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元就の野望~全国版~。わたしはガチャを駆使して補佐します  作者: 那田野狐
第6章 石見平定(大内派一掃という意味で)編

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第6話 和議は花いちもんめのリズムで踊る(押しては引いて先に進まない) 

閲覧・感想・ポイント評価・ブックマーク・誤字報告ありがとうございます(今更感)


 SIDE 三人称


 今回の大内の石見(島根西部)遠征の総指揮官を務める明るい栗色の髪の優男は、毛利元就からの使者である志道広長との謁見を終えてふっと息を吐く。

 彼の髪の色、灰色がかっている瞳の色から、彼の両親のどちらかあるいは両方に、何代前に西洋人の血が混ざったことが推測される。

(実際、平清盛の率いた軍の中には、地中海方面から流れてきたと思われる傭兵らしき集団の記載があり、桃太郎の伝承が岡山発であるのもこの辺りに理由がある。)

 男の名前を大内周防介義隆。第15代当主の大内義興の嫡子であり次期当主確定の人物でもある。


「今までなしの礫だったのにようやく和議交渉を行う事の受諾ですか?」


 謁見に同席した、鋭い目付き、鉤鼻を持つ白髪交じりの初老の男、陶興房が苦笑いをする。


「どうやって我らの侵攻を知ったのか、意外に嗅覚が鋭いよな」


 大内義隆も苦笑いする。実は大内は、高橋興光が毛利領に攻め込んだ当初から両者に使者を送り和議を結ぶように働きかけている。

 その働きかけを元就が完全に無視し、高橋興光を追って石見に攻め込んできているが、これは大内義興も想定内だった。

 今回の大内義隆の石見出兵は、最近になり多くの銀産出が認められるようになった石見大森銀山の奪還のために策定された策の前段階だったりする。

 高橋と毛利の間で和議が締結され、元就が石見から撤退するのと前後して、大内に属する石見の国人が矢筈城と矢滝城を攻める予定になっているのだ。


「本当なら元就を討ちたいところだがな」


「ええ。ただ、ここで大内が主導で元就を討つと、脅威は除けても安芸鏡山城の奪回に支障をきたします。残念です」


 とりあえず元就は本城の包囲を解き、占領した二ツ山城まで軍を引き、和議の話し合いを行うことになる。


 -☆-


 大内を仲裁に毛利と高橋の間で和議の話し合いが行われていた。

 陣幕を張っているとはいえ、寒風の吹き込む野外での話し合いである。かなり寒いはずだが、毛利陣営の人間は平然としていた。


「元近には感謝しかないな」


「しかりしかり」


 元就の呟きに志道広長が相槌を打つ。二人は厚手の靴下に毛糸のセーター。熱を発するカイロなる小袋で防寒対策を施していた。

 しかも手には大豆コーヒーの入ったやたら保温性の良いコップがある。


「歩み寄りが全くないねぇ」


 紙に簡素に書き綴られた条件を眺めていた大内義隆は笑いながら後ろにいた興房に語り掛ける。

 陶興房も困り顔である。


 条件の内容は、

 ・両者で合意できるのは毛利氏と高橋氏の間で2年間の不戦条約。

 ・高橋の主張は、安芸の高橋領は放棄するが石見の高橋領の返還。

 ・毛利の主張は、占領した二ツ山城まで所有。安芸で捕らえた高橋弘厚を筆頭とした高橋一族の身柄全ての引き渡し。

 不戦条約はともかく、領地の区分がまったく相容れられない。話し合いは長引くことが予想された。


SIDE 主人公


「首領。本明城の福屋正兼が挙兵しました」


 退却途中の俺の元に世鬼煙蔵さんが走り寄って来て報告をしてくる。七尾城の益田宗兼より早く準備が整ったようだ。

 口羽広良さんに本明城の福屋正兼の挙兵を伝え先に琵琶甲城に帰ってもらうよう伝令兵に命令し、自ら率いる軍にはこの場に留まるよう指示を出す。


「大将どうされました」


 俺の元に郷原三太、大国四郎、多久和八朗、金築次郎、周藤九太の5人の足軽小頭がやってきた。ここで、俺が今回編成した250人の軍組織について簡単に説明すると・・・

 俺は150人を率いる足軽大将だ。その下に3人の足軽小頭がいて(自身を含む)50人を率い、足軽小頭の下には5人の足軽がいて、それぞれが(自身を含む)10人を率い、足軽の下には2人の小物がいて、それぞれが(自身を含む)5人を率いている。

 そしてこれとは別に、傭兵や陣借りしてきた(主に司箭院興仙さんと桂広澄さんの隊に所属している)兵を纏める足軽小頭と、輜重隊として招集した農民兵を率いる足軽小頭がいる。(この二つの部隊には足軽や小物といった指揮官はいない。)

 ちなみに郷原三太が陣借足軽小頭で、大国四郎が輜重足軽小頭。(※オリジナルですたぶん)多久和八朗が槍を携える長柄足軽小頭で金築次郎が弓を携える弓足軽小頭。周藤九太が俺の旗指を背負う栄えある旗指足軽小頭である。


「うむ。福屋正兼が挙兵した」


「おお」っと足軽小頭たちの間から声が上がる。ただこの辺は撤退する前に情報を共有していたので驚きは小さい。


「意外に早かったな。まあ、お蔭で横腹が突ける」


 足軽小頭たちの顔にも笑みが浮かぶ。手柄を立てるチャンスだからだ。


「我らはここより北に進路を変える」


「「「「「応」」」」」


 野太い声が上がった。

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