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偶像と熱狂2―熱狂の観測編―

なに?

どうしてこんなこと書いたかって?

そりゃ決まってるだろ。

行ったんだよ。

どこに?ってコンサートに!

いつ?ってクリスマスイブに!

KinKi Kidsのコンサートが昨日、大阪の京セラドームで行われた。

私は急遽いけなくなった母の代理として妹の付き添いを任されたのだ。

アイドルのコンサートというものに一度も行ったことのない私にとってとても興味深いものが見れたので報告しよう。


コンサート当日の朝は早い。

朝5時にたたき起こされ支度をするとすぐに駅まで送られた。

この後JRに乗り、近鉄に乗り換えて、阪神電車に乗り換え、ドームについたのは午前8時30分ごろ。

グッズ販売の開始が11時とこのとき聞かされ早すぎるのではないかと疑問を呈した。

物販列に並んでいるのもごく少数のみ。

どう見ても早すぎる。

だがその後列の様子を観測してみると恐るべき勢いで人数が増えていく。

最終的に物販開始前に千人近く並んでいたように見えた。

早く来た理由がここで分かったのだ。

私はそれこそ女だらけの列に男一人ぽつねんといるのは厳しいと思い列から離れて列を観測し、最近買った緋弾のアリアの新刊を少しだけ読んで時間をつぶした。

ここで列以外の人に注目してみた。

男性スタッフは正規の警備員とそれ以外の二種類である。

どこかで聞いた話だが、ジャニーズのコンサートでは会場の整備などにジュニア|(研修生)を使うという噂がある。

これが正しいなら警備員ではない男性スタッフはジャニーズジュニアということになるのだろう。


11時になり列は動き出した。

物販ブースは二つ存在し、ドームまえの広場|(というよりもゲートへの移動のためのエリア)3番から4番ゲート前にかけての設営と、その直下の設営となる。

列は一定の人数で区切られ二手に分かれるのだ。

グッズを買った妹と合流し、購入したグッズの一覧を見せてもらった。

パーカー、ブランケット、ポーチ、うちわ、ペンライトなどなど。

一番驚いたのは大型の繊維製品だった。

パーカーの生地は厚手。縫製もきちっとしていて頑丈そうだ。

黒地に白と赤でKinKi Kidsと15|(15周年記念コンサートだったため)がデザインされており、普段着としても使えるようになっている。

比較的早く購入できた。

この後、昼食のお好み焼きを食べたりしたのだが、それについての詳細は割愛させていただこう。


三時半ごろに京セラドームに再度到着。

指定されたゲートから入場する。

席は比較的前の方。最接近した場合表情も読み取れるだろう。

肉眼でも十分にコンサートを楽しめるギリギリの距離かもしれない。

コンサート前には場内アナウンスで様々な注意が喚起される。

応援方、海賊商品、禁止事項がループするのだ。

それでコンサート開始予定時刻数分前からキンキコールがはじまる。

ここからが本題だ。

皆、ほぼ同じタイミングでペンライトを振っている。

すさまじい統率力。

無意識に会場の意識は統一されているのだ。

ステージのオーロラヴィジョンの画面がめまぐるしく変わるのだ。

喚声が一気に上がる。

そして本人登場。

歌が始まるが、ここで、あえて、いろいろと舞台装置に注目してみた。

イルミネーションは基本暖色系と寒色系の二種で中間色はほぼ使われない。

グリーンのレーザーでドーム内に線を作る。

照明は基本的に主役の二人を追うが効果的に外すこともある。

そして、遠いところにいても主役を見ることができるように画面が複数存在する。

画面には歌っている歌詞も表示される。

必要に応じて歌詞確認にも使っているのだろう。

前半の歌唱パートで仕込んだ火薬を使っている。

破裂すると会場の興奮度が跳ね上がるのだ。

火薬か何かで銀テープも飛ばしていた。

この銀テープというのがファンにしてみれば喉から手が出るほど欲しいものなのだとか。

銀テープを手に入れることができるのはステージに近い数少ない観客のみ。

しかもコンサートツアーごとに銀テープにあしらわれるデザインは違うのだ。

持っている人間は幸運なファンということになる。

私はファンというわけではないがあっけなく手に入った。

ちょっと特殊な人間だろう。


歌が終わるとトークパートとなる。

何とも、クリスマスイブということもあって、観客に対するイジリから始まった。

話題を展開するのがうまい。一気に転がされるのだ。

いつの間にか前日ホテルであった話題(この一分前まで三國無双の話だった。さらに言うならその五分前は故障したテレビのリモコンの話だった)から今ジャニーズが売り出そうとしているユニットの紹介となった。

ここが重要だ。

新人ユニットの紹介をし、デビュー前にファンを作る。

これが重要なやり方なのだ。

中学時代の部活の先輩(手芸部所属だったので私以外の部員は女性だ)がKAT-TUNのファンであった。だが当時まだCDを出しておらず活動も限定的だったのに何故ファンがいたのかわからなかった。この謎がここで氷解する。

ここでもコミカルなトークが続く。

新ユニットがメンバー脱退に伴う名前の変化っぷりに戸惑った話や、このコンサートに新人ユニットメンバーの母親が来ていることを本人以外でばらしあう。そしてその母親が全然いけるというメンバー。

この話は新人ユニットの宣伝のためなのだろう。

そして後半の歌唱パートとなる。


大道具のすさまじさもある。

巨大な台座が動く動く。

しかもモジュラー構造らしくそれぞれを離散集合させつつドーム内を動きまくる。

そして主役二人は感謝の言葉の後退場。

そして、ステージは終了。


かと思ったら……!

アンコールのキンキコールであっけなく再開。

そのあっけなさに愕然とする俺とそれがどうしたのと言わんばかりの表情の妹。

経験者は語る。それが出来レースであることを。

大道具はなくなったがどれでも映像効果が残っている。

そして歌も終わって、サンクスを言って今度こそ終わりだった。

アナウンスが公演の終了を示してもコールが鳴りやまない。

そして出てきた二人のうち光一が一言


「規制退場だ!!」


それから少し小芝居があってこれでファンの気が済んだのか退場が始まるのである。



偶像による熱狂。

その恐ろしさは人間の本質にまで響くのだろうか。

少々、メンタル面で問題のありそうなファンも見られた。

熱狂に完全に取り込まれ、現実に帰れなくなってしまった人間。

そういう人もいるのだ。

そうなったが最後、甘いマスクでやさしく微笑みかける彼にすべてを投げ出してしまう。

バンドなどのファンが後追い自殺を敢行することが偶にある。

日本ではXJapanのHIDE死亡や野猿の解散時に見られた現象だ。

多くのファンは偶像を生きる糧としている。

だが、生きる目的や自身の存在理由にまでしてしまう人も多いのだ。


偶像と熱狂でアイドルと新興宗教の教祖との類似性を指摘したが、今回はそのフィールドワークとなった。

コンサートチケットを当てた妹に感謝したい。






それにしても




KinKi Kidsの曲。いい曲だったなぁ。

ロシナンテの災難のテーマ曲以来だったなぁ。ちゃんと聞くの。

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