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元就の野望~全国版~。わたしはガチャを駆使して補佐します  作者: 那田野狐
第6章 石見平定(大内派一掃という意味で)編

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第5話 反撃大内氏のターン

閲覧・感想・ポイント評価・ブックマーク・誤字報告ありがとうございます(今更感)

- 石見(島根西部) -


 二ツ山城を占領し、取っ手付き茶器(マグカップ)に入った大豆コーヒーをすすりながら物資を運び込む指示をしていた俺の元に今川貫蔵さんがやって来た。


「首領さま。大内義興軍1万3千が石見に侵入しました」


 いきなりの報告に思わず吹いてしまう。

 元就さまが、何時まで経っても高橋氏と毛利氏の喧嘩の仲裁という話し合いに応じないことに、大内義興は武を持って介入してきたという事だ。

 いや、いきなり1万3千の兵を差し向けてきたという事は、最初から武力介入する気満々だったということか・・・


「七尾城の益田宗兼と本明城の福屋正兼は?」


「大内の侵入に呼応して兵を集めています。数は併せて2000はいくかと」


 益田も福屋も結構集めている。こちらも事前にある程度の手回しをしていたということか。

 まあ大内義興なら、本城に軍を差し向けて毛利軍を釘付けにした後、石見の親大内派の国人を煽って矢筈城や矢滝城に攻め込ませることぐらいはするだろう。


「貫蔵は矢滝城に戻り防備を固めるように指示してください。そのあと佐波さまと小笠原さまに援軍の要請をお願いします。私は殿と対策をすり合わせた後に矢滝城に戻ります」


「御意」


 すっと今川貫蔵さんは姿を消す。さすが忍び。


「どうした三四郎」


 口羽広良さんが取っ手付き茶器(マグカップ)に入った大豆コーヒーを飲みながらやってくる。


「上・・・太郎三郎さま大変です。大内が1万3千を率いて石見に侵入したそうです」


 俺は声を下げて口羽広良さんに告げる。旗を代えたと言って二ツ山城攻めに参加した出羽祐盛さんだが、チョット前まで親大内派の国人だったから、聞かれたくないのよね。


「出羽殿が裏切るかね?」


「最悪は想定すべきかと・・・」


「物資は破棄か、仕方ないな」


 口羽広良さん、判りが早くて助かります。


「殿に、最悪の場合は(吉川領)へ退却する事を進言します」


「我らは囮を兼ねて東に逃げるか・・・」


 口羽広良さんは視線を逸らす。この辺は義興の最終目的が読めないので何とも言えない。


(それがし)も後から東に逃げますゆえ、太郎三郎さまは出羽殿を警戒しつつ退却の準備を」


「あい解った。」


 口羽広良さんはぐいっと大豆コーヒーを飲み干すと指示を出すべく陣幕に向かう。俺も大豆コーヒーを飲み干し、本城の包囲をしている元就さまの元に向かった。



 -☆-


 本城を包囲する元就さまの陣幕に到着した俺は、元就さまに、二ツ山城攻略の報告と称して面会を申し込む。

 この辺の手順は逆にすっ飛ばさない。下手に動揺を起こす訳にはいかないからね。


「入れ」


 警備兵に呼ばれたので陣幕に入る。中には、側近の志道広長さんを含め、粟屋元秀さん、赤川元助さん、井上就在さん、井上元盛さんの姿が見える。


「元近。大内の件か?」


「はい」


 情報は既に今川貫蔵さんの部下によって、元就さまの元にも、もたらされているので意思疎通は早い。


「殿は南に(それがし)と口羽さまは東に」


「ああ、石見の大内派国人も動いているのか・・・」


 元就さまはふむと考えこむ。

 選択肢は、


・このまま撤退。

・大内氏の仲裁を承諾して高橋氏と和議を結ぶ。

・本城を強襲して高橋氏を滅ぼして撤退。

・本城を強襲して高橋氏を滅ぼして大内氏と一戦交える。

・本城を無視して大内軍と一戦交える。


 本城を無視して大内軍と一戦交えるふりをして高橋氏を釣り出して撃滅という手もあるけど、これは博打要素が高すぎる。言い出したら止めよう・・・


「仲裁を承諾して高橋と和議を結ぶ。大内の使者を待つぞ」


「殿。このままここで待って大内軍に来てもらう必要は無いかと」


 俺の進言に、元就さまは顎に手を当てて何事か呟く。


「そうだな。まず広長を大内の使者に立てよう」


 元就さまが後ろに控えていた志道広長さんを見ると、志道広長さんも小さく頷く。


「では改めて、交渉の如何に関らず(それがし)と口羽さまは、これより一足早く矢滝城と琵琶甲城に兵を引きあげます。殿はいざという時にはそのまま南の吉川領にお逃げください」


「そうだな。判った。ただ和議成立後に、大内がいきなり軍を解散するかもしれんから注意しろよ?」


 さすが元就さま。大内義興が周防に帰るまでに軍を解散させて、解散した兵がそのまま七尾城の益田宗兼と本明城の福屋正兼に合流する可能性も読んでいるのか。


「すでに(それがし)の独断で、佐波さまと小笠原さまには援軍の要請をしておりますので、殿からも一筆お願いします」


「そこは手抜かりはないか。解った佐波と小笠原には正式な書状をしたためて送る」


 元就さまは大きく頷いた。


「ありがとうございます。では(それがし)はこれで」


 俺は元就さまに大きく頭を下げて陣から立ち去るのであった。



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