≒２３６億円）を払えとのことだ。

この２億ドル、日本政府がシリア難民に対する人道支援のために拠出すると公表した額と同じである。

日本のマスコミが見出しでセンセーショナルに「イスラム国対策」とか書いていたが、それが影響したのだろうか。

さて。この件に対して「人の命は金より重い」「国民を守るためにも２億ドルくらい出せ」という人がさっそく湧いたが、それがどんな悲劇を生むか想像できないほど想像力がないのだろうか？

イスラム国は世界最悪の武装集団である。彼らが２億ドルもの現金を手に入れたら武器の購入に使われることになる。

仮にＡＫが１０００ドル（≒１２万円）で買えるとしたら２０万丁が買えてしまう。

無論ＡＫもピンからキリまであるが、中東などで流通しているものはもっと安いだろう。

さらに問題になるのは営利目的の邦人の誘拐が増加する危険があるということだ。

さらって脅せば金がもらえる。これがまかり通った結果を我々は知っている。ソマリアの海賊である。

ソマリアの最大の産業と化した海賊による誘拐ビジネスは現在、事実上の国連軍が対応している状況だ。もしこんな中、政府が金を払うと明言したらソマリアの海賊は日本の船を積極的に狙うだろうし、各国の過激派や犯罪組織が日本人をさらって資金調達や政治的要求を達成するために脅すようになる。

このような事態を見越して現在では「テロリストのあらゆる要求は突っぱねる」事が原則となっている。

アメリカやイギリスはこの原則を徹底し、特殊部隊を利用して流血もやむなしの姿勢を取ったために現在では誘拐は格段に減ったとされる。要求しても突っぱねられるどころか、最悪の場合特殊部隊を差し向けられて地獄の果てまで追われる羽目になるのだから割に合わなくなったのだ。

はてさて、反安倍首相の人々は「今回の件で首相は小躍りして喜んでいるだろう」と言っているが、一番うれしそうなのが反安倍首相の人々のように思えるのは、なにかの皮肉だろうか？

今回の事件ではどっちに転ぼうが彼らにとっては叩く材料になるのだから、もうたまらないだろう。だがその姿勢は確実にテロリストのそれであろう。

暴力を持ってして政治を変えようとする行為がテロなのであるから、彼らはテロに加担したのだ。

さて、反安倍の「テロリスト」のみなさま。今回の事件はどうすればいいのでしょうか？ご高説受けたまりとうございます。