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元就の野望~全国版~。わたしはガチャを駆使して補佐します  作者: 那田野狐
第10章 管領細川。祇園精舎の鐘の音編

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第4話 紅茶会と討伐軍

閲覧・感想・ポイント評価・ブックマーク・誤字報告ありがとうございます

 お隣中国では、お茶の原材料チャノキの葉っぱの加工方法によって緑、黒、青、紅、白、黄の6種に分けられる。日本だと黒茶はプーアル茶。蒼茶はウーロン茶といった方が解り易いかな?白茶と黄茶は余り馴染みがない。このうち日本で多く飲まれている緑茶は製法でいうと、摘んだ茶葉を蒸すことで酵素を止めて作られる不発酵茶の一種らしい。

 ということで今日の主上(後奈良天皇)とのお茶会は、発酵(といっても細菌ではなく酸化酵素由来)させた茶葉で行う。まあ紅茶に適したチャノキの茶葉ではない紅茶のお茶会なんだけどね。


 アイテムボックスから茶葉の入った棗(茶葉入れ)と造形的にはまだまだ納得できない狸茶釜を模した急須。お湯を捨てる壺と菓子入れの器と砂糖の入ったガラス容器。牛乳の入った容器を取り出す。アイテムボックス内は時間が止まっている標準仕様なので牛乳は新鮮である。


 しゅんしゅんとお湯が沸騰し始めると、火鉢の中の茶釜狸がバタバタと暴れ始める。ちょ、やめろ灰が散る。

 柄杓でお湯をすくって急須に入れて十分に温める。

 だばあ

 急須のお湯を捨て、棗から茶葉を取り出し急須に入れ、再びしゅんしゅんいいだした狸茶釜から柄杓でお湯をすくって急須に注ぐ。5分ほど蒸らして、先に出した茶碗に注ぐ。


「おお、確かに紅いな。うむ。良い香りじゃ」


 主上が注がれたお茶の紅さに感嘆したような声を上げる。


「紅茶には色々な飲み方があります。そのまま飲むもよし、砂糖や牛乳を入れても楽しめます」


 作り方を含めるとあと数種類あるけどね。


「なに?砂糖じゃと?」


 主上は「なに」と言いかけてガラス容器に目が留まる。「まさか」といいつつガラスの容器を手に取る。ガラス容器の蓋を開けて、ガラス容器に入っている匙で中身を掬って舐めた。


「甘し!誠に砂糖では、いや雑味がない」


「はい。ようやく商品として出せる品質と量を確保できました。お納め・・・いえ、短冊の代金のおまけです。お受け取りください」


「そうかそうか」と言いながら主上は紅茶の入った茶碗に砂糖を入れ・・・入れすぎです!ぐるぐるとかき混ぜ、こくりと紅茶を飲み干す。


「こちらもどうぞ」


 お茶請けに出したのはクッキー。クッキーはバター、砂糖、卵黄、小麦粉を混ぜて練って冷暗所で寝かせて焼くという比較的簡単な方法で造ることが出来る。典薬寮管轄の乳牛院という乳牛を管理して乳製品を作る部署で、牛酪という名前で製造方法が確立していてビックリしたよ。ついでにいうとチーズも乾酪という名前で製造方法があった。そういえば蘇や醍醐も乳製品だよねって笑ったのはいい思い出。


「欧仙殿。この焼き菓子は美味しいですな」


 さくさくさく。かりかりかりかり。


 リスかハムスターかってくらい主上は頬を膨らませて食べている。普段はお立場上できないんだろうなぁ・・・(ほっこり)



- 京 山城(京都府南部)大内裏 外 -



 京の街を喧騒が包む。騒音の元は5000人からなる兵。たなびく旗差しには細川京兆家の松笠菱(細川向かい松)が描かれている。


「逆賊!波多野稙通、柳本賢治を討つべし。出陣!!」


 馬上で貧相な顔をした男が叫ぶ。男の名前を細川尹賢という。管領である細川高国さんの従弟だ。


「逆賊討つべし・・・ねぇ」


 出陣式を見ていた平民の男が嘲るように吐き捨てる。

 ことの始まりは去年の11月。細川高国さんが、従弟である馬上の細川尹賢の讒言を信じて部下の香西元盛を自害させたこと。これに激怒したのが、香西元盛の兄である波多野稙通と柳本賢治の兄弟。丹波(兵庫東部から京都西部)にある自らの居城、八上城と神尾山城で反旗を翻したのだ。兵の数は約3000人。

 で、これに呼応するかのように阿波(徳島)と讃岐(香川)で細川晴元くんと三好元長さんが香西氏の兵と共に挙兵。兵は4000人。細川尹賢の思惑はともかく、細川晴元くんと三好元長さんの挙兵で香西元盛の細川高国さんへの反逆が確定してしまう。

「波多野稙通、柳本賢治兄弟を討つべし。誰ぞある」って高国さんの檄に、火を付けた尹賢が手を挙げて、今回の出兵となった訳だ。


「勝てないだろうなぁ」


「そうでしょうか?」


 俺の呟きに、隣りに控えていた作務衣を着た総白髪の愛嬌のいい顔の男が応える。男の名を百地正蔵という・・・らしい。俺の配下でもある服部半蔵さんが紹介してくれた伊賀の上忍三家のひとつ百地氏の現頭領の末弟だと自己紹介してくれた。

 で、百地正蔵さん総白髪ではあるが、年はまだ30半ばを超えたばかりらしい。少し腰を曲げれば老人に見えるので諜報活動には便利だと教えてくれた。


「城を攻めるには戦力が三倍いる。包囲だけでは挫けてくれんだろ」


「ああ、人心全てが細川にあるとは限りませんでしたな」


 百地正蔵さんは大きく頷いてくれる。細川尹賢のお手並み拝見と行きましょうか。

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