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03

今更だけど主人公がふわふわして定まりにくい…(T_T)

 …おいっ…これは…


人の声。

あれ?私帰れたのかな?それにしても五月蝿いな。


 …なんで…召喚しなおせっ…


 ん??召喚?なんのことだ?


考えているうちに、体が誰かに蹴られた。


 「おい。起きろ」


いてっ!足でやったな!ふざけんな!衝撃によってボヤけていた頭がクリアになって、意識が戻ってきた。目をゆっくりと開くと、そこは見たこともない光景だった。


…もう一回気絶しちゃおうかな。うん。そうしよう。


再び目を瞑ろうとすると、先程私を足で蹴った人に、

「おい。起きろ。王の前で無礼だぞ」


と言われたので仕方なく目を開けた。

…やっぱりおかしい。ここは何処なんだろう。


まず人の様子からして違う。見渡す限りの原色の頭。ピンク、金色、青に赤。あ、オレンジまで。チカチカするな。

不思議と一番いそうな黒は見当たらない。昔から色素の薄い、私の髪と同じ茶色も一人もいなかった。


そして、服装もどこの映画ですかってくらい違った。よくあるおとぎ話の舞踏会みたいな格好。


私のような、純粋な日本人では到底着こなせないけど、ここにいる人達は、みんな西洋風の顔立ちをしているので、違和感はあまり感じられない。

 あれ?ていうかさっきの人、王がなんちゃらって言ってたような。じゃあここは王宮って訳か。

へー。王宮ね。




ほー……………って!



ダメじゃん!一番厄介だ!なんか巫女とか呼んだのかな?無理無理無理無理!


私はどうひいきめにみてもTHE平凡だし、特殊能力とかないし。どうしよう!殺される…よくて豚の餌とかだ。あーっもう!運なさ過ぎ!家に帰りたいだけなのに!


 私はまとまらない考えのなかで一つの解決策を導き出した。それは、絶対に逆らわないようにして、なんとかこの場を乗り切り、とりあえずこの厄介な場面を回避する。というものだ。

なんとかなる。よし平常心、平常心…。


「王。どうされますか?」


そんなときまた声が聞こえる。

今喋ったのは、先程私を蹴った金髪の人の隣にいる、青に少し黒を混ぜたような髪の色の人だ。


王って…あれ?あの真ん中の人か?髪が真っ黒だ。

にしても凄い美形だな。王様っていう割りには若いな。私は耐性があるけど、馴れてない人が見たら、倒れそうだ。


そんな美形の王を観察していたら、今まで黙っていた王が一言言い放った。


「つまらん。殺せ」


…え


「私も同意見です。早く連れていきなさい。目障りです」


…は?


「しかしっ!もう一度召喚することは困難ですっ」


「別にかまわん。早くしろ」




 そのとき、さっきまで立てた私の『THE平凡人間生き残り計画』が音をたてて崩れさった。

かわりに心の何処かで、何かが切れるのを感じた。燃えるような体で立ち上がる。そして、王様のもとへゆっくりと歩きだした。

異変に気がついたらしい周りの兵らしき人達が、私の前に立ちふさがった。感情に任せて一言だけ言う。


「どきなさい」


兵が強張った顔で、後ろに下がった。そこを進む。

王様の前まできた私は、真っ直ぐに王様を見て口を開いた。


「ねぇ?説明してくださいますか?」


まるで、出来の悪い子供に言い聞かせるように微笑んでみせた。



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