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01

その日は朝からなにも変わったことのないふつーの一日だった。


朝6時に起床し、朝食を作り、超絶美形のうちの家族を起こしに二階へ。なぜかうちの家族は、揃いも揃って低血圧だ。低血圧って美形のステータスなんだろうか。まぁそんな感じで家族起床。


「おはよー。父さん母さん。」

「ん。」

「おはよう。透ちゃん」


父さんと母さんに挨拶をすると、短いながらも返事が返ってきたので安心した。ひどいときには、寝ながらご飯食べるからね…この人達。


と、そうこうしてるうちに後ろに重みが…


「郁兄ー?抱きつくのやめて。私いま味噌汁ついでるんだけど…」


「んー?透は今日も可愛いいなぁ。」






話にならないので応援をよぶ。


「修兄ー!郁兄どうにかして!」


これでよ…


「郁斗、離れろ。俺の番だ。」


何を言ってるのだ。こいつは。そこから意味不明な喧嘩をし始めた二人を無視して、ご飯を食べて学校へ。


そして、なんやかんやで帰宅。私は剣道部なのでいつもは遅くなるのだけれど、その日は休みで早く帰ることができて、ホクホクした気持ちで帰ってきた。


 いや。帰ろうとした。いつもの道をたどって最後の交差点にたどり着いたとき、それは起こった。五歳くらいの男の子が、ボールを追って道路に飛び出す。正確には、トラックの前へ。


あっ!っと思った時には体が動いていて、男の子を押し退けていた。目の前に迫るトラック。





周りの騒音。そのすべてがゆっくりに聞こえて、私は場違いに思った。あぁ…なんかこれが走馬灯ってやつかな?いや違うか。思い出してないし。じゃあなんて言うんだろ。これって。


近づくトラックのライトが眩しくて目をぎゅっと瞑った。最後に浮かんだ家族の顔にごめんねと囁いて、私の意識は真っ暗な闇に吸い込まれていった。



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